
Image:Bovensiepen
| BMWとの不仲を示すかのように「BMW」の名、そして特徴が見事に消し去られている |
おそらくはアルピナ残党は今後様々なモデルを展開することになりそうだ
さて、ザガートはアルファロメオ8Cベースのコーチビルド車両、8Cドッピアトロンカを発表したところですが、続いてコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステにてボーフェンジーペン・ザガートを公開しています。
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なお、このボーフェンジーペン(Bovensiepen)というのは名門パフォーマンスブランドであるアルピナの創業者の名で、このクルマは一昨年に他界したこの創業者へのオマージュということに。
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ボーフェンジーペン・ザガートはこんなクルマ
そして「アルピナ」は2022年にBMWへと買収され、今後新たなる展開がなされる予定ですが、今回このクルマを手掛けたのはBMWではなくアルピナの創業者一族。
ベースとなるのはBMW M4だと説明されており、しかしその面影が「皆無」なところにアルピナ一族のBMWへの反抗を見て取ることもできなくはないと考えています。
実際のところ、このボーフェンジーペン・ザガートを見てベース車を想像することは非常に困難で、マスタングのようにもアウディのようにもプジョーのようにも見える不思議なルックスを持っているようですね。
「このプロジェクトへの熱意、新たなラグジュアリーブランドの最初のモデルを発売するというアイデア、そして2つのファミリーのDNAを融合させるという強い思いが、チームの努力を支えました。2つのDNAを融合すれば、より強いDNAが生まれるはずです。」
ザガート3代目社長 アンドレア・ザガート
Image:Bovensiepen
このボーフェンジーペン・ザガートはザガートの最も有名なスタイリングの一つである、「誇り高きダブルバブルルーフ」を備えており、フロントエンドとリアエンドにはi8の影響を見て取ることができるようにも思われ、そこへアルピナらしい要素がさりげなく組み合わされています。
テールライトをよく見ると、アルピナお馴染みのストライプを彷彿とさせる細いライトシグネチャーが目に入り、20インチホイールやフロントバンパー下部のレターもその系譜を受け継いでいるようですね。
ボディ全体はほぼカーボンファイバー製で、追加されたコーチワークやカスタマイズの一部を相殺するのに役立っていますが、それでも最終的な車両重量は1,895kgとなり、ベースモデルのM4(1,775kg)から大幅に増加しています。
ボーフェンジーペン・ザガートはこんなインテリアを持っている
一方、このボーフェンジーペン・ザガートのインテリアはM4のコアレイアウトはそのままに特注の素材とカラーの組み合わせによってアップデートされており、公開された個体ではディープブルーのインテリアを採用しています。
なお、このボーフェンジーペン・ザガートは実際に市販がなされ(まだ価格は公開されていない)、ボーフェンジーペンによると購入者は16種類の標準レザーカラー、45種類のアルカンターラカラー、そしてフルビスポークプログラムを通じてさらに多くのオプションから選択できるとのこと。
Image:Bovensiepen
興味深いことに、ボーフェンジーペン社はM4のどのバージョンをベースとしているのかを具体的に明かしておらず、ドライブトレインのオプション、ギアボックスの選択肢、さらには後輪駆動か四輪駆動かといった詳細も明らかにしていないままで、さらに言えば、実際のところボーフェンジーペンは「BMW」という言葉を一切使っていないところには要注目。
分かっているのは、搭載されるエンジンがM4の3.0リッター直列6気筒ターボチャージャー付きエンジンということ、大幅な改良が施され、611馬力の最高出力と700Nmのトルクを発生しているということくらい。
これは標準のM4の480馬力と550Nmからの大幅に向上であり、ベースモデルのM4より120kg重いにもかかわらず、ボーフェンジーペンGTは0~100km/hをわずか3.3秒で加速し、ボーフェンジーペンによると最高速度は「300km/hを超える」。
そのほか、ボーフェンジーペン・ザガートはチタン製アクラポヴィッチ製エキゾーストシステムを搭載し、その重量はわずか22kgにとどまるため、従来のシステムより約40%軽量化されていること、サスペンションにはボーフェンジーペンが「グランツーリスモ」と呼ぶドライビングエクスペリエンスのために特別にチューニングを行ったビルシュタイン製の専用開発ダンプトロニックダンパーを採用していることについても言及しています(このサスペンションはコンフォート、スポーツ、スポーツプラスの3つのモードを切り替えることができる)。
ボーフェンジーペンはヴィラ・デステでのデビュー後に生産計画を推し進め、最初の納車は2026年第2四半期末を予定しているそうですが、価格と生産台数は2025年第4四半期に発表されるといい、しかし正直に言うならば、少なくとも「ほとんどの人にとっては、”購入できない”ものと思われます。
ボーフェンジーペン・ザガートの公式プロモーション動画はこちら
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参照:Bovensiepen Automobile