| 中国がイキナリ関税引き下げを発表。その魂胆は? |
中国政府が輸入車の関税を25%から15%に引き下げる、と発表。
この引き下げ幅はかなり大きなもので、しかも6月1日から実施される、とのこと。
この決定は米ドナルド・トランプ大統領と中国高官との階段数日後に公表されたもので、なんだかんだ言ってドナルド・トランプ大統領は実績を残している、ということに。
関税が下がっても末端価格はさほど下がらない可能性も
これによってもたらされるのは「輸入車が売れるようになる可能性がある」ということで、そして「中国国内生産のクルマの売れ行きが鈍る可能性も」ということ。
前者はそのまま文字通りで、今まで関税によって価格が高かったクルマが安く買えるようになるので「売れる可能性が高くなる」ものと考えられます。
とくにメルセデス・ベンツやBMW、アウディ等欧州自動車メーカーはその多くのモデルを現地生産しているものの、MやAMG、S/RSモデルは「輸入車」扱いで、かつクーペやスポーツモデルなど販売台数が少ないクルマも「輸入」。
よって、これらも急激に動き出す可能性があり、プレミアムカーブランドとしては「チャンス」だとも言えますね。
そして大きく恩恵を受けるのはポルシェだと思われ、現在ポルシェは中国内でも人気のブランドですが、これが「安く」買えるようになればさらに中国での販売が伸びる可能性が大きく、またまた業績が伸びそう。
フェラーリやランボルギーニにおいても同様で、一気に中国での販売が伸びることになるのかもしれません。
なお後者の「現地生産モデルの販売が鈍る」ということですが、いかに関税が下がったと言えども輸入車には輸送コスト等が乗っており、かつ現地での人件費を反映した”そもそもの原価”が高く、中国生産モデルを圧迫するような減少は起きにくいのでは、とも考えています。
ちなみに中国では関税が下がってもそれほど末端価格が下がらない可能性もあり、それは「その他の税金」もあるから。
中国としてはこれらを「非関税障壁」として活用できるため、ひとまず関税を下げることでトランプ大統領からの攻撃の矛先をかわそう、という思惑があるのかもしれません。
中国において、輸入車にかかる税金としては大きく分けて「関税」「付加価値税」「排気量にかかる税金」の三種で、そのほか「排気量にかかる税金」も。
これは4リッターまでだと12%以下、4リッターを超えると40%という税率です。※2200万円位上のクルマには贅沢税10%も加算
たとえばウラカンのインボイス価格が3000万円だと、現状関税は750万円、付加価値税が510万円、排気量にかかる税金が1200万円、贅沢税が300万円。
つまり合計すると5760万円、ともとの3000万に比べて二倍近い価格に。
6/1より関税が15%になった場合、関税は750万円から450万へと下がるものの、ほかの税金は「そのまま」なので、総額は5460万円となり、「そんなに大きくは」末端価格が下がらないであろうこともわかりますね。※逆に、排気量4リッター以下、2200万円以下のクルマはけっこう安くなる。メルセデスAMG GT、アストンマーチン・ヴァンテージ、DB11 V8、マクラーレン540Cなど
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