| ただしEVとしての航続距離、充電性能はずば抜けて高いわけではなく、販売面においては苦戦するかも |
北米市場では8万ドル以下に抑えないと「EV減税対象」には収まらない
さて、メルセデス・ベンツがピュアエレクトリックSUV、「EQE SUV」を発表。
これは一足お先に発表されたEQS SUVのスモール版(あるいはEQEセダンのSUV版)となり、一回の満充電あたり航続距離は最大で590km、出力は292馬力~408馬力、駆動輪は後輪のみもしくは4WDというスペックを持っています。
メルセデス・ベンツはこれまで、SUVに対しては「G」という名称を与えていたものの(GLAやGLB、GLCなど)、EQシリーズに関してはこの法則から外れるようですね。
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メルセデス・ベンツEQE SUVは実用的なサイズを持っている
そしてこのメルセデス・ベンツEQEについて、全長4,863ミリ、全幅1,940ミリ、全高1,686ミリという「まだ使いやすい」サイズを持っており、しかしホイールベースは3,030ミリという長さを誇るため、つまりは「スペース効率に優れるクルマ」と考えることができます。
ただし居住空間を最大化したためか、EQEのラゲッジスペースはそこまで大きくはなく、EQCとほぼ同じ容量を持ち、かつガソリンエンジン搭載のGLEよりも少ない、とのこと。
もしかすると、EVは「重いものを載せると燃費が悪化する」ので、暗にたくさん荷物を載せないように、というメルセデス・ベンツの「察して」アピールなのかもしれません(もちろんクーペスタイルを持つリアセクションも荷室スペースに大きく影響)。
しかしながらEQシリーズだけあってその先進性には目をみはるものがあり、前方の道路に補助標識や警告マークを投影するというデジタルヘッドランプはじめ様々な先進装備が投入されているもよう。
追ってそれら機能についても動画等で視覚的な紹介がなされるものと思われます。
EQE SUVのバリエーションとしては後輪駆動のEQE 350+と4WDのEQE 350 4Matic、さらにはEQE 500 4Maticがあり、すべてのモデルではセダンと同じ90.6kWhのバッテリーを搭載。
4WDモデルに関しては、低負荷時にはフロントモーターを完全に切り離すことができ、後輪駆動化することでバッテリーを節約することができる、とのこと(航続距離が最も長いのはEQE350+で480-590km、4WD版では459~558km、EQE500だと460~547km)。※ポルシェはタイカンの4WDモデルで同様のアップデートを取り入れている
全モデルとも、フロントに4リンク、リアにマルチリンクのサスペンションを採用することで高い俊敏性持ち、さらには後輪操舵のオプションもあり、2,600kgという重いボディを軽快に扱うことができそうです。
充電に関しては、EQE SUVは最大170kWの充電が可能で、これはポルシェ・タイカンのDC最大360kWを大きく下回っているものの、メルセデス・ベンツによると、EQE SUVは15分間のDC充電で最大220kmの走行が可能だとされ、バッテリーパックは10年間または25万kmの走行距離を保証し、メルセデス・ベンツによって定義された”一定の”残存容量 "を確保できるとされています。
メルセデス・ベンツEQE SUVのインテリアは「最新世代」
メルセデス・ベンツEQE SUVのインテリアはもちろんメルセデス・ベンツ「最新」となっており、ハイパースクリーンがオプションで用意されているほか、ドルビーアトモスオーディオやHEPAフィルター搭載の空気清浄機が標準装備。
加えて"serene breeze "と呼ばれる新しい「サウンドスケープ(車内に流す疑似走行音のようなもの)」も用意されており、その名の通り"自然に近い "リラックスしたサウンドを提供するとされています。
さらには"Roaring Pulse "というオプションも用意されており、これはダウンロードすることで利用が可能となるもので、メルセデス・ベンツいわく「パワフルなマシンを連想させる、ソノリティックでエクストロバティックなサウンド」なのだそう。
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そのほか、近年のEVにはお約束のOTA(オーバー・ザ・エア)アップデートが導入され、これによって特定の機能を更新または「ロック解除」する事が可能。
そういった「課金によってアンロックできる機能」のひとつだとインテリジェント・パーク・パイロットといったシステムがあり、こわはいわゆる自動駐車機能だとされています。
さらにはナビゲーション・システムも充実しており、ルートマップを作成して道中にある充電ステーションを最大限に活用することができるほか、エコ・アシストは、周囲の交通状況に応じて回生ブレーキの強さを自動的に調整し、シームレスなワンペダルドライブを実現することができる、とのこと。
生産は12月より米国アラバマ州のメルセデス・ベンツ所有のタスカルーサ工場で行われるといいますが、ちょうど導入されたばかりの「アメリカで生産されたEVには一定税額が控除される」という措置に対応できることになり、EQシリーズのいっそうの躍進に貢献しそうですね。