| もともと両者の関係性は良好ではなく、反発し合う仲でもある |
ここは破談とし、日産はフォックスコンに身売りするのが「ベター」であろう
さて、年明けから大きな話題となっているのが「ホンダと日産との合併(経営統合)。
これについては様々な課題が山積しており、1月末に出すとされていた結論が2月後半に持ち越されたことでもその「難航」ぶりが伺えます。
そして今回いくつかの新しい報道がなされており、そのひとつが「経営統合ではなく、ホンダが日産を買収する」ということ。
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ホンダは経営統合ではなく買収によって主導権を握る?
これまでの流れだと、ホンダと日産は「経営統合」を行い、新しい持株会社を設立し、その下に「ホンダと日産」がぶら下がる(つまり対等)という構造であったものの、今回出てきた話ではホンダが日産の株式を取得し(つまり買収)、これによってホンダが日産の経営権を握るという形式です。
ただしこの動きは「予想外」ではなく、というのもホンダはかねてより(日産の株式の多くを保有する)ルノーの影響力を懸念しており、日産に対して「ルノーの持ち分を買い戻すように」と強く求めてきたとい経緯が存在するため(経営統合後、ルノーあるいはルノーから株式を譲り受けた第三者が日産をコントロールする可能性が出てくる)。
一方、日産は「ルノーの影響を徐々に排除しながら、”時間をかけて”株式を買い戻す」計画を持っていて、しかしホンダの要望に従うためにはこれを「前倒し」する必要が出てきます。
なお、この合併の目的のひとつは、コスト削減による競争力強化で、しかし、短期間で多額の資金を投じてルノーから株式を買い戻さなければならないとすれば、その(経営統合の)目的自体が揺らぐことになり、日産にとっては「経済的に難しい」話であることも推測可能。
参考までに、日産は長年ルノーとの関係に苦しんでいて、元CEOカルロス・ゴーンの退任後、日産はルノーの影響を弱めるために株式の信託化や議決権の制限を進めてきたという背景を持っていますが、仮にホンダが日産の株式を取得することになれば、今度はホンダの意向に左右される立場となる可能性が生じ、日産としては「意図しない」動きをホンダから迫られることが出てくるかもしれないわけですね。
こうした状況を踏まえると、今回の発表延期は「日産側がホンダの要求に代わる解決策を模索しているため」だとも考えられ、現在日産内部では日夜様々な解決策が検討されているのかもしれません。
ホンダと日産の経営統合は「破談」になる可能性も
そしてもうひとつ出てきているのが「ホンダと日産との経営統合、あるいは買収が破談になる」という話。
その大きな理由としては、ホンダによる買収に対し「日産が強く反発している」ためだとされ、これはホンダと日産との過去の経緯、今回の経営統合模索に関する発表会における両者の微妙な距離やコメントを見てもわかります(そもそも両者がわかりあえないであろうという雰囲気が双方の前提にある)。
そしてこれに関する報道では日産幹部の「双方の条件を満たすことは不可能に近く、経営統合や合併は不可能である」、一方のホンダでは「日産には緊張感が足りず、これ以上付き合うことはできない」というコメントが紹介されており、現時点では破談となってしまう可能性が非常に高いように思われます。
なお、今回の経営統合においては「両者にメリットが出にくい」と言われていて、それは両者の技術や戦略、プロダクトポートフォリオ、さらには市場が近いためで、お互いを「補完」するというメリットを見いだしにくいため。
加えて「持株会社のもとに2社がぶら下がる」のでは今までと変わらず、マスメリットも生じにくいと考えられており(その状況でお互いが友好的に技術の共有を行うとは考えられない)、多くの予想の通り「今回の話はなかったことに」なりそうですね。
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参照:NHK, Yomiuri Online, etc.