| ただしいずれも改善可能 |
さて、2020年5月の国産車登録ランキングにおいて「No.2」を獲得したトヨタ・ライズ。
1月と2月にも首位を獲得しており、ぼくの記憶では過去にSUVが首位を獲得した例はないため、「過去にない快挙」を実現したクルマだと言えます。
トヨタ・ライズはダイハツ・ロッキーのOEM車となりますが、一足お先に登場して大人気となったRAV4風のルックスを持つ、アクティブな印象を与えるSUV。
最も安価な「X」グレード2WDで1,679,000、もっとも高価な「Z」4WDでも2,282,200円にとどまっています。
ボディサイズは全長3,995ミリ、全幅1,695ミリ、全高1,620ミリなので、つまりは「5ナンバーサイズ」ということになり、そしてライズのヒットは「いかに日本における5ナンバー信仰が根強いか」を改めて証明したとも言えます。
今回、身内がライズ(Z 2WD)を購入し、しばらく乗る機会があったため、その印象を述べてみたいと思います。
トヨタ・ライズの外装を見てみよう
トヨタ・ライズの外観は上述の通り「RAV4似」ですが、かなり「短い」印象。
おそらく「4メートル以下」に収めることが至上命題であったのだろうということがわかり、前後バンパーの出っ張りも「最小限」に止められ、4メートルという範囲の中でボディサイズを最大化しているようですね。
そして前後ランプやダクト類は「大作り」で、これがダイナミックな印象を押し出している模様(高級車がランプ類を小さくするのと逆の手法で、これによってアクティブさを演出している)。
全体的に見て質感が高く、ヘッドライトは(Zグレードなので)LED、そしてシーケンシャルウインカー装備、リアコンビランプもLED。
コーナーセンサーまでも装備されて200万円程度というのはかなり衝撃で、「これは売れるわ・・・」と改めて納得させられます。
トヨタ・ライズの内装を見てみよう
まず乗り込んで感じたのは「新車の匂い」がスゴいな、ということ。
新車の匂いというのは、内装材を貼り付けるときの接着剤に起因するのだそうですが、この匂いが強く、これは経験上だと意味「トヨタ車に顕著」。
おそらく完成後間もない個体だったのだと思われるものの、もしかすると意図的にこの匂いを強調していた可能性もありそうです(そういったフレグランスがあるらしい)。
ライズの内装はシンプルですが安っぽさはまったくなく、六角形をモチーフにしたデザインが随所に反復され、メタル調の加飾、スムースレザーを使用したステアリングホイールなど、むしろ高級感すら感じられるほど。
なお、メーター表示はこのクラスには珍しい「デジタル」。
そして全体的にひとつひとつのパーツや文字が(メーター内の表示を含め)大きく、直感的に情報を読み取りやすいように配慮されているようですね。※もともと年配の人向けのクルマではないと思われますが、これはダイハツの方針なのかもしれない
ちなみにシートにはレッドのパイピング、そして「Y」文字のようなモチーフがプリント(滑り止め?)されており、ダッシュボードやセンターコンソールに用いられるアクセントとともに、若々しい印象を演出しています。
トヨタ・ライズに乗ってみよう
エンジン始動はステアリングコラム左脇のボタン(これもけっこう大きく目立つ)を押して行い、このボタンをプッシュすると直列3気筒ターボ(98馬力)が勢いよく目覚めます。
ギアをDに入れて走り出すと感じるのが「おっ」と思うほどの出だしの良さ。
かなり力強いトルクを持っていることに驚かされ、そこに98馬力という数字から予想される非力さは全くなく、「なんだこれで十分じゃない」と思うほどですね。
ステアリングホイールの操作に対する反応も正確であり、加速とあわせて「意のままに操れるという印象があり、ブレーキも「カックン」ではなく踏力に応じて効きを発生させる設定を持っていて、ストップ&ゴーの多い環境においても神経質にならずに運転できます。
気になった点は2つ
ただ、気になった点が2つあって、まず一つは「細かい衝撃を拾うこと」。
おそらくは車高の高さに起因するピッチング/ヨーイングを抑えるために足回りを固めたせいかと推測していますが、不正路などでコツコツとした衝撃を拾うこと。
段差が一つや二つくらいであればさほど気にならないものの、これが「連続」しているとけっこう気になる場面がある、という印象です。
なお、この個体には195/60 R17サイズのタイヤ/ホイールが装着されており、これが16インチであればまた違った印象なのかもしれません(1,000kg程度の車体には、バランス的に17インチは重すぎる)
そしてもうひとつはアイドリングスタートから復帰する際のエンジンの振動が大きいこと。
普通に走っていて加速する際に回転数を上げてもさほど振動やノイズは気にならないものの、エンジンストップ時からの復帰はちょっと気になる場面がある、と認識しています。
ただ、これらについては改善が可能であり、乗り心地については軽量ホイールへの交換(できればサスペンションを変えたいところだが、乗り心地優先のサスペンションキットが発売されるとは考えにくい。現在ではライズ用のサスペンションキットは発売されていないようだ)で対応できるものと思われ、振動については、バルクヘッドやフロアに制振・防音用のダイナマットを貼ればなんとかなりそう(同様の印象を受けた他車を改造した経験から言って)。
そのサイズ、価格、燃費等考えても「日常使い」には最適であり、トヨタ 譲りの安全性そしてSUVならではの見晴らしの良さ、4WDの設定があること等を考えると現在「最強レベル」の国産車だと言える一台。
加えて運転していて「気持ちよく」、同価格帯のコンパクトカーとは異なって「安っぽく見られない」のもSUVボディならではの特徴であり、はじめてクルマを買う人に加え、様々な理由で「ダウンサイジング」を考えている人にも魅力的な選択なのかもしれません。