| 塗料にはガレスフレークを配合、ボンネット上には「水の紋様」を再現 |
内装に使用されるレザーは手作業にて立体加工が施される
さて、ロールス・ロイスはこれまでにも様々なワンオフモデルを公開していますが、今回は一連のカスタム車両のなかでも「とびっきりの」一台を公開。
これはファントム「シントピア」と名付けられた一台で、オランダのファッションブランドであるイリス ヴァン ヘルぺン(Iris van Herpen)のデザイナー、イリス ヴァン ヘルぺン本人によってオーダーされたもの。
ファントム・シントピアの企画は2018年に始まったといい、同年にイリス ヴァン ヘルぺンが掲げたファッションショーのテーマ「シントピア」を視覚的に再現していますが、イリス ヴァン ヘルぺンはコレクションごとに様々なテーマを提示し、立体的かつ未来的なアパレルをデザインすることでも知られます(ビョークのドレスをデザインしたことがあるといえば、どれくらい奇抜なデザインテイストを持つ人であるかがわかるかもしれない)。
ロールス・ロイス・ファントム「シントピア」はこれまででもっとも複雑なワンオフモデル
そしてロールス・ロイスいわく、このファントム・シントピアは「これまで手掛けたワンオフモデルの中ではもっとも技術的に複雑な」一台。
その内外装はオートクチュールのファッション哲学に従って作られていますが、もちろんイリス ヴァン ヘルぺン本人もデザインに参画しています(オートクチュールとは、19世紀半ばにパリが世界のファッション産業の中心地となり始めた頃、高級ファッションのデザインを手作業で顧客にカスタムフィットさせるオーダーメイドを指す)。
ベースとなるのはファントムのロングホイールベース「エクステンデッド」で、これをまっさらなキャンバスに見立ててデザインを行うことになりますが、イリス・ヴァン・ヘルペンによれば「この特別なコラボレーションのために、私は”Weaving Water(織りなす水)”というコンセプトに触発され、動きのある感覚をファントムの中の流動性の没入体験に変えました。自然の力に圧倒されるような最先端の体験にしたいと思ったのです。ファントムの力強い動きを、車内外の移り変わる立体的な波に織り込んで、自然の創意工夫を体現しています」。
ボンネットにはこの”Weaving Water”がペイントにて再現されていますが、これは異なるサイズのガラス粒子を含む塗料とラッカーを何度も塗り重ねることで実現したと紹介されており、この配合は、ロールス・ロイスのエクステリア・サーフェス・センターが4ヶ月かけて完成させたもので、理想的なガラス粒子の割合を見つけるまでに実に9回の試作が行われたのだそう。
スピリット・オブ・エクスタシーは「マット」仕上げ。
なお、グリルフレームやドアハンドル、ウインドウフレームなど金属パーツはザラ就いた質感のマットブラック仕上げとなっており、しかしこのスピリット・オブ・エクスタシー、そしてグリル内のルーバーはシルバーのまま残されていて、これらについてはロールス・ロイスが「他の色に変更することを許可しなかった」のかもしれませんね。
参考までにですが、過去にジョン・レノンが(ウインドウやホイールまで)真っ黒のロールス・ロイスをオーダーした際にも「グリルだけは」ブラックにペイントしなかったそうなので、同社には一定の(カスタムに関する)ルールが存在するものと思われます。※高度なカスタムオーダーができるブガッティであっても、マカロンエンブレムのカラーチェンジは指定できない
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ロールス・ロイス・ファントム「シントピア」のインテリアはこうなっている
そしてこちらはロールス・ロイス・ファントム「シントピア」のインテリア。
ルーフやダッシュボードなどには「波のような」加工が施されたレザーが用いられますが・・・。
これは1,000枚以上の皮革の中から選ばれた一枚を使用して加工がなされたものだと紹介されています。
これらはすべて手作業にて行われ・・・。
仕上がるとこう。
ダッシュボードには立体的なレザーに加えてペイントにて再現されたウィービング・ウォーター。
ルーフにもこの皮革が用いられ、「162枚の花びら」を表現しています(それでモデルさんが蝶のような衣装を着ているのかも)。
この花ぶらを作るのには400時間、そして貼るだけで300時間を要したというので、内装だけでもとんでもなく手間がかかっているクルマということは間違いなさそう。
シートの素材についてはプレスリリースで触れられていないものの、座ることがためらわれるような表皮を持っていますね。
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参照:Rolls-Royce