
| ポルシェが立て続けに「ガソリンエンジンに関する特許」を出願 |
ポルシェが直面する「次の課題」とは?
パワー向上と排出ガス削減において、各自動車メーカーたはこれまで多くの「簡単な改善策」を取り尽くしてきましたが、次のステージに進むため、一部のメーカーはエレクトリックモーターをパワートレーンに追加する戦略をとっています。
しかし、911シリーズのように「ガソリンエンジンの楽しさ」が重要なモデルを持つポルシェは、様々な規制によって制限されら内燃機関から「さらなるパフォーマンス」を引き出すための革新的な方法を模索しています。ラインナップを展開し、モータースポーツ界ではル・マン24時間耐久レースで19勝を誇るなど、輝かしい実績を持っています。
ポルシェが特許を出願した「2ピースピストン」とは?
少し前にフェラーリは「楕円ピストン」なる特許を出願していますが、今回ポルシェは、ドイツ特許商標庁(DPMA)に対し新しいピストンデザインの特許を出願し、この新技術は、エンジン内部で最も高温になる部分をオイル冷却しつつ、ピストンの重量を軽減するというものです。
この新しいピストンは、
- ピストンクラウン(頭部)
- コネクティングロッド(連結棒)を支えるピン部
の2つのパーツで構成され、これ自体は完全な新発明ではありませんが、内部構造には以下のような大きな革新があります。
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内部に秘密あり。「中空構造+オイル冷却」
- ピストン内部に複数の空洞セクションを設ける
- 圧力のかかる側は厚い壁+大きな空洞
- 圧力が少ない側は薄い壁+小さな空洞
さらに、クランクケースからオイルを吸い上げるインテークファンネルを通じて、空洞にオイルを流し込み、ピストンを直接冷却します。
特に負荷がかかるリングランドやクラウン部分の冷却に効果的です。
【ポイントまとめ】新ピストン技術のメリット
- 軽量化:バイオニックデザイン(生物の構造を模倣)により、強度を維持しながら重量を最小化
- 冷却性能向上:ピストンクラウン全体の温度を均一化し、ホットスポット(局所的な高温)を防止
- パワーアップ&排出ガス削減:適正な燃焼温度管理により、異常燃焼(プレイグニッション)を防止し、有害排出物の発生を抑制
また、点火前の空気混合気が冷えることで、より大きな膨張が得られ、エンジン出力向上にもつながりますが、これは、インタークーラーが吸気温度を下げるのと似た効果をもたらします(より小規模ですが)。
【展望】この技術は市販車に搭載されるのか?
現時点では、市販車への搭載は数年先になる可能性が高いと見られ、しかし今回の特許出願は、ポルシェのエンジニアたちが内燃機関のさらなる進化を目指して、未来を見据えた開発を続けている証左とも言うべきもので、ポルシェが内燃機関を「諦めていない」ことがわかりますね。
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参照:CARBUZZ