| このID.1の発売は2年後の2027年に設定されており、いかにバッテリー価格が下がったとしてもインフレを考慮すると「2万ユーロ」は難しそう |
そして今から2年後の世界は誰にも想像することができない
さて、フォルクスワーゲンが「2万ユーロ以下の」エントリーレベルEVを発表すると予告。
この「2万ユーロ(現在の為替レートだと約325万円)」というのは非常に衝撃的な価格であり、というのもルノーやプジョー、シトロエンが発売する、あるいは計画している「もっとも安価なEV」で2万5000ユーロ(約405万円)、テスラが予告した「低価格モデル」であっても3万ドル(約465万円)だとされるから。
実際のところ、欧州の自動車メーカーが発売するEVの価格は「2万5000ユーロがボトム」だと考えられていたため、この2万ユーロというのは価格破壊レベルのインパクトがあるとも考えています。
ただしフォルクスワーゲンは「以前の約束」を果たしていない
しかしながら「予告」をすることと実際に発売することとでは全く事情が異なり、実際のところフォルクスワーゲンが「25,000ユーロの」ID.2 Allを発売するとアナウンスしたのち2年が経過していますが、実際には「発売されていないまま」。
その状況で「20,000ユーロのEV」を発売すると言われても信じることは難しく、しかしフォルクスワーゲンはこの新型EVにつき「3月にプレビューし2027年に発売する」とも。
なお、現時点でこの新型EVの名称は不明ではあるものの、すでに欧州連合知的財産庁(EUIPO)に「ID.EVERY1」なる商標が申請されており、この名称が今回発表されるコンセプトカーに使用され、それに伴い市販モデルが「ID.1」と名付けられる可能性が高いと見られています。
参考までに、フォルクスワーゲンは当初、この「ID.1」をルノーと共同開発する予定であったものの、昨年に両社は提携を解消しており、しかしこの際に開発されていた車両をルノーでは新型「Twingo(トゥインゴ)」として発売する計画を持っていて、このトゥインゴの価格もまた20,000~25,000ユーロに設定されると推測され、発売はID.1よりも1年早い2026年。
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現時点ではフォルクスワーゲン ID.1の詳細については明かされていないものの、ID.1は、ID.2と同じ「MEB Small」プラットフォームを採用するという報道も見られ、これはID.3やそれ以上のサイズのEVに使われているMEBプラットフォームとは異なり、主に前輪駆動車向けに設計されたもの。
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バッテリー容量についても明らかにされていませんが、ID.2allは推定WLTP航続距離450kmを達成しており、バッテリーの10%から80%までの充電時間は約20分であると(当時)アナウンスされていて、しかしID1では(価格を抑えるため)バッテリーサイズの削減がなされることとなりそうですね。
この新型EVはヴォルフスブルク工場での従業員向けミーティングにて計画が好評され、フォルクスワーゲンCEO、トーマス・シェーファー氏は次のようにコメントしています。
「ヨーロッパのための、ヨーロッパ製の、手頃な価格で高品質かつ収益性のある電動フォルクスワーゲン。これは、自動車工学におけるチャンピオンズリーグです。」
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参照:Volkswagen