| フェラーリ・ヴィジョン・グランツーリスモ・コンセプトはかなり現実的な仕様を持ち、そのデザインやシステムは今後各モデルに反映されるものと思われる |
現時点でこのボディカラーが何を意味するのかはわからない
さて、フェラーリが予告通り、モナコで開催されたGTワールドファイナルにて、ソニーのゲームシリーズ25周年を記念し、フェラーリ・ヴィジョン・グランツーリスモ・コンセプトの実物大プロトタイプ、そしてオフィシャルフォト/動画を公開。
フェラーリ ビジョン グランツーリスモは、先日公開された耐久レーサー「499P」をはじめ、これまでに発表されたフェラーリのどのレーシングカーよりもアグレッシブなスタイルを持っていますが、もちろんこれはゲームの中で楽しむためのクルマであるということ、それに起因して現実のクルマのような制約がない(公道走行/モータースポーツ上の制約もない)ためです。
フェラーリ ビジョン グランツーリスモはこんなクルマ
このフェラーリ ビジョン グランツーリスモは、フェラーリのデザインスタジオ「チェントロ・スティーレ」、そしてチーフデザイナーのフラビオ・マンゾーニ氏によって制作された「架空のクルマ」で、公式プレスリリースには「フェラーリのロードカーとレーシングカーの未来をデザインするためのマニフェスト」「フェラーリのデザイン言語の再定義」という記載があり、つまりはこのスタイリングの手がかりのいくつかが、将来の市販モデルや、次期フラッグシップに用いられる可能性があることを示唆しています。
なお、このフェラーリ ビジョン グランツーリスモは、330P3や512Sなど過去のアイコニックなレーシングカーからインスピレーションを得てデザインされたとも紹介されていますが、比較的最近のフェラーリ各モデルに近いデザインも見られます。
たとえば、前後フェンダーが丸く盛り上がり、しかしそれをつなぐサイドのラインを低く設定しているあたりは296GTBで取り入れられ、その後499P(下の画像)でも採用されたデザイン手法です(球状のリアフェンダーそのものは過去のフェラーリのレーシングカーがモチーフでもある)。
-
フェラーリがル・マン24時間レースを戦うハイパーカー「499P」を公開!50年ぶりの耐久レースのトップカテゴリに復帰、勝利にかける情熱は計り知れない
| フェラーリはこの499P開発のためにF1、そしてGTレースにおけるノウハウを集結させている | そのルックスは意外とスマートだった さて、フェラーリが予告通り2023年シーズンのFIA世界耐久選手 ...
続きを見る
もちろんこのヘッドライトも499Pと共通するもの。
ボディサイドの「穴」についてもフラビオ・マンゾーニ氏が好んで用いるもので、ちょっと前のコンセプトカー「テンソ」のフロントフード、やはりプロサングエのフロントフード、デイトナSP3のサイドにも(形を変えて)見ることができますね。
ちなみにこちらはフェラーリ・テンソ(コンセプトカー)。
フラビオ・マンゾーニ氏はこういった「ボディ構造の中にエアの通り道」を設ける手法を好むように思います。
加えて、リアアンダーにもデイトナSP3のようなスリット(これも、もとを辿れば過去のフェラーリのモデルにルーツがある)。
このリアのテールランプはなかなかに衝撃的ではありますが・・・。
これは330P4のテールをイメージしたのかも。
フロントのNACAダクトはもちろん・・・。
F40にインスパイアされたものだと思います。
ちなみにですが、見る角度によっては「葉巻型」に見えなくもなく・・・。
かつてのF1マシンをイメージしたと推測するのはちょっと「考え過ぎ」かも。
フェラーリ ビジョン グランツーリスモは「ハイブリッド」
なお、ポルシェやジャガーなど多くの自動車メーカーの「ヴィジョンGT」がピュアエレクトリックパワートレーンを搭載するのに対し、このフェラーリ ビジョン グランツーリスモでは市販モデルに近い「ハイブリッド」を選択。
-
ポルシェ ヴィジョン グランツーリスモ スパイダー発表!「現不可能な技術を使用していない」市販化が可能なエレクトリックハイパーカー
| 近い将来、これに近い形のハイパーカーが登場してもおかしくはないと思う | ポルシェは過去と現在、未来とを結びつけるデザイン手法をうまく見つけたようだ さて、ポルシェはすでに「ポルシェ ヴィジョン ...
続きを見る
さらに興味深いことに、フェラーリのDNAでもあるV12ではなく、(296GTBと同じ)3リッターV6ツインターボを搭載していて、エンジン単体では1,030成木/900Nm、そしてエレクトリックモーターは「フロント2つ、トランスミッションに1つ(つまりSF90ストラダーレ/スパイダーと同じ)」というレイアウトを持ち、合計で326馬力を発生します(リアのエレクトリックモーターだけでも1,100Nmのトルクを発生)。
トランスミッションは(これも現実的な)8速デュアルクラッチで、駆動方式はもちろんAWD。
想定パフォーマンスとしては0-100km/h加速2秒以下、最高速度は350km/h(これもかなり現実的な数字である)。
車体構造はカーボンファイバー製のシャシー、そしてこれにエラスト・キネマティック・サスペンションを組み合わせ、フィオラノ・サーキット(フェラーリのテストコース)でのラップタイムを1分10秒以下と見積もっています(SF90ストラダーレは1分19秒台)。
つまりは相当に速いクルマということになりますが、もちろんこれはフェラーリ ビジョン グランツーリスモがレーシングカーということ、出力が大きいこと、さらには車体重量が軽いこと(1,250kg)ということが大きな要因です。
なお、なぜ車体色がレッドではなくシルバーなのか、そしてなぜエンジンがV12ではなくV6なのか等の疑問は残りますが、それらは今後のフェラーリの市販車や、モータースポーツにおける展開によって明らかになるのかもしれませんね。
このフェラーリ・ビジョン・グランツーリスモ・コンセプトの実物大プロトタイプは、2023年3月までフェラーリ博物館(ムゼオ・フェラーリ)に展示されるといい、しかしプレイステーションを持っていれば、一足先に12月23日からグランツーリスモ7にて、このプロトタイプを運転することが可能です。
フェラーリ・ビジョン・グランツーリスモ・コンセプトのプロモーション動画はこちら
参照:Ferrari