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フェラーリ「ルーチェ」は限定車への“踏み台”? ロレックス「デイトナ」、エルメス「バーキン」を買うために一般製品を購入せざるを得ないのと同様の状況だと報じられる

フェラーリのホイールと跳ね馬エンブレム
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| 1億円の「上顧客テスト」にコレクターたちが困惑する全内幕とは |

フェラーリは「ルーチェの購入を強制しない」とはコメントしていたが

「手に入れるのが最も困難な車」を作り出すことで、その圧倒的なプレミアム性を維持してきたフェラーリ。

彼らが満を持して発表したブランド初の100%電気自動車(EV)「ルーチェ(Luce)」が今、世界のトップコレクターたちの間で「走る性能」とは全く別の意味で大きな波紋を呼んでいるとの報道。

米経済紙『Bloomberg』が報じた最新のレポートによると、一部の投資家や熱狂的なフェラーリコレクターの間で、「ルーチェを購入することこそが、将来発表されるであろう超限定ハイパーカーの購入権(アロケーション)を解禁するための“秘密のチケット”になっている」という見方が急速に強まっているとされ、デザインの方向性を巡ってSNSやメディアで賛否が激しく渦巻く中、なぜこの1億円近くに達する高額なEVセダンが、富裕層たちの間で「絶対にスルーできないモデル」と囁かれているのか。

ファッションや高級時計の世界で行われている“あの裏ルール”が、ついにスーパーカーの世界にも浸透し始めた、とも論じられています。

この記事の要点

  • 新型EV「ルーチェ」がロイヤルティの試金石に: フェラーリ初の市販ピュアEV「ルーチェ(7623万円)」の購入が、将来の限定ハイパーカーやスペシャルモデルの割り当て枠(アロケーション)を確保するための「忠誠心テスト」になっていると複数のコレクターが証言
  • 高級ブランドの「抱き合わせ戦略」に酷似: 「デイトナ(人気時計)」を手に入れるために「一般的なモデル」を買い続けなければならないロレックスの商法や、バーキンを買うためのエルメスの仕組みと全く同じ構造が、自動車最高峰のフェラーリでも起きている
  • 二分される評価と買い手の思惑: ジョニー・アイブ率いる『LoveFrom』が手がけた独創的な5人乗りスタイルは「不細工だ」と懐疑的な声も多いが、顧客リストの上位に残るためだけに「ゲーム感覚で購入を検討せざるを得ない」という富裕層のインサイトが浮き彫りに
  • 公式は関連性を否定するものの……: フェラーリ側は「長きにわたる関係性を重視して限定車を割り当てるが、将来の優遇のために購入を促すことはない」と否定。しかし、イタリアから中国に至るトップ顧客への取材では「買わなければ次のリストから外される」というシグナルが明確に伝わっているもよう

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フェラーリがこれまで「売りたい数よりも常に1台少なく作る」という哲学のもと、限定車(ラ・フェラーリ・アペルタやIconaシリーズなど)の購入権を過去の購買履歴やブランドへの貢献度に基づいて上顧客にのみ割り当ててきたのは自動車業界では有名な話です。

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それは、あの著名コレクターであるジェイ・レノ氏が「購入に至るまでの手続きやディーラーとの駆け引きが煩わしい」として、フェラーリを1台も所有していないと公言しているほどで、しかし今回の「ルーチェ」を巡る動きは、従来のロイヤルティ(忠誠心)のハシゴとは少し毛色が異なるものとして報じられています。

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高級資産プラットフォーム『MillionPlus』の創設者であるポール・ウェルチ氏は、次のように現状を分析しており・・・。

「多くのクルマ好きはルーチェのデザインを嫌い、不細工だと言っています。しかし、スタイリングは問題ではないのです。一部の富裕層は、単に将来の限定車へのアクセス権を手に入れ、長いウェイティングリストの上位に這い上がるためだけに、このEVを買うべきか真剣に悩んでいます。これは多くの人が参加している『ゲーム』なのです」

この構図は、高級時計店で「ステンレス製のデイトナ」という激レアモデルを貰うために、まずは定番のデイトジャストやドレスウォッチを何本も購入して“実績”を積む行為や、エルメスのブティックで「バーキン」を提案してもらうためにスカーフや食器を買い揃える仕組みと完全に一致するもので、違いがあるとすれば、今回のルーチェは「実績作りのために買う対象」としては(通常モデルの範疇を超えて)あまりにも高額であるという点です。

「買わなければリストから外される」顧客に届いた生々しいシグナル

フェラーリ公式は『Bloomberg』の取材に対し、「私たちはマラネロとの深い、長期的な絆を持つお客様を優先して限定車を提供しています」としつつも、将来の割り当てを有利にするために特定車(EV)を買うよう顧客に仕向けたり、推奨したりしている事実はないと公式に否定していて、「お客様自身の純粋な好みで車を選んでいただくべきだ」というのが建前です。

しかし、イタリアから中国まで、世界中の半数以上のトップコレクターたちへの取材から見えてきたリアルな現実は異なるといい、ある顧客は、「フェラーリ側から『ルーチェをガレージに迎えることが、今後もトップティア(最上位)のクライアントとして留まるために重要である』というニュアンスを直接、あるいは間接的に強調された」と証言。

特に、まだコレクションの歴史が浅い新しい顧客にとっては、この誰もが二の足を踏む「初EV」を率先して引き受けることこそが、将来の「ワンオフ(特注車)」や限定モデル争奪戦のファストパス(優先権)になると捉えられているようですね。

フェラーリ ルーチェ:車種概要、性能・デザイン・スペックなどの特徴、市場でのポジショニング

今回「踏み台」とまで囁かれてしまっているフェラーリ・ルーチェではありますが、その中身はフェラーリが総力を結集した、既存のEVの概念を覆すモンスターマシンです。

LoveFrom(元Appleのジョニー・アイブ氏が立ち上げたデザインオフィス)とのコラボによる5人乗りハッチバックセダンという、これまでの跳ね馬の文脈にない衝撃のパッケージを纏っており・・・。

「ルーチェ(Luce)」主要諸元・スペック

  • パワートレイン: 4モーター独立制御(前輪:2基、後輪:2基)
  • システム最高出力: 1,035 hp (1,050 cv / ブーストモード時)
  • 最大トルク(ホイール側): 7,750 Nm
  • パフォーマンス:
    • 0-100 km/h加速:2.5秒
    • 0-200 km/h加速:6.8秒
    • 最高速度:310 km/h
  • 高電圧アーキテクチャ: 800V(最大350kWのDC超急速充電対応)
  • バッテリー容量: 122 kWh (シャシー構造一体型)
  • 最大航続距離: 530 km以上 (WLTPサイクル)
  • 車両重量: 2,260 kg (ボディの75%に再生アルミニウムを採用)
  • ベース価格: 7623万円

市場でのポジショニング:超高級EV市場の崩壊とフェラーリの「絶対防衛線」

現在、世界の自動車市場では1,500万円を超えるようなハイエンドEVの需要が急速に冷え込んでいて、ポルシェやメルセデス・ベンツ、マセラティといったプレミアムブランドもEVシフト戦略の見直しを迫られています。現にディーラー現場では、一部のEVモデルに対して大幅な値引きが行われるケースも散見されるというのが現在地。

このような厳しい市場環境下で、フェラーリが「値引き」というブランドを傷つける行為を一切行わず、かつ「乗り出し1億円」という高価格のルーチェの注文書を確実に埋めるために編み出された(あるいは顧客側が察知した)のが、この「アロケーション(割り当て)連動」という究極の囲い込み戦略なのかもしれません。

ただ、これは上述の「ロレックス」「エルメス」、そしてオーデマピゲやパテックフィリップといったハイエンドブランドでは「常識」ともいえるもので、そしてブランド側はこれによって顧客を「ふるい」にかけることができるため、そして生産した製品を「余らせない」ためにも有効であることから、ぼくとしては「理にかなった戦略である」とも考えています。

そしてこれを「やろう」と思ってできるのはごく一部のブランドのみであり、それが「できる」ということは過去にそれなりの先行投資と企業努力を重ねてきたということでもあるため、ここで「権利行使」をするのもそのブランドの「特権」でもあるというわけですね。

ロレックス・サブマリーナーの保証書
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デジタル時代に「あえて敬遠される車」を買うコレクターの計算

さらに今回のルーチェを巡る騒動には、富裕層たちの「高度な計算」が働いていることも間違いなく・・・。

1. 「ルーチェの値落ち」は、未来の「数億円の利益」のための経費

コレクターたちの頭の中では、ルーチェを約1億円で購入し、将来的にそのEVとしての価値が仮に半額に落ちたとしても、それによって「12チリンドリ」の限定版や、将来の「ラ・フェラーリ」後継のハイパーカーの枠を1台でも確保できれば、その限定車がもたらすプレミア価値(数億円の含み益)で十分に元が取れる、という損益計算が成り立っています。

つまり、彼らにとってルーチェを買う行為は「自動車の購入」ではなく、「未来の爆益資産を手に入れるための“プレミアムな抽選申込金”」というわけで、マクドナルドで(転売目的で)ハッピーセットを買うために「並ぶ」人たちが浪費する時間と同じであるとも考えることが可能です。

ただ、多くの、そして古くからのフェラーリコレクターは、「フェラーリの歴史を共有する」「フェラーリを支援する」という、純粋な”愛”からルーチェを購入する場合も少なくはないはずで、そして先日報じられたような「アジアの富裕層」が”他の人が買わない(買えない)フェラーリ”を購入することによって自身の富をアピールする手段としてルーチェを購入する例もあるものと思われ、もしかすると「踏み台」となる前にルーチェは完売してしまうのかもしれません。

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2. フェラーリが仕掛ける「両刃の剣」

なお、この「ゲーム」はメーカー、顧客の双方にとってリスクを孕んでいて、もし購入者が「本当は欲しくないEV」を無理やり買わされたと感じ、その後、期待していた限定車の案内が届かなかった場合、ブランドに対する信頼は一気に崩壊することに。

カーアドアドバイザーのマックス・ジラルド氏が指摘するように、「個室の予約の取れない名店で、席を確保するために毎回高いワインを開けさせられた挙句、結局メインの個室に通されなかった」となれば、顧客が二度とその店に戻ることはなく、ルーチェが双方にとって「期待を裏切る存在」になるかどうかの瀬戸際が今まさに展開されているということに。

そしてこれはフェラーリも十二分に理解しているはずなので、その意味においても「ルーチェを限定モデルへのチケット」として明確に使用する可能性は低いのかもしれません。

たとえば、直近での発表がウワサされる12チリンドリの「MT」モデルの生産台数は499台だとも言われていますが、この499台という数字は「従来の、フェラーリが本当に重視すべき」コレクターのみを割り当てたとしても少なすぎる(買えない人の方が多い)台数であり、ここへ「ルーチェを購入することでシード権を得て」新たな顧客を割り込ませることは「これまでフェラーリを支えてきた顧客への裏切り」でもあり、そして裏切られたと感じた顧客もやはりフェラーリには戻ってこないはずで、それを考えるならばルーチェを「限定者へのチケット」と明確に示すことは大きなリスクとなるわけですね。

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結論

この件については、いくら考えても答えが出るものではありませんが、フェラーリが世に放った初のピュアEV「ルーチェ」を巡る Bloomberg の報道は、現代のハイエンド・ラグジュアリー市場における「顧客とブランドのパワーバランス」を鮮烈に描き出しています。

1,035馬力、4モーターという驚異的なテクノロジーと、ジョニー・アイブ氏による未来的なデザインを纏いながらも、市場からは「跳ね馬らしくない」と冷ややかな目を向けられがちなルーチェ。

しかし、それすらも「上顧客であり続けるための踏み台」としてゲームの駒に変えてしまうコレクターたちの執念と、それを見越したかのようなマラネロの巧みなアロケーション戦略は(それが事実だとすれば)、まさに資本主義の極みとも言えるものかもしれません。

クルマが単なる移動手段でも、純粋な趣味の対象でもなく、「次の特別な1台」にアクセスするための外交カード(実績)となりつつあるのが現在ということになりますが、もちろんこれはフェラーリに限ったことではなく、すべてのブランドにおいて「お金を出せば欲しいものが買える」という時代はとうに過ぎ去り、モノを買うのが非常に難しい時代に突入した、ということになりそうですね(そしてぼくらとしては、モノの買い方をちゃんと考えなければならないということを意味している)。

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参照:Bloomberg

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