| ただし今回の「節約」はオーナーの機転、そして行動力があっての話である |
販売規模の差からして「多少」のパーツ価格差はあると認識しているが、まさかここまで差額があるとは
さて、ロールス・ロイス・レイスのオーナーが「ステアリング機構にトラブルが発生し、ロールス・ロイスの正規ディーラーに修理を依頼したところ(パーツ代だけで)2,500ドル(約36万円)を請求され、しかしBMWのパーツリストから同じ部品を160ドル(約23,000円)で探し出し、結果的に2,340ドルを節約した」として話題に。
なお、こういったことが可能となるのはBMWとロールス・ロイスとが現在同じグループに属しているからで、これは意外と「よくある」事例です。
古くはフェラーリも「汎用パーツ」を用いた修理に高額なコストを請求していた?
参考までに、同様の例はずっと前から見られるようで、1960年代に(のちにランボルギーニを創業する)フェルッチオ・ランボルギーニがフェラーリを購入して乗っていたところクラッチがダメになってしまい、フェラーリ正規ディーラーに修理を依頼するとあまりに高額な見積もりを提示され、そのため自分で交換を試みた際に(フェルッチオ・ランボルギーニはエンジニアである)自分の会社で製造していたトラクターと同じ品番のクラッチを使用していたことを発見し、そこで「スーパーカービジネスは大きな利益になる」と踏んでランボルギーニを創業したという話も。
-
ランボルギーニ創業者、フェルッチオ・ランボルギーニが自動車殿堂入り!同じスーパーカーメーカーでもランボルギーニとフェラーリはこう違う
| ランボルギーニとフェラーリの創業者はまるで真逆とも言える考え方を持っていた | そして真逆の考え方を持つ会社がともに成功したことも面白い ランボルギーニ創業者、フェルッチオ・ランボルギーニが「自動 ...
続きを見る
この話についての真偽は定かではないものの、様々な背景を考慮するに、「ランボルギーニ創業のきっかけのひとつ」となったのは間違いなさそうで、よってこれは珍しい事例ではないのかも。
ちなみにですが、フォード傘下時代のアストンマーティンのキーのエンブレムの下にボルボのマークがあったり(当時ボルボもフォード傘下だった)、ブガッティ・ヴェイロンのドアミラーがアウディTTと共通だったり(両者は同じVWグループ傘下にある)という例もあるので、スーパーカーやハイパーカーが「汎用パーツを使用する」ことはある意味で”業界あるある”なのでしょうね。
ただしロールス・ロイスとBMWの価格差は「大きすぎた」
そして今回の一件に話を戻すと、このロールス・ロイス・レイスのオーナーは上述の通りステアリングホイールのトラブルに遭遇し、その内容は「クロックスプリングの不具合」。
クロックスプリングはスパイラルケーブルとも呼ばれ、クルマのステアリングコラム内にあるコイル状のワイヤーで、クルマの静止部分(ステアリングコラム)と回転部分(ステアリングホイール)の電気的接続を可能とし、これによってステアリングホイールをぐるぐる回しても「ホーン、エアバッグ、その他のステアリング・ホイールに取り付けられた制御装置など」が正常に機能することになるわけですね。
ロールス・ロイスに乗るオーナーのほとんどは2,500ドルを惜しいと思うことはないかと思いますが、このオーナーは「ある計画」を思いつき、それは「同世代のBMWと同じパーツを使用しており、もしそうであればもっと安くパーツが手に入るんじゃないか」ということ。
かくしてこのオーナーはBMW 6シリーズ(F12)に同様のパーツが使用されていることをみごと突き止め、「本来2,500ドルのパーツを160ドルで」入手することに成功し、結果的に格安にて修理することが可能となったわけですが、これは「ロールス・ロイス・レイスと、BMW 6シリーズとが同じ(BMWの)F01アーキテクチャを使用している」と気づいた洞察力、そして実際にパーツを検索し探し当てるという調査能力、さらには失敗を恐れず実際に交換に踏み切った勇気の賜物だとも考えられます。
そしておそらくは現行世代のロールス・ロイス、最新モデルのエレクトリックモデル「スペクター」であってもBMWのとの共通パーツが多く存在するものと思われ、一握りの「機転が利く」ロールス・ロイス・オーナーたちはこの例に続くのかもしれませんね。
合わせて読みたい、関連投稿
-
ケータハムCEO「ええ、プロジェクトVのドア開口部はアウディTTから拝借しました。シートはマセラティから」。ケータハムのパーツ再利用ノウハウがスゴかった【動画】
| ケータハムはクルマを作るのにはどこにどれだけコストや重量がかかるのかを知り尽くしている | こういったノウハウは大規模自動車メーカーだと集約が難しい さて、先日ケータハムは衝撃のピュアエレクトリッ ...
続きを見る
-
アストンマーティン「今後、中国の吉利汽車からシートやエアコン関連の供給を受ける」。開発速度向上とコスト削減を主眼に大きく方向性をシフト
| ただしそれも「既存ラインアップを入れ替え終わるまで」のことだと思われる | 現在、アストンマーティンはそのラインアップを刷新することが最大の課題である さて、先日はニューモデル「DB12」を発表し ...
続きを見る
参照:Reddit