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トランプ政権が新たに「高額な港湾使用料を課す」方針を決定。これでまた輸入品の価格が上昇し、その負担を背負うのは「他国」でも「船会社」でもなく、「消費者」となりそう

トランプ政権が新たに「高額な港湾使用料を課す」方針を決定。これでまた輸入品の価格が上昇し、その負担を背負うのは「他国」でも「船会社」でもなく、「消費者」となりそう

| もはやトランプ政権の決定に対応することは企業にとって困難である |

よって「四年後にトランプ大統領が消えるのを待つ」という判断が主流になりつつあるもよう

さて、ドナルド・トランプ大統領の課す「関税」によって世界中の企業活動、そしてぼくら消費者の生活環境はますます先行きが暗くなるばかりですが、当のドナルド・トランプ大統領はこれを「世界は(良い方向へと向かうために)薬を飲む必要がある」「金持ちになるチャンス」だとコメントしています。

つまり関税は「目的」ではなく「手段」だと捉えており、その先になんらかの計画があるということも伺えますが、現時点では「世界経済をひっくり返し、アメリカが世界経済のリーダーとしての地位を手放すような政策」「生活費を引き上げるために考えている施策」としか捉えられていないのが実情です。

トランプ政権はさらなる「障壁」を設ける

なお、関税というのは、自国の産業を守るため、安価な外国製品に税金をかけ、国内産業を保護あるいは成長促進するための政策(外国に対する参入障壁)ですが、報道によると、トランプ政権はさらなる障壁を設けようとしていると報じられ、それは「巨額の港湾使用料」。

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船便でなにかを輸入するとすれば、船はアメリカの港へと付ける必要があり、そこで発生するのが「港湾使用料(いずれの船もタダで港を利用できるわけではない)」で、トランプ政権はこの港湾使用料を大きく引き上げる方針を決定しており、ロイター通信が報じたところによれば、共和党の現在の計画だと「中国製の貨物船に対して、寄港ごとに最大150万ドル(約2億3千万円)の港湾使用料を課す予定」。

しかもこの料金は、各港で積み下ろす貨物の価値には関係なく一律に課され、つまり「安価な積み荷ほど、この影響を受けてしまい、アメリカ国内での価格が高くなる」。

アメリカは「港ごとに」費用を徴収

さらにこれは「アメリカ国内に入った後、一回払えばいい」のではなく、「港ごとに」徴収され、たとえばロサンゼルス港に一度だけ寄港してすべての貨物を降ろす船は1回分の料金で済みますが、複数の(アメリカの)港に寄港する船は、寄港するたびにその都度150万ドルがかかるという仕組みです。

この施策は「アメリカの造船業を再興するため(アメリカ製の船であれば、外国製品を輸入したとしてもこの港湾使用料が課されない)」とされていますが、これが奏功する可能性は低いとも見られており、というのも「アメリカの造船業は、巨大な貨物船を建造する体制がそもそも整っていないから」。※主に海軍用の艦船や、ハワイやグアムなど限られた地域向けの小規模な商船を建造しているのみ

一方、中国の造船所は年間1,000隻以上の貨物船を生産しており、アメリカはそのわずか1%、年間約10隻しか建造できておらず、よって、仮にアメリカ国内で造船するコストの高さを無視しても、競争力を持つまでには相当な時間がかかり、アメリカ製の貨物船が建造されるまでには何年といった時間がかかるのかもしれません。

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事態はより「混乱」と「悪化」へと向かうかも

こうした巨額の港湾使用料を回避するため、多くの船会社は小規模な港を避け、大型港に集中するようになると見られていますが(大型船を使用し、積荷あたりのコスト増加を最小限に抑えるため)、その結果、小さな港では仕事が減り、雇用削減が始まると見られています。

一方、大型港は貨物量の急増に対応しきれず、需要に対して処理能力が追いつかなくなり、大規模な処理遅延が発生するとも見られ、またもや「アオリをくらう」のは労働者や消費者ということに。

一部の船会社は、船をカナダやメキシコの港へ迂回させ、そこからトラック輸送でアメリカ国内に物資を運ぶことも検討しているようですが、それによって今度は国境付近で大渋滞が発生するリスクも出てきたり、用意できるトラックの台数が十分でなければ(トラックが足りなくなれば)、やはり「配送遅延」が生じる可能性も。

こういった政策の背景にあるのは、「トランプ政権が、それでも船会社が引き続きアメリカ市場を相手にすると考えているから」で、つまりアメリカがどんなに無理難題をつきつけようとも、世界はアメリカを無視できず、それに従うしかないと考えているからだと思われますが、実際のところ大手船会社、Genco Shipping & Trading Ltd.によると「実情」は以下の通り。※アメリカは自身を「世界の中心」だと考えているものの、諸外国にとってはそうではないようだ

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アメリカは「世界の中心」という感覚ではあるが

「当社はアメリカ製の船を一隻も所有しておらず、アメリカのビジネスを特に必要としていません。そもそもアメリカからの収益は全体の10%にしかすぎず、高額な港湾使用料が課されれば、私たちは船を別の市場に向けるつもりです。世界にはたくさんの取引先があるのです。」

現在、関税含め毎日新しく出てくるトランプ政権の政策に対応することは非常に難しく、というのも企業にとっては多額の投資と長い時間が必要となるためで、しかし最近では「4年後にはトランプが射なくなるからそれまで待つ」とする向きもあるもよう。

つまりトランプ政権の意図のとおり、アメリカでの生産を加速させたとして、工場を建設しその製品をようやく製造できるようになった頃には「政権が交代してトランプ政権時代の政策が撤回され」その工場が無用になる可能性もあるためです。※ただ、1年後くらいにトランプ政権が「真に意図した成果」があらわれ、アメリカが潤う可能性も否定できない

しかしそれまでの間、最終的にこの政策の負担を背負うのは「他国」でも「船会社」でもなく、「消費者」ということだけは間違いないのかもしれませんね。

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参照:Jalopnik

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