| スバルの成長に暗雲? |
ITメディアによると、スバル(SUBARU)の営業利益率が6期ぶりに10%を下回る見込み、とのこと。
スバルは成長力、収益力ともに高く、マツダもベンチマークとしているメーカーとして知られます。
実際に販売台数は6期連続で過去最高を記録し、月間販売台数もなんと77ヶ月連続で前年同月比超えという破竹の勢いで成長中。
しかしそれでも営業利益率が減少する理由としては「円高」「経費増加」とのこと。
為替と値引きが問題に
「円高」については、スバルの「海外生産比率」が問題となり、というのもスバルは海外生産比率がかなり低いメーカー。
スバルは世界販売1,049,749台に比較して海外生産は348,597台で、その比率は33.2%。
一方で販売となると国内販売比率は15.7%で、つまり84.3%は海外。※スバルの開示しているデータはこちら
そして販売のうち68%を占めるのはアメリカとカナダを足した「北米」という構成です。
一方でホンダは国内生産829,216台に比較して海外生産は4,457,834台、つまり国内生産比率は15.7%。
販売だと国内の比率は14%という数字でとなっています。
つまりスバルは「海外でよく売れている割には海外でクルマを作っていない」、ということは日本で作ったクルマを輸出しないといけないということになりますが、そうなると「円高」になれば収益を圧迫。
円高で失われる利益は「海外で高く売って」取り戻せば良いだけではありますが、現地価格が高くなると今度は「売れない」という現象が生じ、よって円高になった(海外から見て輸入コストが上がる)としても現地では高く売れず、そのぶん利益が減るわけですね。
この解決策としては「スバルがアメリカに工場を建設する」しかなさそうで、しかしこれには費用がかかり、それには「提携」が有効ということになりそう。
こういった背景もあり、「マツダとトヨタ」の提携(米国への工場建設)が実現したのだと思われ、スバルもなんらかの対策が必要なのかもしれません。
そしてもうひとつの「経費増加」ですが、こちらはちょっと深刻で、というのもアメリカでは一般的な販売奨励金「インセンティブ」の増加がスバルの利益を圧迫。
2018年ではこれがどんどん増加し、2017年から550ドル増えて2000ドルへ、そしてさらに今後は2200ドルに上昇する、との予想。
スバルはこれまでも「インセンティブを低く抑えても売れるメーカー」として知られていたものの、その状況が変わってきているということを意味し、これはスバルの車が持つ魅力が相対的に失われているわけではなく、アメリカ市場全体が「売れなく」なってきていることが理由だと思われます。
加えてスバルが強みを持つSUV市場へどんどん他メーカーが参入し、競争が激化していることを考えるに、このインセンティブは増加することはあれど、「減る」ことはないと考えて良いのかもしれません。
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VIA:IT MEDIA