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「強度が高く、腐食しない」ステンレスはなぜ自動車のボディにほとんど使用されないのか?実は自動車のボディには「非常に向いていない」素材だった

2023/02/23

「強度が高く、腐食しない」ステンレスはなぜ自動車のボディにほとんど使用されないのか?実は自動車のボディには「非常に向いていない」素材だった

| ステンレススティールをボディに使用したクルマはおそらくデロリアンくらい? |

ただしテスラ・サイバートラックはステンレスボディの採用に挑戦しようとしている

さて、テスラは今年の後半にサイバートラックの量産を開始する予定ですが、その数は「さほど多いものではない」と言われ、つまり、量産が始まるといえども今年はまだ「試験的」なレベルに留まり、本格的な生産がなされるのは来年以降だと考えていいのかもしれません。

そしてこのテスラ・サイバートラックの大きな特徴としては(そのデザインもさることながら)ボディパネルにステンレススティールを採用していることで、この素材は傷つきにくく、強度が高く腐食しにくいといった特徴を持ち、ある意味では自動車にとって理想的な存在であるようにも思えます。

ただ、一方でこの素材を使用した自動車というのは(デロリアンDMC-12を除いて)皆無に近く、そこで今回「なぜステンレススティールを使用する自動車が少ないのか」に焦点を当てた記事が米カーメディアによって公開されており、その内容を紹介したいと思います。

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ステンレススティールは自動車を製造するには最適な素材ではない

この記事によると、「ステンレススティールは、そもそも自動車を製造するのに最適な素材ではない」。

見た目こそは先進的でクールではあるものの、ステンレス合金にはニッケルやモリブデンなど、一般的に需要が高い成分を含むため、一般的な自動車に使用される鉄鋼(スティール)よりもコストが高い、とのこと。

サイバートラックはギガキャストをはじめとする画期的な製造方法によってコストを著しく下げているといわれ、フォードのピックアップトラック「「F-150」の1/7程度の製造原価にとどまると言われていますが、この「ステンレスをボディパネルに使用すること」で製造原価がそこまで安くならず、むしろサイバートラックはコストが高くなるのではないか、とまでも言われているもよう。

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そしてもうひとつの理由は「加工が難しいこと」。

これはステンレススティールの反発力が高い(元の形に戻ろうとする性質がある)ことに起因しており、一般的なスティールのようにプレス加工を施すことができず、溶接する際にも特殊な技術が必要になると言われます。

よって製造はもちろん、修理の際にも復元することが難しく、万一破損すればパネル単位での交換となる可能性が高いため、ユーザーからすると維持費が高い車になってしまう可能性があるわけですね。

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テスラはサイバートラックのボディに関する情報を公開していない

そして「自動車のボディとして」ステンレススティールを使用するにはまだまだ課題があり、安全上の観点からだと「衝突時のエネルギーを吸収できない」。

スティール製ボディであれば衝突時にグシャっと潰れて衝撃を吸収するものの、ステンレススティールは反発力が強いので衝撃を吸収できず、車体や乗員に衝撃を直接的に伝えることとなってしまいます。

こういった「コストが高い」「加工が難しい」「修理が非常に困難」「安全性を担保できない」という理由から「ステンレススティールは自動車のボディとしては非常に不向き」であり、一方のメリットとしては「見た目が未来的」「無塗装であればスクラッチに強く、ぶつけなければノーメンテで美観を維持できる」という程度。

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つまりはメリットとデメリットとを天秤にかけると「とうてい自動車のボディとして使用するには向いてない」ということがわかりますが、テスラはサイバートラックにステンレススティールのボディパネルを与える可能性が高く、そこまでしてこの素材に拘る理由は不明です。

加えて、この素材を自動車のボディに使用するための特許出願も今のところ見られないそうで(サイバートラックに採用される”折り曲げたガラス”の特許は確認されている)、実際にステンレススティールがサイバートラックのボディに採用されるのか、採用されるのであればその方法はどうなるのかなどはナゾのまま。

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ただ、イーロン・マスクCEOは、同氏がテスラとは別に経営する航空宇宙産業会社、スペースXにてこの素材を使用したロケットを製造しており、ステンレススティールに関するノウハウが他自動車メーカーより豊富であるのもまた事実。

よって何らかの解決策を持っているとも予想されていますが、それが明らかになるのはもうちょっと先のことになるのかもしれません。

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参照:Jalopnik

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