テスラの値下げ→販売急増がドイツにも波及。ベルリン工場所在地の経済大臣がテスラに「生産能力を増強するよう」異例の要請を行う

｜　おそらくは販売増加による経済の活性化、輸出増加による貿易黒字増加を考慮したものだと思われる　｜

それにしても、ちょっと値下げしただけでもこれほど多くのテスラが売れるとは

さて、テスラは中国やアメリカなど主要市場にて一連の値下げを行っていますが、そこで報じられているのが「急激な販売の増加」。

中国やアメリカでは販売が急増し、一部グレードが注文できなくなるなどの状況が発生しているといいますが、ドイツでも値下げ後に販売が増えていると報道されており、従来は1〜3か月だった納車待ちが2〜3か月にまで伸びている、とのこと。

なお、値下げ幅はエントリーレベルのモデルYで17％、ロングレンジとパフォーマンスだとそれぞれ4％と1％だと報じられています。

ドイツ政府がテスラに生産能力増強を要請

そこでこの状況について、なんとドイツの政治家がテスラに対し、値下げ後の需要に対応するために生産のスピードアップを要請しているといい、具体的にはブランデンブルク州の経済大臣ヨーク・シュタインバッハ氏が、ドイツの労働組合IGメタルが企画した討論会でこの問題について発言し、テスラは顧客の待ち時間を減らすために生産を加速させるべきであり「テスラのベルリン工場はもう少し成長しなければならない」と述べています。

なお、このベルリン工場は2022年3月に操業を開始しており、しかしその後なかなか生産効率が上がらず、イーロン・マスクCEOは「ベルリン工場は、お金を燃やすのと同じくらいのペースで損失を出している」。

しかしながら現在はずいぶん状況が改善したと見え、ベルリン工場では毎週200人から300人が増員されているとも報じられています（あわせてヨーク・シュタインバッハ氏は、この地域の他の多くの企業が人材確保に苦労していることにも言及しており、それだけテスラの工場が他よりもいい条件を提示しているのかもしれない）。

なぜ経済大臣がテスラの生産能力増強を要請するのかはわからないが

なお、今回なぜ経済大臣がテスラに生産能力を増強を求めるのかはちょっと不明。

「顧客の利便性を図る」という観点からではないものと思われ、かつ「労働力が不足している」のであれば失業率改善のためだとも思えず、となると、そして「経済大臣の発言」ということを考慮するに、ドイツ国内の消費を増加させる、そして輸出を増やすという観点からなのだと思われます。

ちなみにですが、上海にて製造されるテスラは中国国内、そして日本はじめアジアのいくつかの地域へと輸出され、そしてカリフォルニアとテキサス工場で製造するテスラはアメリカ国内やカナダへ、そしてベルリンで製造するテスラは欧州そして中東での販売に充てられるそうですが、現在テスラはカナダ、そしてメキシコにてギガファクトリーを建設すると報じられており、目標とする「年産2000万台」へ向けて万全の体制を構築することになりそうです。

ただ、この2000万台を達成するには、現在の需要（受注）では不足があるものと思われ、そこでテスラが考えたのが今回の一連の値下げだと言うことになりますが、おそらく今後も継続して生産コストを引き下げ、そして下がったぶんはまた値下げを行うことで需要を喚起し続けるものと思われます。

合わせて読みたい、テスラ関連投稿

参照：Auto News Europe