| ついにホンダは危機感を感じたか |
これまで「独立」を貫いてきたホンダですが、ついに他社との共同開発に踏み切る、との報道。
合弁相手は米GM(ゼネラルモータース)だと報じられ、実際にGMと共同開発を行うのはホンダの現地法人であるアメリカン・ホンダモーター。
今回両社から発表された内容によると、GMのプラットフォームを使用して「ホンダ向け」EV2車種を共同開発するとされており、生産もGM工場にて行われると報じられています。
共同開発における両社の分担については、GM側がプラットフォームと自社開発のバッテリー「アルティウム(Ultium)」を提供し、ホンダ側はその「上モノ」、つまりボディとインテリアをデザインすることになる模様。
販売開始は2024年と「ちょっと」先で、販売地域は北米(アメリカ合衆国とカナダ)を想定しているとのこと。
現代は自動車メーカーにとって「コストばかりがかかる時代」
なお、現在は多様化する消費者の好みに合わせた製品(自動車)を開発する必要があり、そうなると「多品種少量生産」に。
くわえて最近のクルマはコネクテッド関連技術や自動運転、そのほかドライバー支援システム等を盛り込むことでコストが上昇していて、自動車メーカーのコストは大きく上昇しています。
そこで各社が採用するのが「共同開発」。
最近だと「トヨタとBMW」がスープラそしてZ4を共同開発したことがよく知られていますが、これは「数が出ないスポーツカーを、いかに効率よく開発するか」という命題に対する回答でもあります。
そしてトヨタは現在スバルを事実上の傘下に納めていますが、スズキも巻き込んだ「国産車メーカーによるEV共同開発」計画を打ち出しており、これもやはりコスト平準化政策のひとつ。
ただ、そこで取り残されたのがホンダと日産。
日産は「ルノー」「三菱」とのアライアンス関係にあり、それらをあわせると世界最大規模を誇るのでいいとして、ホンダは(FCAとPSAとの合併によって)どんどん「下位メーカー」へと相対的に沈むことになり、このままでは「生き残れない」ということに。
エレクトリックビークルというお金のかかる事業を進めるにはホンダ一社だけでは荷が重く、そこで今回の提携ということになったのだと思われますが、すでにホンダは電動化の波に乗り遅れたという印象もあり、ここからの挽回に期待したいところですね。
なお、フォルクスワーゲンはEVシリーズ「ID」を発売していますが、こちらのプラットフォームについても「他社へ(有料にて)開放する」とも発表しており、これもやはり「開発コストを少しでも回収するための」手段なのだと思われます。
VW「IDバギーコンセプト」公開。同時にIDシリーズのプラットフォームを他社に販売可能だと公表し、小規模メーカー、新規メーカーも容易にEV市場へ参入できることに
ホンダとGMは2018年から提携関係にある
ホンダとGMとの提携は今に始まったことではなく、実は2018年にスタート。
ただし当時は燃料電池やバッテリーモジュール開発にその範囲が限定されており、しかし今回はEVにまでその範囲が及んだということに。
GMはプラットフォームとバッテリーを提供し、かつ製造することで利益を得ることができ、ホンダは(自社で開発するよりも)安価にてEVを手にすることができるということになりますが、すでに開発が終了しているホンダeをなぜ転用しないのかはちょっと不思議。
今回のGM製EVはアメリカ製ということで日本に輸入する可能性は(コストが高くなり販売価格が高くなるので)低そうですが、そうなると将来的に日本で販売するであろうEVがどうなるのかも気になるところ。
これでもし「日本で売るEVは日本で開発・製造する」ということになると、「欧州、米国、日本」においてそれぞれ別のEVを別に開発して別に売るということになり、そうなるとかなりな無駄が生じることになりそうです。
ホンダは昔から「需要のあるところで生産する」という考え方を持っていますが、それが「ローカリゼーション」を加速化させてしまい、これがグローバル化を阻害したり、コストの増加を招いているのもまた事実かもしれません。
なんでこんなことに・・・。ホンダ社長「車種、グレード、オプションを減らす」。営業利益率はトヨタの1/4へと転落し、”儲からない会社”へと没落