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ポルシェ「ええ、電動ハイパーカーは作りません。理由?誰も欲しがらないからに決まってるじゃないですか」一方でなぜ次期718は電動に?

ポルシェ「ミッションX」コンセプトの真上から
Porsche

| 需要皆無と判断されたEVハイパーカーの未来 |

あれだけ「電動」にかけていたポルシェではあるが

タイカンやマカン、カイエンの電動化を積極的に推進し、次世代718ボクスター/ケイマンのフルEV化も控えているポルシェ。

しかし、ブランドの頂点に立つ次世代フラッグシップ・スーパーカーの開発においては、極めて明快で現実的な一線を引いていることが明らかに。

2026年10月に公開されたミッドシップ・コンセプト「Mission S」をベースとする市販”フラッグシップ”モデルについて、ポルシェは純粋なバッテリーEV(BEV)版を設定しない決定を下しており、「このセグメントにEVの需要はない」と言い切るポルシェの決断背景、そして世界的なスーパーカーメーカーたちが直面しているEVハイパーカー市場のリアルな現状について考えてみましょう。

ポルシェ「ミッションS」のエクステリア〜ホワイト、フロント
Porsche

この記事の要約

  • ポルシェのマイケル・ライターズCEOが、911の上に位置する新世代ミッドシップ・スーパーカー(Mission S)において純電動(BEV)モデルを設定しないと明言
  • 同セグメントにおけるEVの需要が一切存在しない(”There is no demand”)という市場の判断に基づき、開発プラットフォームはガソリンエンジン(内燃機関)およびハイブリッド専用として最適化される
  • ランボルギーニやパガーニ、リマック(Neveraの生産目標未達)など、超高級パフォーマンスカー市場全体で「大排気量エンジンのフィーリングやサウンド」を求める声がEVのスペックを凌駕している現状が浮き彫りとなっている

ポルシェ「電動スーパーカー不採用」の概要

ポルシェ最高経営責任者(CEO)であるマイケル・ライターズ(Michael Leiters)博士は、911の上位に位置する新世代ミッドシップ・フラッグシップ車について「このプラットフォームからBEV(電気自動車)が登場することはありません。なぜなら、このセグメントにおいてEVの需要が皆無だからです」と強く断言。

ポルシェ「ミッションS」のエクステリア〜ホワイト、リア
Porsche

タイカンなどのプレミアムEVセダンやSUVでは(一定の)成功を収めているポルシェではありますが、数千万円〜数億円規模を投じるスーパーカー購入者が求めているのは「効率や無音の加速」ではなく「エンジンのサウンド、ダイレクトなレスポンス、そして内燃機関特有のキャラクター」であると判断した結果であると報じられています。

パワートレインの方向性

純電動化を回避した「Mission S」のプラットフォームは、エンジンを中心とした多様なパワートレインに対応する極めて柔軟な基本構造を備えていて・・・。

  • ガソリンエンジン & ハイブリッドへの特化:新開発のミッドシップ・プラットフォームは、純内燃機関(ICE)、ストロングハイブリッド(HEV)、プラグインハイブリッド(PHEV)をサポートする設計に。これによって重量のある大容量バッテリーを無理に積み込むことなく、軽量で走りの質感を重視した車体構成が可能となる
  • フラッグシップとしての「エンジンの保持」:かつて「911に完全電動モデルは永久に作らない」と宣言したポルシェではあるものの、その思想は最高峰のミッドシップ・スーパーカーにも適用されることになり、エンジンの拍動やミッドシップ配置のメカニカルな美しさを核としたクルマ造りが貫かれる
ポルシェ ミッションSのインテリア〜シフトノブ
Porsche
項目ポルシェ 新型ミッドシップ・スーパーカー(Mission S)の方針
車両位置付け「911」の上位に君臨するミッドシップ・フラッグシップ
純電動(BEV)モデル設定なし(需要皆無と判断)
採用パワートレインガソリン内燃機関(ICE) / ハイブリッド(HEV) / PHEV
トランスミッションマニュアルトランスミッション(MT) & PDK(デュアルクラッチ)対応
判断の理由スーパーカー購入層における「エンジン性能・フィーリング」への強い需要
ポルシェ ミッションSのインテリア〜シフトノブ
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競合比較・市場での位置付け

「電動スーパーカーの需要低迷」に頭を悩ませているのは、ポルシェ一社にとどまらず、世界のハイエンド・スーパースポーツブランド全体が同様の壁に直面しており・・・。

  • ランボルギーニ(Lamborghini)のEVプロジェクト一時凍結:ステファン・ヴィンケルマンCEOはEVスーパーカーを「高価な趣味」と呼び、市場の準備が整っていないと言及。当初フルEVとして計画されていた2+2モデル「ランザドール(Lanzador)」もハイブリッド車への再設計が進められている
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  • パガーニ(Pagani)の判断:ウトピア(Utopia)のEV版を長年研究していたパガーニではあるが、世界中のディーラーや既存顧客にヒアリングを行った結果、「誰一人として興味を示さなかった」ため開発プロジェクトを完全に白紙撤回
  • リマック(Rimac)の生産目標未達:EVハイパーカーの最高峰であるリマック「ネヴェーラ(Nevera)」は、当初計画していた150台の生産目標に対し、実際に販売できたのは71台にとどまったことが明らかに。0-100km/h加速の驚異的な数値や最先端の技術力だけでは富裕層の購買意欲を揺さぶるには至らなかったことを示している

ブガッティ トゥールビヨンのセンターコンソール
EV界の風雲児、メイト・リマックが方向転換。「スーパーカーの未来はガソリンエンジンにある。機械式時計のような感性・ロマン」の領域に突入した」

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なお、ランボルギーニはポルシェと同じフォルクスワーゲン・グループ傘下にあり、そしてポルシェはリマックに対しても高い出資比率を持っていたために「身を持って」ハイパーEVの需要がまったくないということを理解していたということなのかもしれませんが、そういった状況にありながらも「理解ができない」のは、718ケイマンとボクスターの次世代モデルを「EVのみとする」という決定を下したこと。

ポルシェ718ケイマンのフロントフード
Life in the FAST LANE.
ポルシェ981ボクスターの俯瞰
結局のところ・・・。ガソリン版ポルシェ「718ボクスター/ケイマン」復活の可能性が完全消滅したようだ。次世代型はフルEV専売へ

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なぜ「電動ハイパーカーの需要はまったくないのに、電動スポーツカーの需要があると判断したのか」、その根拠については語られておらず、ここについては強い疑問が残る部分です(電動ハイパーカーの需要がないことについては多くの人が納得できるが、次期718ボクスター・ケイマンを完全電動化することについては納得できない人も多いであろう、果たして「高価で重いボクスターやケイマンに価値はあるのか、と)。※タイカン、マカン、カイエンのエレクトリックバージョンの存在意義は理解できる

補足情報

いずれにせよ、今回のポルシェの発表からは、自動車業界における「電動化のグラデーション(使い分け)」という新しい気付きが得られることは間違いなく・・・。

  • 「実用車EV」と「趣味車ICE」の明快な分離:ポルシェはEV全般を否定しているわけではなく、日常の移動や快適性が重視されるSUV(マカン、カイエン)やグランドツアラー(タイカン)では電動化を積極的に推進しつつ、純粋な走りのエモーションが求められるフラッグシップ・スーパーカーではガソリンエンジンを残すという、極めて合理的なポートフォリオ戦略を敷いている
  • スペック競争から「感性価値」への回帰:スペック(馬力や0-100km/h加速タイム)上の数字争いにおいてはEVが圧倒的な数値を出せる時代となり、しかしだからこそ富裕層のコレクターたちは、機械としての複雑さ、エンジンの排気音、マニュアル操作の楽しさといった「感性的な価値」へ回帰している

それでもやはりポルシェが「電動版」718ボクスター / ケイマンを何のために発売し、どういった人々に届けようとしているのか(購入者にどういったメリットがあるのか)はちょっとナゾ。

ポルシェ718ケイマンのテールランプ
Life in the FAST LANE.

結論

ポルシェが下した「電動スーパーカー不採用」という決定は、現在のハイエンド・パフォーマンスカー市場における顧客の本音を如実に物語るひとつの事象。

どれほど技術が進化し加速性能が向上しようとも、スーパーカーの真の魅力はエンジンの鼓動や車との対話にあり、内燃機関とハイブリッドの可能性を最大限に活かして誕生するポルシェの次世代フラッグシップは、迷走するハイパーカー市場において真の指標となるものと思われます。

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参照:Motor1

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