| もはやメルセデス・ベンツの1/6、BMWの1/4、ミニの1/2。ニッチとは言えないレベルに |
東洋経済によると、ジープの(日本国内における)販売台数が「10年で13倍になった」とのこと。
加えて2013年からは6年連続で前年超えを達成している、とも報じています。
数字的な部分だと2009年には1,010台、2019年では13,360台。
2019年通年でトップだったメルセデス・ベンツは66,523台を売っているのでこれには敵わないものの、よくよく考えると「ベンツの1/6も売れている」というのはちょっと驚き。
ちなみに輸入車ブランドだとジープは2019年通年で7位となり、プジョーやルノー、ポルシェ、フィアットよりも「売れている」ブランドです。
2019年12月、そして2019年通年での国内輸入車販売状況。1位はベンツ、最も伸びたのはマクラーレン、最も減少したのはブガッティ
ジープが売れるのはこんな理由
そして記事中では「なぜジープが売れるのか」という理由に迫っていますが、その最も大きな要因は「ジープ」というブランド力の強さだと説明。
言うなればハーレーダビッドソン=アメリカンといった感じのわかりやすいブランドイメージを持ち、これが”消費者のライフスタイルの演出に役立つ”としています。
このあたりは「ジムニー」が受ける理由と同じかもしれず、かねてよりのアウトドアブームの後押しもありそうですね。
さらには「オフローダー専門」でありながらもシンプルでタフな「ラングラー」、高級SUV「グランドチェロキー」、乗用車感覚で乗れる「レネゲード」といったラインアップが用意され、幅広い層にリーチできるということについても言及。
加えてフェイスリフトを含めると、ほぼ毎年ニューモデルを投入しており、これもまた人々を飽きさせずに興味をつなぎとめておくことができる理由だと言えそう。
ちなみに売上構成比からするとラングラーが1/3を占めるとのことで、やはり購入者は「ジープというブランド」を重視し、それをもっとも視覚的に表すラングラーを選んでいるのだとも考えられます。
そのほか、ジープはマーケティングとプロモーションにも力を入れていて、2016年から順次あたらしいCIを導入した店舗に切り替えているとうことも指摘。
このCIは「ジープらしい」シンプルさとタフさを持つもので、ぼくの家の近くにある拠点もたしかに「アメリカン」。
具体的にはラジオフライヤーなどを置いていて「ジープのある(アウトドア)ライフスタイル」の楽しさを演出していたり、ディーラーにゆくとアメリカっぽいドーナツが出てきたりというところですね。
ジープはもはや実用車ではない
ジープと言うと「すげえ大雑把」な車だと思ってしまいますが、実際は細部に至るまでよく考えられていて、たとえばフロントウインドウの上(ルームミラーが取り付けられているあたり)にはジープのフロントを模したグラフィック(7スロット+ヘッドライト)が。
さらにウインドウの下の方にはジープを横から見たグラフィックがウインドウにプリントされています。
細かいところですが、こういった世界観の演出が重要だと思われ、店舗の作りとあわせてファンの心を捉えて離さない”仕掛け”もバッチリといった印象です。
とにかくジープと言うと「質実剛健」な実用車的イメージがあるものの、実は「クルマ」よりもその「イメージ」「ブランド」を売っているということがよくわかり、それこそがジープ成長の最大の理由かもしれません。
その意味では、シボレーやキャデラックももっと「アメリカン」を押し出した店構えや演出を行えばもっと売れそうですし、プジョーやシトロエンもフランスのカフェっぽい雰囲気を持つディーラーにすればいいのかもしれません。※シボレーは、アメリカっぽいガレージ風のインテリアにすれば受けそうだ
現代は「クルマが売れない」時代ではありますが、それでも伸ばしているブランドがいくつかあり、それらを見ていると「クルマよりもブランドを売る」という方向性にシフトしているように思われます(アストンマーティン=007、みたいな)。
そして、こういった状況はクルマに関わらず全てのモノに言えることなのかもしれませんね。
VIA:東洋経済