| はたしてミニはどこまでその楽しさを”エレクトリックJCWにて”実現できるのか |
さて、ミニがジョンクーパーワークス「エレクトリック」を開発していると報じられたのはわずか1ヶ月前ですが、今回はミニが公式に「ジョンクーパーワークスのエレクトリックモデルをテスト中」と発表し、プロトタイプの画像を公開することに。
なお、ミニはすでに通常ラインアップにおいても、EVたる「ミニクーパーS E」を発表しており、一気にエレクトリック化へと向かうことになりそうです。
-
ミニJCW GP「エレクトリック」試作車が早くも目撃!ミニは本当にJCWを電動化するようだ
| 「ミニがエレクトリック版ジョンクーパーワークスGP発売」というのは数日前に報道されたばかり | つい先日、「ミニがエレクトリック(EV/電気自動車)版ジョンクーパーワークスGPを2022年に発売」 ...
続きを見る
ミニはやはり様々な可能性を模索中
なお、現在のところミニは販売減少傾向に歯止めがかからず、よって様々な方向性を模索中。
そこで進めていたのが「街中特化型のアーバンモビリティ」路線ですが、今回ミニは「JCWモデルは次世代においても引き続き重要な役割を果たす」とも述べており、アーバンモビリティ以外にも「エレクトリックスポーツ」路線を進めてゆくのかもしれません。
EV時代の方が「競争が厳しくなる」
なお、ぼくが思うのは「EV時代が到来すれば、今以上に競争が厳しくなる」ということ。
どういうことかというと、EVの基本構成は「バッテリーとモーターとインバーター」というもので、これらについてはかなり高いレイアウト的自由度を持っています。
逆にガソリンエンジンだと様々な制約があり、エンジンとトランスミッションとの位置関係、そして冷却系や吸気系の配置には制約が発生することになり、その制約の中でいかに優れたパッケージングを採用するかが「そのメーカーの腕の見せどころ」であり、そのメーカーの持つ排他性である、とも考えているわけですね。
エレクトリック時代になるとミニの優位性は消失?
たとえば初代ミニが実現したエンジン横置きFFというレイアウトであったり、ポルシェ911の持つリアエンジンも同様だと考えているのですが、EVになるとそういった「これまで築いてきたアドバンテージ」がほぼ消失してしまい、どこが作っても同じようなレイアウトになってしまう、という現実があるんじゃないかと思います。※横置きFFについてはすでにどこでも持ちうるレイアウトになってしまい、ミニの優位性はすでになくなっていますが
そうなれば性能や利便性において「ガソリンエンジン時代ほど」差が出なくなり、かつブランドとしてのアイデンテティも示しにくく、「どのメーカーのクルマ(EV)を購入しても大差ない」という状況に。
重要なのは「ブランドイメージ」
そしてEVというと「全然楽しくない」という印象を大方の人は持っており、EVを購入するのに二の足を踏んだり、どうせ楽しくもなく構造も同じであれば安いEVでいいや、ということになるかもしれません。
そこでどうやって自社のEVの販売を有利にするかということを考えると「ブランドイメージ」に頼ることになり、「あのメーカーの車は高級だから」「あのメーカーの車は運転して楽しいから」「あのメーカーの車は乗り心地に優れるから」といったイメージを作り上げることが重要なのだと思います。
そういった意味において、JCWはミニにとって、シトロエンやプジョー、そのほかのコンパクトカーとの差別化を行うための「手段」として有効であり、「(運転が楽しい)JCWを作っているメーカーであれば間違いないだろう」と人々に思い込ませるようにしたいのかもしれません。
実際のところミニがどう考えているかは不明ですが、「つまらないクルマばかりを作るメーカー」よりも、「楽しいクルマを作っているメーカー」の製品を買いたい、とぼくは常々思います。