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ポルシェはEVの航続距離を伸ばすために「ボディを振動」させるようだ!ただしまだまだ「乗員に音や振動を伝えないように」するなど課題が残るもよう

2022/10/14

ポルシェ・タイカン

| やはりポルシェはあの手この手で状況を打破する改善策を考えてくる |

さらにはアクティブエアロについても課題が残される

さて、現在各自動車メーカーが「EVのCd値をいかに下げるか」について様々な研究を行っていますが、その目的は単にひとつ「一回の満充電あたり航続距離を伸ばすため」。

ドアハンドルを格納式にしたり、ホイールにカバーを取り付けたり、車体表面をなめらかにすることで空気抵抗を減らしており、ぼくとしては「やろうとしてできるのなら、ガソリン車時代にもやっといてよ・・・」といった感じなのですが、ガソリン車においてそこまでの低い空気抵抗はトッププライオリティではなく、よってここよりもほかにやるべきこと、そしてお金を投じるべきところがあったのかもしれません。

ポルシェは「ボディを振動」させる?

そこで今回ポルシェが妙案として語ったのが「ボディを振動させ、それによって空気抵抗を減少させる」ということ。

これはシュトゥットガルト大学との共同プロジェクトとして進行しており、同大学の自動車工学科長であるアンドレアス・ワグナー教授によれば、「私たちは、振動を体系的に導入することによって、車体の特定の位置のCd値を下げることが可能かどうかを検討しています。スピーカーを使って車の周りの流れに定義されたパルスを導入すれば、その分離挙動に影響を与えることができるのです」。

そのメカニズムについては詳しく触れられていませんが(触れられてても理解できない可能性が高い)、この方法にはいくつかの課題が残されているといい、まずはノイズと振動が乗員に与える影響。

一般にNVH(ノイズ、バイブレーション、ハーシュネス)は自動車の快適性を測るのに大きな役割を果たし、しかしいかに航続距離が伸びるといえど、このうちのNとVが乗員に不快な形となって伝われば全く意味をなさないわけですね(とくにEVの場合はもともと静かであり、ノイズが少ないので、そこにノイズと振動が加わることは問題となる可能性が高い)。

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まだまだこの技術は開発の初期段階

実際のところ、アンドレアス・ワグナー教授は「まだまだこの技術は開発の初期段階なのです」とも語っていて、「例えば、クルマの乗員にブーンという音が聞こえないようにしなければなりません。こういった問題を解決して量産を行うまでには、まだまだ時間がかかります」とも。

ちなみにですが、ぼく的には「雨が降ってボディに水滴がついたとしたら、このソリューションは意味がないんじゃないか」と考えたりするのですが、そういった事も含めて研究を行っているということなのだと思われます。

さらにポルシェはアクティブエアロについても「まだまだ大きな可能性が残されているデバイス」だと語り、そのために役立つのが、より優れたシミュレーションツール。

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「計算流体力学シミュレーションは、この20年間で非常に重要なものになり、数学的手法をより深く理解し、より正確なツールの開発ができるようになり、さらにコンピュータの処理能力を向上させることが可能となったのです」とコメント。

それでもまだシミュレーションツールには改善の余地があるといい、例えば回転するタイヤが空気に与える影響をコンピューターで解析するのは(現在)難しいといいますが、それを可能とする知的アルゴリズムの開発が進んでいるとされ、人工知能が空力分野に大きく貢献することが期待されているのだそう。

ポルシェのエアロダイナミクス研究開発マネージャーであるトーマス・ヴィーガンド博士氏によれば、「AIアルゴリズムは、既存のデータのストックから補間や外挿によって新しいデータを生成することができます。これによって具体的な実験を計画し、その数を減らすことができるようになるでしょう。そして、分類のためにすべてのバリエーションを測定する必要もなくなります」と述べており、これまでできなかったことがどんどん可能になってゆくということもわかります。

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なお、こういった研究によって「すべてのクルマが、コンピューターによって導き出された最適な形、つまり同じデザインになるのでは」という懸念もあり、しかしポルシェにてエアロダイナミクスとサーマルマネージメントのリードエンジニアを務めるマルセル・シュトラウブ氏によれば「優れた良いCd値は、さまざまな方法で達成することができます。例えばリアエンドを最適化したい場合、リアリッドの高さやアンダーボディのディフューザーを変更することができます。エアロダイナミクスの面で最高のクルマであっても、我社のクルマと別のクルマとを見間違えるような危険性はないと考えています」とのことで、ここは安心することができそうですね。

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