| 現時点では新しいブガッティがどこへ向かうのかはわからない |
環境規制によって「差別化しにくい」時代に突入する中、ブガッティはどうやって排他性を確保するのか?
さて、ブガッティは現行世代最後のモデルとしてロードカーの「W16ミストラル」、そしてサーキット走行専用車の「ボリード」を発表し、それぞれ99台と40台を製造する予定となっていますが(もちろんすべて完売済み)、これによって8リッターW16クワッドターボエンジンが「終了」することに。
その後は(今のところ明かされていない)ダウンサイジングされた新しいエンジンとハイブリッドパワートレーンを積むハイパーカーが登場し、これがシロン世代の後継となると言われますが、「その開発そして製造については、新しく竣工する施設」が担当する、と公式に発表がなされています。
この施設は現在の本社のすぐ横に建設される近代的な建築物で、2階建て構成を持ち、床面積は2,120平方メートルを誇る、とアナウンスされています。
ブガッティは今後どうなるのか
そこで気になるのがシロン後継モデルのハイパーカーがどうなるのかということですが、現時点ではこれに関する情報は抽象的なものしかなく、これまでに語られたのは「ハイパーカーを再定義するクルマ」「誰もがぶっ飛ぶクルマ」ということくらい。
なお、現在ブガッティは(これまでの)ブガッティ・オトモビル、そしてこれとリマックとの共同出資によるブガッティ・リマックとが存在しており、この2社の立ち位置が今ひとつはっきりしておらず、実際のところブガッティ・オトモビルとブガッティ・リマックでは別々のCEOを立てています。
ただ、今後のブガッティは「ブガッティ・リマック」が主導して開発を進めることになるものと思われ、じゃあ「ブガッティ・オトモビルはどうなるの」という気がしないでもないですが、おそらくは次世代モデルの発表あたりから「ブガッティ・リマック」が前面に出て「ブガッティ・オトモビル」は徐々に影を潜めてゆくことになるのかもしれません。※それでも、ブガッティ・オトモビルは今後も存続することがアナウンスされている
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ブガッティの次世代モデルは「機械式腕時計」のような存在に
そして今回、ブガッティ・リマックCEO、メイト・リマック氏がメディアに対して語ったのが「次世代ブガッティは、リマック・ネヴェーラよりも美しく、アナログ式の計器や機械式腕時計のような存在」。
つまりは芸術性を追求するということなろうかと思われ、これは「記録(数字)を追求したとしても、それはすぐに更新されて価値を失ってしまう」こと、しかし「芸術性については優劣を競うことはできず、そして時の流れによって色褪せることがない」という観点からなのかもしれません。※ブガッティ、リマックともに記録に関してはケーニグセグから痛い目にあわされている
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ただ、「機械式腕時計のようなタイムレスなハイパーカー」というと、すでにパガーニが存在しており、同社は最新モデル「ユートピア」にてさらにその方向性に磨きをかけていて、ブガッティとしてはまさか同じ路線で勝負することはできないだろうとも考えます(”比較されるようであれば、それはブガッティではない”というブガッティ創業者の言葉の通り、優劣で争わないとしても、同一路線として語られることは許されないだろう)。
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ちなみにですが、ランボルギーニとブガッティはかつて(親会社の)フォルクスワーゲンが売りに出そうとしたことがあり(グループ内でのミーティングの結果、撤回されている)、それはフォルクスワーゲングループ全体が推し進める「電動化」という方向性にマッチしなかったから。
もちろん両社とも単独で利益を出していたものの、グループ内での矛盾があってはならないということで放出が検討されたわけですが、おそらくはグループに残る代償として、ランボルギーニは「全車電動化」、そしてブガッティは「リマックとの合弁会社設立による(やはり)電動化」という道を選択せざるを得なかったのだと捉えています。
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そして現在、ブガッティはメイト・リマック氏の指揮のもとでニューモデルを鋭意開発中ということになりますが、これについて「シロンとの共有パーツは一切ない」といい、期待がかかる反面、8リッターW16という”他に類を見ない”ガソリンエンジンを捨てることになるブガッティが(今後)どう排他性を持たせるのかはちょっと気になるところ。
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なお、ブガッティは(ブガッティ・リマック設立前に)リマックの協力の下でピュアエレクトリックSUVを開発していたものの、ブガッティ・リマック設立後はこの計画がキャンセルされたといい、これはメイト・リマック氏の「ハイパーカー以外は作らない」という新しい意向に沿ったものだとも考えられます。
そう考えると、やはりブガッティ・リマック設立前から進められていた「シロン後継モデル」についても計画が(メイト・リマック氏の意向に沿うように)変更される可能性も考えられ、しかしそれを知るにはもう少し時間を要するのかもしれませんね。
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参照:Bugatti