
| 「売れない」可能性のほうが高いにもかかわらず、なぜポルシェは電動版718を投入するのか |
一方、「ガソリンエンジン搭載版」718シリーズについては「口を閉ざしたまま」である
「ポルシェのエントリースポーツカーである718シリーズ(ボクスター/ケイマン)のEV化は中止か継続か」――様々な推測や憶測が交錯するなか、ポルシェの新たな最高経営責任者(CEO)に就任したミハエル・ライタース(Michael Leiters)氏が沈黙を破り、公式に「開発を継続する」とコメントすることに。
ドイツ大手紙の取材に対し、ライタースCEOは電動718の開発が今なお継続され、将来のポルシェラインナップにおいて不可欠な存在であることを強調しており、ファンが最も気にかけていた「718電動化のゆくえ」に明確なひとつの答えを出しています。
ここでは、新CEOの発言から紐解くポルシェの電動化戦略、そして公道テストから見えてきた新型718 EVの真価について考えてみましょう。
この記事の要点(3行まとめ)
- 開発継続を正式明言:ポルシェの新CEOミハエル・ライタース氏が、開発遅延が噂されていた電動718(ボクスター/ケイマンEV)のプロジェクト継続を公式に表明。
- 2027年生産開始を予測:2026年後半にお披露目され、2027年から生産が開始される見込み。同社4車種目のフルEVラインナップへ。
- 低重心な本格スポーツ構造:タイカン等の床下バッテリーとは異なる「専用スポーツカーEV構造」を採用し、ガソリン車譲りの低い着座位置を維持。

電動版718開発継続の背景とポルシェの電動化戦略
世界的なEV需要の伸び悩みや各メーカーの電動化計画の見直しが進むなか、ポルシェが718のEV化を推進する理由は「経済合理性」と「新規顧客の獲得」にあると説明されています。
ライタースCEOは、ドイツの『Frankfurter Allgemeine Zeitung』紙に対し、「電動718について、我々は生産するという結論に達しました。それが経済的にも最善の解決策であり、非常に素晴らしいクルマになるからです」と述べています。
911の下に位置する718シリーズは、これまでポルシェブランドへの「入り口」として新たなオーナー層を呼び込む重要な役割を果たしてきましたが、ポルシェはすでに電気自動車として「タイカン」「マカンEV」、そして新たに登場した「カイエンEV」を展開しており、ここへ電動718が加わることで4つ目のEVモデルラインが完成することになり、プレミアムEV分野で最も幅広い選択肢を持つブランドへと進化を遂げようということに。
要するに「セダン」「SUV」「スポーツカー」という幅広いラインアップをEVにおいても構築し、電気自動車というくくりにおいても「他の追随を許さない」商品展開を行うべく開発を行っている、ということになりそうですね。

ポルシェのEVシフトと販売実績データ
| 項目 | データ・実績 | 補足・解説 |
| 2025年 世界総販売台数 | 約280,000台 | グローバルでの年間納車実績 |
| 2025年 フルEV(BEV)比率 | 22.2 % | タイカン、マカンEV等 |
| 2025年 PHEV比率 | 12.1 % | プラグインハイブリッドモデル |
| 欧州市場での電動車比率 | 57.9 % | 欧州で販売された3台に1台以上がフルEV |
| ガソリン版718(2025年実績) | 18,612台 | 2025年10月に生産終了したものの堅調に推移 |
| タイカン(2025年実績) | 16,339台 | プレミアムEVセダンとしての実績 |
概要:新型「電動718」の特徴
現時点で「電動版718」のパワーユニットおよび最高出力や航続距離などの詳細なスペックは公表されていませんが、ニュルブルクリンクや公道で目撃されているテスト車両(スパイショット)からはその全貌が見えつつあります。
1. 専用EVプラットフォームによる「低い着座位置」
タイカンやマカンEVのような一般的なEVでは、床下にバッテリーを敷き詰めるため全高や座面が高くなりがちで(実際にマカンEVのフロアはかなり高い)しかし、電動718ではミッドシップスポーツカーのレイアウトを模した専用の電動スポーツカー向けプラットフォームを採用するといい、座席の後ろ(従来のエンジンルーム位置)にバッテリーを配置することでガソリン車時代と変わらない地を這うような低いドライビングポジションを実現することになるものと見られます。
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なお、このレイアウトはアルピーヌの新型EV(次世代A110)と同じもので、ガソリン時代に引き続き、電動化世代においても「718ケイマンとA110」はライバル関係となるのかもしれません。
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2. アイコニックなプロポーションの継承
カモフラージュされたテスト車両からは、従来のボクスター/ケイマンが持っていたコンパクトかつロー&ワイドなシルエットが色濃く残されていることが確認でき、ミッドシップ特有の美しいプロポーションは、EVになっても損なわれていないこともわかりますね。
現時点で判明している電動718の予想スペックまとめ
- モデル展開:オープン(ボクスターEV) / クーペ(ケイマンEV)
- 発表時期:2026年後半(予想)
- 生産開始:2027年予定
- プラットフォーム:ポルシェ専用・電動スポーツカー・アーキテクチャ
- 駆動方式:RWD(後輪駆動)およびAWD(四輪駆動モデルの展開も噂される)
競合・市場での位置づけと「エントリーポルシェ」としての価格戦略
電動718の成功を左右する最大の鍵は「価格設定」にあるものと思われ、ガソリンモデル時代の718は「誰もが手に届きやすいポルシェの本格スポーツカー」として評価されていましたが、EV化に伴うバッテリーコストの上昇により価格が高騰しすぎると、既存の911オーナー向けの高価なセカンドカーになってしまい、本来の目的である「新規顧客の開拓」から外れてしまうリスクが想定されます。
なお、「EVが売れない」と言われる現在の状況において、そして「急激なEVシフトのツケ」に苦しむポルシェが「なぜそこまでして」718EVを発売しようとするのかは全くのナゾではありますが、もしかするとポルシェは「中国市場回復の起爆剤」としてこの718EVを位置づけているのかもしれません。
というのも中国市場では「まだ」電動スポーツカーが少なく、そしてポルシェの「スポーツカーイメージ」をもってすれば718EVの販売を有利に進めることができる可能性が考えられるものの、中国市場ではスポーツカー市場自体が非常に小さく、しかしそこで「仮に」成功したとしても、タイカンのように「狙い撃ち」にされてしまい、やがては存在感を失ってしまうであろうことも推測できます。
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よって、718EVに投入は「一種のギャンブル」であるとも考えられ、そしてこのギャンブルは「勝てる見込みの薄い賭け」なのかもしれません。
兄弟車となる「アウディ Concept C」の存在
フォルクスワーゲングループ内では、この電動718と同じプラットフォームを共有するアウディの電動スポーツカー(通称:Concept C)の開発も進められていて、先行プロトタイプに試乗したジャーナリストからは、「EVとしては比較的軽量に抑えられており、驚くほど軽快でしなやかなハンドリングを実現している」と絶賛され、っしてポルシェブランドよりも手頃な価格帯で投入されると見られており、2モデルが手を取り合って電動スポーツカー市場を切り拓くことが期待されています。
そしてこちらもやはり、アウディが「中国市場における起死回生の一発」として一縷の望みを託しているモデルなのだとも考えられますが、中国市場においてスポーツカーは「不人気」セグメントであり、中国の自動車メーカーが(グローバルモデルではなく)ドメスティックモデルとしてこの分野に乗り出さないことからも「市場規模の小ささ」がわかろうというものですね。

Image:Audi
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結論
ポルシェ「電動718」は環境対応の対応のためのEVではなく、「EV時代においても純粋なドライビングプレジャーを提供し続ける」というポルシェの強い、そして明確な意志表明。
ガソリンモデルの生産終了からEV版の登場まで一定の空白期間が生じるものの、新CEOの力強い後押しによりプロジェクトそのものは確かな歩みを進めており、2026年後半と予想される正式発表に向け、伝統の軽量スポーツカーが電動化によってどのような走りを見せてくれるのか、世界中のファンの期待が高まっているという状況です。
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参照:InsideEVs











