
| つまるところ、いまだに「テスラに代わる選択肢」が一部の人々にとっては存在しない |
ただし直近では「駆け込み需要」「いくつかのブランドの在庫処分」もあり、実態を表しているとは考えにくい
さて、2025年第1四半期、(米国でもっともEVの販売比率が高い)カリフォルニア州におけるEV市場全体は7%以上の成長を見せたものの、テスラの同州での販売台数は15%以上も減少したことが明らかに。
この記事のサマリー
- 2025年第1四半期、カリフォルニア州におけるテスラのEV市場シェアは43%に低下。
- 同州のEV販売全体は7.3%増加した一方、テスラは15.1%減少。
- GMC、ジャガー、ポルシェ、スバルはのEV販売台数が3桁成長を記録。
それでもテスラのシェアは「半数近く」を占める
カリフォルニア新車ディーラー協会(CNCDA)が発表したデータによると、テスラの第1四半期の販売台数は昨年の49,875台から今年では42,322台に減少し15.1%の大幅減。
さらに同社のEVセグメントにおける市場シェアは50%を下回っただけでなく、2024年第1四半期の55.5%から2025年には43%へと急落することとなっています。
さらにこの現象は、カリフォルニア州のEV総販売台数が7.3%増加し昨年の89,821台から2025年第1四半期には96,146台となった中で発生しており、ほかの市場同様、「拡大するEV市場」に対してテスラが取り残されていることを意味します。※ただ、ここでいう「EV」はPHEVも含んでいることには注意を要する
そのほか、2025年第1四半期のEV市場ではこんな動きがあった
このほか、カリフォルニア州でのEV販売状況を見てみると、いくつかの自動車メーカーは目覚ましい成長を遂げており、まずGMCは昨年比318%増の1,041台を記録。
ジャガーは、旧モデルの在庫処分が寄与して販売台数を485台から861台へとほぼ倍増させ、ポルシェはマカンEVのデリバリーが始まったことで139%増の572台から1,367台へ、そしてスバルは177.8%増の333台から925台へと(ナゾの)大幅な伸びを見せています。
一方「負け組」を見てみると、アウディのEV販売台数が20%減少し、レクサスはさらに大きな打撃を受て861台からわずか485台へと43.7%も減少しています。
カリフォルニア州 EVブランド別販売台数 (2025年第1四半期)
ブランド | 2025年第1四半期 | 2024年第1四半期 | 差異 |
テスラ | 42,322 | 49,875 | -15.1% |
フォード | 5,819 | 4,048 | 43.8% |
BMW | 5,421 | 4,406 | 23.0% |
ヒョンデ | 5,192 | 3,847 | 35.0% |
シボレー | 4,895 | 3,004 | 62.9% |
ホンダ | 4,517 | 0 | – |
メルセデス | 3,689 | 4,872 | -24.3% |
キア | 3,021 | 3,068 | -1.5% |
リビアン | 2,885 | 3,160 | -8.7% |
VW | 2,405 | 2,432 | -1.1% |
アウディ | 2,335 | 2,917 | -20.0% |
トヨタ | 1,886 | 1,041 | 81.2% |
キャデラック | 1,609 | 1,000 | 60.9% |
日産 | 1,453 | 996 | 45.9% |
ポルシェ | 1,367 | 572 | 139.0% |
その他 | 1,291 | 1,463 | -11.8% |
アキュラ | 1,283 | 0 | – |
GMC | 1,041 | 248 | 319.8% |
スバル | 925 | 333 | 177.8% |
ボルボ | 639 | 338 | 89.1% |
ジャガー | 621 | 297 | 109.1% |
ジェネシス | 566 | 407 | 39.1% |
レクサス | 485 | 861 | -43.7% |
ポールスター | 312 | 384 | -18.8% |
MINI | 211 | 252 | -16.3% |
ジープ | 147 | 0 | – |
ダッジ | 79 | 0 | – |
合計 | 96,416 | 89,821 | 7.3% |
カリフォルニア州でのベストセラーEVは依然としてテスラ・モデルYである
まお、カリフォルニア州で最も売れているEVは依然としてテスラであり、モデルYが23,314台でトップ、2番手のモデル3が13,992台。
これらに続くのはホンダの新型プロローグ(4,493台)とヒョンデ・アイオニック5(3,762台)。
なお、今回のテスラの販売台数の減少は、より広範なゼロエミッション車(ZEV)市場にも影響を与えており、カリフォルニア州のZEV販売台数は2四半期連続で減少し、市場シェアは2024年第1四半期の22%から20.8%へと低下。
つまるところ、ZEV(あるいはBEV)だけで見ると「テスラが売れなくなったぶん」ZEVの販売台数が減っているということを意味し、「テスラを買わなくなった人々のすべてが他メーカーのEVに流れたわけではない」ということがわかります。
つまり、テスラはいまだ一部の人々にとって「テスラは唯一無二の選択であり、それを選ばない場合、別の選択肢(ZEV)ではこれをカバーすることはできない」ということを示唆しているのかもしれません。※なんだかんだいいながらサイバートラックもそれなりに売れている
カリフォルニア州 ベストセラーEV (2025年第1四半期)
順位 | モデル | タイプ | 販売台数 |
1 | テスラ モデルY | BEV | 23,314 |
2 | テスラ モデル3 | BEV | 13,992 |
3 | ホンダ プロローグ | BEV | 4,493 |
4 | ヒョンデ アイオニック5 | BEV | 3,762 |
5 | フォード マスタング Mach-E | BEV | 3,601 |
6 | シボレー Equinox | BEV | 2,688 |
7 | BMW i4 | BEV | 2,484 |
8 | テスラ サイバートラック | BEV | 2,282 |
9 | VW ID.4 | BEV | 2,123 |
10 | フォード F-150 ライトニング | BEV | 2,003 |
11 | リビアン R1S | BEV | 1,953 |
12 | トヨタ bZ4X | BEV | 1,803 |
13 | テスラ モデルX | BEV | 1,800 |
14 | BMW iX | BEV | 1,565 |
15 | キア EV6 | BEV | 1,501 |
16 | メルセデス EQB | BEV | 1,498 |
17 | ジープ ラングラー PHEV | PHEV | 1,435 |
18 | トヨタ RAV4 PHEV | PHEV | 1,423 |
19 | シボレー ブレイザー EV | BEV | 1,385 |
20 | アキュラ ZDX | BEV | 1,283 |
21 | トヨタ プリウス PHEV | PHEV | 1,262 |
22 | キア EV9 | BEV | 1,168 |
23 | 日産 アリア | BEV | 1,139 |
24 | ヒュンダイ アイオニック6 | BEV | 1,138 |
25 | BMW X5 PHEV | PHEV | 1,024 |
全パワートレーンを含めると、2025年のカリフォルニアではこんなブランド、クルマが売れている
パワートレインに関係なく、すべての自動車販売を見ると、カリフォルニア市場は第1四半期に8.3%の成長を遂げ463,114台が販売されています。
ハイブリッド車にとっては特に好調な四半期となり、市場の17.9%を占め、EVのシェアにこれまで以上に近づいていますが、今後予定される関税の影響によってこれらのバランスは大きく崩れてしまうのかもしれません。
ブランド別の販売台数を見てみると、トヨタは76,625台を登録して市場の16.5%を獲得してカリフォルニア州で最も売れたブランドとなり(驚くべきシェアである)、ホンダは10.8%で2位、テスラは1年前の11.7%から9.1%に低下して3位に転落。
年初来の第1四半期の登録台数が30%以上の力強い成長を記録したブランドには、ビュイック、三菱、ジェネシス、クライスラー、キャデラック、ランドローバー、日産、ヒョンデが含まれますが、販売が後退したのはテスラだけではなく、マセラティはわずか153台へと60%減少し、アルファロメオは48.6%減、アウディは14%減、ダッジはほぼ59%減という結果に。
モデル別だと、テスラ モデルYは依然として州全体のベストセラー車であり23,314台を販売していますが、これに続いたのはトヨタ RAV4(16,719台)、テスラ モデル3(13,992台)、トヨタ カムリ(13,792台)。
中古車市場では、カムリが4年落ち以内の車両で6,026台を販売して首位となり、ホンダ シビックが5〜8年落ちの車両で5,897台を販売してトップとなったことも示されています。
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参照:CARSCOOPS