| モンタレー・カーウィーク中に”何か”を発表するのは間違いないようだ |
新たな限定モデルをモンタレー・カーウィーク中に発売するとウワサされるブガッティですが、インスタグラムに一つの動画を投稿。
これは「1909」という創業年を示すところから始まり、今までの足跡をたどる動画となっています。
ただ、この限定モデルについてその内容は全くわからず、シロンスポーツやシロン110Ans、ディーヴォのような「数十台規模」で生産されるのか、それともラ・ヴォワチュール・ノワールのように「ワンオフ」なのか。
現在のブガッティは「拡大戦略」
もしくはサーキット専用モデル、またはシロンのオープンモデル(ロードスター)、シロンのハードコアモデル(シロン・スーパースポーツ)となるのか、とにかく謎は深まるばかり。
なお、現在ブガッティのCEOを務めるステファン・ヴィンケルマン氏は「拡大戦略」の人。
そして過去のヘリテージを取り込んだ限定モデルを小刻みに展開することで話題性を維持し、かつコレクターが「複数台買いたくなる」ような仕組みを作ることが得意な人です(それはすでにランボルギーニCEOを経験したときにも実践している)。
一方その前のブガッティCEO、ウルフギャング・デュラハイマー氏はシロン発売後にずっとバリエーション展開、限定モデル追加を行わず、「シロンにはオープンモデルなどのバリエーションもない」と言い切っており、とにかく路線としては対象的であっただけに、ここ最近のブガッティが活発に見えますね。
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ブガッティCEO「やるべきことは決まっている。その中で”最高速チャレンジ”は重要ではなく、ニューモデルのほうが重要だ」
| 現在のブガッティにおいては「最高速度」は重要なファクターではない |
現在多くの自動車メーカーが時速「300マイル」、つまり482km/hの壁を破ろうとしており、当然過去に「世界最速ギネス記録」を誇ったヴェイロンを発売したブガッティもそれが期待されるメーカーの一つ。
実際に現行モデルのシロンは、ヴェイロンを大きく超える1500馬力の出力を持ち、デビュー当初には「世界最高速にいずれはチャレンジ」と言われていたわけですね。
現CEOは最高速チャレンジに「興味はない」
ただ、それは以前にCEOを勤めていたウルフギャング・デュラハイマー氏の方針であり、現CEOステファン・ヴィンケルマン氏は「最高速争いには興味がない」とバッサリ。
同氏はこれまでにも同様の発言を行なっているものの、改めて今回カーメディアMotor Trendに対し、「我々は今やるべきことをやる。そして、そのリストの中では最高速争いのプライオリティは高くない」と断じています。
実際にステファン・ヴィンケルマン氏はブガッティのCEO就任早々にシロンのバリエーションとなる「シロンスポーツ」を発表。
これは最高速ではなく「ハンドリング」を追求したモデルで、それまでの「直線番長イメージ」が強かったブガッティからの大きな転換でもありますね。
このシロンスポーツは「軽量化、固められた足回り」を持っていて、これまでのブガッティとは全く異なるスパルタンなイメージを持つことが特徴です。
現CEOの戦略は「車種増加、ハンドリング重視」?
そしてステファン・ヴィンケルマンCEOは「パフォーマンスには様々な側面がある」と語り、それは必ずしも最高速とは限らないとも主張していて、「シロンは最高速ばかりに注目が集まるが、他にも見落としている部分はたくさんある」とも。
加えて「シロン以外の」バリエーション展開についても言及しているものの、これについては今のところ多くが語られないまま。
ただ、以前にサルーンっぽいブガッティ」のプロトタイプが目撃されていて、「新しいブガッティはサルーンになるのでは」という見方が有力ですね(実際にブガッティは、以前に4ドアモデルの”ガリビエール・コンセプト”を公開している)。
CEOが変われば会社も変わる
前ブガッティCEOは「シロンのバリエーションそのものは増やさない」「ニューモデルの計画はない」「最高速重視」という戦略であったものの、ステファン・ヴィンケルマン氏は「シロンのバリエーション増加(シロン・スポーツ、シロン・スカイビューを投入)」「ニューモデル追加(すでに”ディーヴォ”を追加し、さらに他モデルの検討中」「最高速は目指さない(シロン、ディーヴォ共にハンドリング重視」、といった感じで完全に以前とは相反する方針を貫いているのが面白いところ。
なお、ステファン・ヴィンケルマンCEOは、ブガッティの前にアウディスポーツ」CEOを務めており、こちらでは着任早々に「アウディスポーツ」をサブブランド化すべくインストア形式での展開に改め、製品においては通常ラインアップとRSモデルとでデザインを差別化し、さらに4WDシステム”quattro”で有名になったRSモデルについてもFFやFRを企画するなど(発売前にブガッティに異動した)、とにかくアグレッシブな活動が記憶に残ります。※アウディR8の後輪駆動モデル、アウディR8 RWSは発売に至った
さらにモデル数についても大きく拡大を目指してこれまでにない速度で拡大を続け、これらを総合して考えると「これまでの常識を覆す」「バリエーション拡大」「ブランド確立」というのがステファン・ヴィンケルマン氏の基本戦略だと言えそう。
そしてステファン・ヴィンケルマン氏はアウディスポーツの前にはランボルギーニにて10年間CEOを務め、その期間中には「ガヤルドの後輪駆動モデル発売」「軽量でハンドリング重視の”スーパーレッジェーラ”発売」「ガヤルドのバリエーション拡大」「限定モデルをこまめに出すことでニュース性を維持しブランド認知機会を増加させる」「ブランドのトッププライオリティをトップスピードからハンドリングへと変更」しており、やはり「これまでの常識を覆す」「バリエーション拡大」「ブランド確立」がベースにある模様。
つまり、ステファン・ヴィンケルマン氏の経営哲学はそこにあると考えられ、実際にそれで業績を買われてフォルクスワーゲングループ内での異動が行われている、ということになりそう。
今後ブガッティでも同様の戦略に基づいて大きく業績を伸ばすと思われ、その行方が楽しみでもありますね。
ちなみにランボルギーニの現CEOステファノ・ドメニカリ氏はまたステファン・ヴィンケルマン氏とは異なる戦略を持ち、「サーキットでの走行性能」「レース」というところが根幹にある模様(なんといってもスクーデリア・フェラーリの元代表なので)。
実際にニュルブルクリンクのアタックを頻繁に行い、ウラカンGT3/GTEでのレース参戦、レース部門「スクアドラコルセ」の強化、ウルスでもワンメイクレース開催といった感じでこれまた「新しい」動きを見せているのが面白く、やはり会社というのはCEO次第で大きく変わるものだ、と思わされる部分です。