| どうやらフォルクスワーゲン自前のソフトウエア会社の開発業務に遅れが出ているようだ |
ポルシェとしては忸怩たる思いかもしれない
これまでにもポルシェ・マカンEVの発売が遅れるというウワサが何度か出ており、しかし今回ポルシェがそのウワサを公式に認めた、との報道。
ポルシェは9月末に株式を公開していますが、報道によれば、その目論見書の中でこの遅れ、そして他モデルへの影響、将来的な懸念についてまで述べているといい、現時点でその納車は2024年にまで延期されることになるもよう。
マカンEVはポルシェとアウディとが共同にて開発を行った「PPE」プラットフォームを採用するモデルであり、ライプツィヒ工場にて生産を行う計画となっていますが、ともするとこの計画に大きな遅れが出る可能性がありそうです。
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いったいなぜマカンEVの生産が遅れるのか?
そこでなぜマカンEVの生産が遅れるのかについてですが、これは目論見書の中で言及されており、それによると「フォルクスワーゲングループは現在、CARIADおよびアウディとともに、2024年に納入開始を予定している電気自動車マカンのBEVに搭載するためのE3 1.2プラットフォームの開発を進めている。(中略)E3 1.2プラットフォームの開発におけるCARIADとグループの遅れのため、グループはすでにマカンの生産開始(SOP)を延期せざるを得ない」。
ここで補足しておくと、E3 1.2プラットフォームというのは、上述のPPEを指しており、CARIAD(キャリアド)とはフォルクスワーゲングループのソフトウエア(とくにEV用の)を開発する会社の名称です。
要は、プラットフォームの開発、キャリアドによるソフトの開発がマカンEVの発売を遅らせているということになりますが、この遅れは同じプラットフォームやソフトウエアを使用すると言われるアウディ(具体的にはQ6 e-tron)、そしてベントレーにも影響する可能性が大。
なお、アウディはまだ公式に開発と発売の遅れに言及していないものの、ベントレーは計画の後ろ倒しを発表しており、その影響はポルシェだけにとどまらないのかもしれません。
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さらには新型718シリーズの開発に遅れも
そしてこの目論見書の中で、ポルシェは「E3 1.2ソフトウェアプラットフォームがまだ活発に開発されているため、フォルクスワーゲングループの既存の新車サイクル計画、特に718とカイエンのBEV(バッテリーEV)モデルを予定通りに達成できないリスクがある」「E3 1.2プラットフォームの開発に成功し、マカンEVの生産と発売を開始することは、今後数年間に発売されるさらなる車両の開発を継続するための前提条件である」「E3 1.2プラットフォームの開発の遅れや困難は、CARIADが現在、E3 2.0バージョンのプラットフォームを並行して開発していることによって、さらに悪化する可能性がある」とコメント。
つまり、今後ピュアエレクトリック化されることになる718シリーズの発売遅延の可能性もあり、このE3 1.2プラットフォームとソフトウェアの開発ができなければほかの(フォルクスワーゲングループの)モデルの開発もできず、さらにはE3 1.2も開発できていないのにE3 2.0の開発を行っているために完全にキャパオーバーになっていることも指摘しているわけですね。
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これに関し、更にポルシェはCARIADがE3 1.2プラットフォームのさらなる開発ではなく、より大きな開発能力と資源を新しいプラットフォームに割り当てる可能性がある場合、フォルクスワーゲングループは独自の努力と専門知識にさらに依存するか、他のサードパーティ開発者のサポートを求めざるを得ない可能性があります。さらにポルシェは、E3 2.0のソフトウェア・アーキテクチャを採用せず、将来の車両について独自の道を歩むという選択肢も検討しています」とも。
要は「このまま開発が進まなければ、他社に強力を求める」こと、そしてキャリアドが当てにならなければ、ポルシェは独自に何らかの方法を考えるとしていますが、ちょっと前に報じられた、「フォルクスワーゲンの工場で車体を作らない」というのもこの選択肢の一つだったのかもしれません。
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参照:Autocar