| 現在の自動車業界では提携による「規模の経済」「技術の共有」を考えねば生き残ることが難しい |
今後まだまだ「大型提携」の報を聞くこととなるだろう
さて、現在の自動車業界では様々な分野における様々な方面からの要望が高くなっており、たとえば「環境規制への対応」「コネクティビティ強化」「安全性能の向上」「電動化」など。
これらは国や各種団体、あるいは消費者から求められるものではあるものの、これまでの自動車メーカーが培ってきた経験を大きく逸脱するものもあり、よってその実装のためには多大なる研究開発費が必要となってきます。
そしてこの費用負担は「生産規模が小さな」自動車メーカーにとってはもちろん、生産規模が大きな自動車メーカーにとっても大きな負担となっており、そして現在いくつかの自動車メーカーはこの負担を軽減すべく、かつてのライバルたちと手を取り合っているというのがここ数年のトレンドとなっているわけですね。
2024年は「提携元年」でもある
そして2024年は国境を超えた様々な提携が報じられており、今回発表されたのが韓国ヒョンデと米国ゼネラル・モータストの提携で、両社の提携範囲は「自動車の共同開発と製造の可能性の調査」であり、双方より「覚書を締結した」というプレスリリースが発信されています。
つまりこの提携は非常に広範にわたるもので、ヒョンデとGMは「ガソリン車だけでなくEVでも」協力することになり、枠組み合意では乗用車に加え商用車、水素技術への取り組みまでをも重視する可能性についても言及され、さらには鉄鋼、バッテリー原材料などのリソースを組み合わせることにも及びます。
この書類に署名した後、両社の協議は「直ちに」開始されることとなり、GMのCEO、メアリー・バーラ氏によると、目標は「さらに競争力の高い自動車をより迅速かつ効率的に顧客に提供すること」で、「規律ある資本配分」により、2つの大手自動車メーカーはより効率的に投資することで経費を削減できるであろうことが期待できます。
なぜヒョンデとGMが手を組むのか
両社が提携を望む理由は簡単に理解でき、それは「開発費と生産費を下げ、新車の開発に必要な時間を短縮するため」。
この2社が手を取り合うことで潜在的に巨大な規模の経済が発生し、ヒョンデとGMは、特にEV分野にて、中国の自動車メーカーが真の脅威になりつつある厳しい業界で、より競争力を高めることが期待されています。
参考までに、GMとホンダはほぼ1年前、より安価なEVを共同開発する計画を撤回しており、当初の計画では最初のモデルを2027年に発売するというもので、しかしそれはもう実現しておらず、ホンダはGMの後釜として日産をパートナーに選び、そして一方のGMはヒョンデを”より広範囲な”提携相手として選んだわけですね。
もう一つ参考までに、トヨタ、マツダ、スバルは数か月前に合同会議を開き、内燃機関への長期的な取り組みを表明していますが、まさに「昨日の敵は今日の友」、そしてその逆もありうるというのが現在の自動車業界ということになりそうです。
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参照:Hyundai, General Motors