| イエローはいつでも少数派、そしてイノベーターのボディカラー |
そろそろ「無難」が評価されなくなってきた?
さて、ボディカラーによって大きくリセールバリューが変わることは周知の事実ではありますが、最近「ボディカラーと価格」との関係につき、ちょっとした変化が起きているもよう。
今でも「ホワイトとブラック」がもっとも高い人気を誇るボディカラーであることは変わりがなく、しかし数年前とは異なり「よりリセールのいい」ボディカラーはホワイトやブラックではなく、なんとイエローであるという統計が出ています。
ここでその内容を見てみましょう。
イエローの値落ち率は極端に低い
この統計はiSeeCarsによって集計されたもので、アメリカ市場における「3年落ちの中古車65万台」を調査し、それぞれのボディカラーにおいて「新車からどれくらい価格が下がっているか」を調査したもの。
つまり「販売価格」を調べたものであって「買取価格」を調べたものではないということには注意を要しますが、まずはボディカラーと値下がり率について見てみましょう。
ボディカラー別値落ち率ランキング
- イエロー・・・4.5%
- オレンジ・・・10.7%
- パープル・・・13.9%
- レッド・・・14.0%
- グリーン・・・14.0%
- ブルー・・・14.3%
- グレー・・・14.3%
- ベージュ・・・14.4%
- シルバー・・・14.8%
- ホワイト・・・15.5%
- ブラック・・・16.1%
- ゴールド・・・16.7%
- ブラウン・・・17.8%
この結果を見るに、「ちょっと信じられない」ようにも思われ、というのも個性的な、そしてむしろ街中で見かけないカラーばかりが「値落ち率が小さい」としてランクされているため。
ちなみにぼくはカラフルなクルマを好むことが多く、そういったクルマは売却時に「ホワイトかブラックだったらもっと高く買い取れるんですけどね・・・」と言われることが大半であり、あまり「色」で得をしたという経験がないわけですね。
もちろん上述の通り、この統計は「売値」であって「買値」ではなく、しかし最近は売り手が多数の売り先を同時に比較できるため、業者が「買い叩く」例は少なくなっていて(買い叩こうとすると買い取れない)、よって今ドキ、売値と買値との関係性はボディカラーによってもそう大きく変わらないんじゃないかとも考えています。
そこで視点を変え、「人気色」のほうを見てみると、2022年の統計だと以下のとおり。
人気ボディカラーランキングと市場占有率
- ホワイト・・・35%
- ブラック・・・18%
- グレー・・・14%
- シルバー・・・11%
- ブルー・・・8%
- レッド・・・7%
- ベージュ/ブラウン/ゴールド・・・4%
- グリーン・・・2%
これを見ると、「値落ち率」とはほぼ逆の結果となっていて、しかしホワイトやブラックの人気が下がっているわけではなく、むしろ3位のグレーまでは前年比で占有率が増加しており、これらの占有率が逆に高くなっているわけですね。
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ボディカラーは「見栄え」「差別化」の時代に突入か
そしてiSeeCarsは、イエローの値落ち率が小さいことついて、イエローはもともと市場占有率が低いカラーであり希少であること、目を引きやすいことから人気が高く、比較的”価値が保たれる”カラーである、と結論付けています。
逆にホワイトやブラック、シルバーは市場に溢れすぎており「目を引かず」売れにくい状況となっているそうですが、これは人々がクルマを選ぶときの基準が「目立たない」から「目立つ」へとシフトしてきたからなのかもしれません。
その理由としては、先行きが不透明な状況に置いて、少しでも明るい気持ちを保ちたいということがあるのかもしれませんが、クルマだけではなく様々な製品全般的に「他の人とは違う」モノを選ぼうとする人が増えてきたからなのかも。
そして「他の人とは違う」モノを選ぶ理由としては、承認欲求やSNSでの「映え」など様々な要素があるとも考えられ、コロナ禍に突入した後、(リアルでの人との接点が減ったせいか)他の人の意見よりも自分が本当にほしいかどうかを重視してモノを選ぶ人々が増えたとも言われており、スポーツカーにおいては「扱いきれない高スペック」車から、「日常的に乗れるお手軽スポーツカー」へとシフトしてきたという意見も聞かれます。
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一方でスーパーカーにおいては「ステレオタイプなボディカラー」から、自分が好きなカラーを自由に選んだり、多額のコストを投じて他の人とは異なる「自分仕様に」クルマを仕立て上げるという傾向も顕著になってきているとも報じられており、消費者が「流行や他の人の意見に左右されず」自由に、そして自分自身の感性によってモノを選ぶ時代に突入しつつあるのかもしれません。
ただし全員が個性的であるわけではない
ただ、「じゃあこれからの自動車のボディカラーは目立つ色のほうが主流になるのか」といえばそうではなく、そういった「自分の判断基準に従いモノを選ぶ人」はイノベーター理論による「アーリーアダプター」までだと考えられ、つまりは多くても16%くらいだと考えられます。
これは「白黒グレーで80%を占める」という現実の自動車のボディカラーの状況とも合致しており、よって現在の「イエローの市場占有率が低い」という状況は変わらないと捉えているワケですね。
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「不人気車は台数が売れず、結果的に市場に出てくる個体が少ないため、中古市場では高値をつけがち」なのと同様、新車時に「イエロー」を選ぶ人が少ないために中古市場ではイエローのタマ数が少なく、そこへ人気が集中するのかもしれませんが、なぜ「新車で人気がないのに、中古になると人気が出るのか」はちょっとナゾ。
もしかすると、新車注文時だと「目の前にイエローのクルマがないとイエローを想像しにくく、その状態ではイエローを注文する勇気が湧かない」のかもしれません。
一方で中古市場だと、すでに目の前や画像にてイエローが存在し、目にしたとたん「欲しくなってしまう」「他のボディカラーよりも魅力的に見えてしまう」といった可能性もありそうですね。
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参照:iseecars