| 当時、ここまでフェラーリをパーソナライズするという傾向はメジャーではなかった |
やはり当時は「フェラーリ=レッド」だった
さて、599台のみが限定生産されたフェラーリ599GTOのワンオフモデルがドバイにて登録され話題に。
フェラーリ599GTOが発表されたのは2010年4月8日の北京モーターショーにおいてですが、当時はフェラーリ=レッドというイメージが非常に強く、とくに限定モデルにおいてレッド以外のカラーを選ぶ例が稀だった時代です。
よって多くの599GTOがレッドを身にまといフェラーリの工場から出荷されたということになりますが、今回紹介するのは非常に少ない「例外」のひとつ。
ボディカラーは「ブルー・アブダビ」
このフェラーリ599GTOのボディカラーは「ブルー・アブダビ」と命名された特別塗装色で、かつての250GTOにインスパイアされたもの。
もともと599GTO自体がサーキット走行専用のプロトタイプ、599XXの公道走行版ということで、公道走行が可能な認可(ホモロゲーション。イタリア語ではオモロガート=Omologato)を受けたということを示すため「GTO=グラン・ツーリスモ・オモロガート」の名を付与していますが、これは1961年の「250GTエクスペリメンタル→250GTO」の流れにも似ています。
そういったこともあり599GTOは「250GTOの再来」ということで大きな話題を呼ぶこととなったわけですが、この個体はそのルーツをより正確にあらわしているとも言えそうですね。
上述の通りボディカラーはブルー・アブダビ、そこへイエローのノーズセクションそしてドアミラー、さらにはフロントフェンダーにNARTシールド、そしてイエローのブレーキキャリパーが与えられ、Bピラーには599 XXレースカーからフィードバックされたXXウィング(国によっては違法らしい)が装着されて、ウィングのエンドプレートにはイタリアのトリコローレが再現されることに。
ワンオフ仕様のフェラーリ599GTOのインテリアはこうなっている
そしてこのフェラーリ599GTOのインテリアについて、チャコールのアルカンターラにイエローのアクセントを加え、ブルーのカーボントリムで仕上げられています。
ブルーカーボンのシェルを持つバケットシートのヘッドレストにはNARTのシールドが貼られ、パドルシフトにイタリア国旗が描かれているのもユニークなポイントですが、「カラーカーボン」「パドルのイタリア国旗」という、つい数年前にメジャーになった仕様をこの時点で取り入れているのには驚かされます。
フェラーリ599GTOはこんなクルマ
上で述べたとおり、フェラーリ599GTOは599XXのロードリーガルバージョンという位置づけですが、この「XX」は様々な技術をサーキットにて試し、そこで得た技術的な成果を市販車に反映することを目的としています。※このXXプログラムに参加できるのはフェラーリの限られた顧客のみ(数十人)
599GTOには新設計のサスペンションが投入され、足回りにおいては「ハンドリングと電子制御の融合」を目指しており、そのためにSCM2(第2世代の流体磁性サスペンション)、テールスライドを抑制するVDC、トラクションをコントロールするF1-Tracを投入し、安定性と俊敏なハンドリングを両立しているわけですね。
エアロダイナミクスにおいてはダウンフォースの強化が第一義に掲げられ、前面投影面積、ボディサイド形状、フラットボトム化、冷却システムへの気流導線マネジメント等の最適化によって時速200キロ時には144kgを発生するに至っています。
ドーナツ形状のホイールカバーによってホイールアーチからの排出気流を利用し空気抵抗を抑えていることも特徴で、そのほかにはフロントスポイラー下部のウイングによってフロント部のダウンフォースを増加させ、フロントホイール前方とリアに設けられたディフューザーは空気抵抗を削減しながらもやはりダウンフォースを増加させることに成功しています。
搭載されるエンジンは6リッターV12、出力は670馬力(8,250rpm)、最大トルクは457lb-ft(6,500rpm)を発生し、599GTOの0-62mph(0-100km/h)加速は3.35秒、最高速度を208mph(335km/h)。※この数字は当時のフェラーリのロードカー最速だった
一方では軽量化も推し進められ、標準モデルの599に比較して120kgも軽量化されており、これらとあわせ、数々の最新デバイスの導入によってフェラーリのテストコース、フィオラノサーキットにおいては(エンツォフェラーリを抜いて)歴代最速となる1分24秒を記録したことでも知られています。
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参照:TheSupercarBlog, Ferrari