
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ただしこれは主に「環境規制」によるものであり自動車メーカーのせいではないだろう
さて、BMWは新型M5をちょっと前に発表したところですが、この重量は2,445kgもあって「先代M5よりも500kgも重い」重量です。
そしてこの重量が発表以来”集中砲火”を浴びており、まだ試乗車も出なかった時点で多くのメディアや消費者が「運転もせずに」鈍重であるという判断を下していたわけですね。
ここでBMWは数々の教訓を得ることになり、今後「少なくともドライバーが実際に車を運転するまでは、クルマの重量を公表しない」という決断を行うことに。
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たしかに「重量」が選考してしまうと公平な判断はできない
BMWはこの「重量」ばかりが先行して話題となり、M5の本質であるプラグインハイブリッドパワートレーンやパフォーマンスが話題とならないこと、試乗車が出回ったりデリバリーが始まるまでに新型M5の評判が「重いクルマ」として定着してしまうことを懸念しており、そこで今回の結論に至ったわけですが、そういった「そのクルマがどんなクルマであるかが実車をもって判断されないうちに(評判が)下がってしまう」対策として「重量を公表しない」という思い切った方針を採用するわけですね。
我々が初めてM5を公開したのはサーキットでしたが、運転した際のレビューは公表しませんでした。そのため、M5についても話題は数字についてだけになったのです。実際に、私たちはいくつかの数字を公表しましたが、その中で重量だけが話題になってしまったのです。M5の発売から学んだことは、ソーシャルメディアがどのように機能するかということです。」
BMW M フランク・ヴァン・ミールCEO
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G90世代の新型M5は”M5初のプラグインハイブリッド”パワートレーンを搭載し、4.4リットルのツインターボV8エンジンと電動アシストによって727馬力を発生させ、この出力は先代M5に比較すると約100馬力多い数字です。
一方で車体重量はというと標準の5シリーズより約590kg多く、先代M5より約475kg重くなっていて、どういうわけか完全電動モデルのi5よりも重いという事実も存在し、そして人々はこの「重量」にのみフォーカスした話題ばかりを展開してしまい、「0-100km/h加速3.5秒」というちょっと前のスーパーカーレベルの加速性能には誰も言及しなくなってしまったわけですね。※新型M5は「重くなってしまった」のではなく、「重くなることを前提に」設計がなされ、それでも優れたドライバビリティを発揮するように作られている
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そういったこともあってフランク・ヴァン・ミールCEOは「他の競合他社について、ハイブリッド化されたスポーツカーを発表する場合、テストドライブまで重量を明かさないことが多々あります。そしてインターネットの世界では、この重量が大きな意味を持ちます。そして我々は今回のM5で多くの教訓を得ました」と語っており、よって今後のBMW、とくにMモデルでは「発表時には重量については伏せられる」ことになるのだと思われます。※メルセデスAMGは新型SL以降、多くの場合で新車発表時には重量を公表せず、メディアの試乗イベントにて重量を公開することが多くなっている
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しかしながらBMW M5は大きな成功を収める
とはいえ、BMWは最終的に勝利を収めていて、フランク・ヴァン・ミールCEOによると、BMWはすでに「需要をまかなうため」M5の生産量を増加させており、それでも主要市場のいくつかではすでに今年前半の分が売り切れているのだそう。
そしてBMWはM5の(パワーだけではなく)運転体験にも自信を持っていて、新車発表時には「アドレナリン満載の運転ダイナミクスと洗練された日常使用の完璧な組み合わせです」と語ったことも。
参考までに、今回のM5がハイブリッドとなったのは「まだ完全電動モデルへの移行の準備が(さまざまな意味で)できていなかったからであり、ハイブリッドシステムを選択したことは「必然」だと語っていますが、より小型のM3とM4では「ガソリンオンリー」を採用し、新世代M3では「ピュアエレクトリック」を導入する計画であると伝えられているのは非常に興味深いところでもありますね。
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参照:Carsales