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なぜこんなことに・・・。欧州でアバルト124スパイダーがわずか3年で販売停止に追い込まれる。「予定の1/3しか売れなかった」「環境規制に対応できない」

2019/12/07

| 一方で北米、アジア・パシフィック地域では販売継続 |

すでに「アバルト124スパイダーに後継はない」という報道がなされていますが、イタリアのカーメディア「Al Volante」によると、欧州においては2019年モデルをもってアバルト124スパイダー/フィアット124スパイダーの販売が終了、とのこと。
アバルト124スパイダーの発売開始は2016年なので、わずか3年で「終了」という残念な事態となっています。
実際に欧州では数週間前から受注をストップしているといい、販売終了の主な理由としては、「搭載するエンジン(1.4リッター4気筒マルチエア・ターボ)をユーロ6に適合させることが難しい」からだと報じられていますが、正確に言うならば「規制に適合させるためにかかるコストをカバーできるだけの販売台数を維持できないから」だと思われます。

次期アバルト124スパイダーは「ナシ」。フィアットにとって「124スパイダーはピュアなフィアットでもなく、ブランドにとっても重要ではない」

欧州では「オープンスポーツ」が急速に売れなくなってきている

そしてフィアットのコメントとしては「欧州では、このセグメントの市場規模が急速に縮小している。我々は2019年、フィアット124スパイダー、アバルト124スパイダーとで25,000台の販売を見込んでいたが、実際はその1/3にも満たない。よって、我々はコアビジネスに集中するためにこれを切り捨てる。だが、北米そしてアジアパシフィック地域においてはこれらを売り続ける」。

このコメント、そして他の報道を見るに、現在欧州では急速に自動車に対する意識が変わりつつあるようで、オープンスポーツといった「楽しみのために乗る」クルマが「悪」だと認識されてきているようにも思われ、そういったクルマを所有する人が肩身の狭い思いをするような風潮がある模様。
よって欧州の売れ筋はSUVでもスポーツカーでもなく「実用的なコンパクトカーとEV」に集約されきそうな予感ですが、ちょっとこれは嫌な雰囲気だなあ、とも思います。

なお、北米とアジアパシフィック地域においては規制がさほど厳しくはなく、クルマを取り巻く環境もそれほどシビアではないので販売を継続できるものと思われますが、欧州のトレンドがいつ波及するともわからないような状況でもありますね。

欧州は何かと神経質?

なお、欧州は(悪いことではないのですが)環境に対して非常に真剣に取り組んでおり、随分前から「アイドリングストップ」や「前方駐車」を徹底。
特にアイドリングストップについては1990年代から(そういった機構がついてなくても)自主的に信号停車から3台目以降のクルマはエンジンを切るといった習慣があったそうで(そして、もしエンジンをストップさせていなければ周囲から怒られる)、一部の国では洗車の際に使用する水(資源)、洗剤(環境汚染)を問題視し「個人宅での洗車禁止(洗車の際は専門業者に出さなくてはならない)」。

毛皮に対する反対運動も欧州発であり、クルマの内装についても「レザーを使わない」ものが欧州の自動車ブランドからいくつか発表され、さらに一般生活においても「昆虫食コーナー」がスーパーにできたりするのも欧州であり、こういった風潮については日本に住むぼくらからするとちょっと行き過ぎのようにも思えます。

欧州では昔から共産主義的な思想も多く見られますが、個人の楽しみのための消費や浪費があまり良い目で見られず、とくにそれが環境に負荷をかける場合は「敵視」に変わるのかもしれません。

おそらくアバルト124スパイダーは唯一の例ではない

そしてぼくが思うのが、「今後この傾向は加速するだろう」ということ。
よって今後、フィアット124スパイダーのように販売停止に追い込まれるスポーツカーが多数登場するものと思われ、現在フェラーリやランボルギーニ、マクラーレン、ポルシェといったスポーツカーメーカーがハイブリッド化、エレクトリック化を急ぐのも、環境性能強化(規制への対応)に加え、「世間の目」を意識したがための行動なのかもしれません(もはや、欧州ではガソリンエンジンのみで走るスポーツカーは地球を破壊する悪魔のようなイメージを持たれつつあるのかも)。

アバルト124スパイダー/ フィアット124スパイダーは「マツダによるフィアットへのOEM車」。
マツダ・ロードスターをベースとしているものの、アバルト124スパイダーでは「プレミアムブランド」ということでコストの制約がゆるくなり、ロードスターに比較して上級装備が奢られていて、実際に乗った印象では「マツダはこういったクルマを作りたかったんだろうな」というもの(しかしマツダブランドではコストの制限があるので、ここまではできない)。

マツダ・ロードスターにはそこまでのポテンシャルがあるということも同時に明らかになり、マツダも「チャンスさえあれば」ここまでのクルマを作れるということを世に示すことができたんじゃないか、とは考えています。

【試乗:アバルト124スパイダー】これは「マツダが本当に作りたかったロードスター」だ

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