| トヨタとスズキがインド及びアフリカでの事業展開を共同にて |
昨年にトヨタとスズキは「社会課題の解決」および「自動車社会の健全で持続的な発展」についての提携を発表していますが、これは詳細まで明らかになっていなかったものの、環境関連技術、安全技術、情報技術、製品やパーツの供給についての可能性を両社が一緒になって探る、という内容。
今回はそれをさらに推し進め、具体的な行動について発表がなされています。
トヨタとスズキが提携。社会課題の解決と自動車業界に発展に向け
スズキが開発、トヨタが生産
今回の発表によると、トヨタとデンソーがスズキの開発する小型超高効率パワートレインに技術提供を行い、これを搭載した車両をスズキが開発し、その車両をトヨタがインドに持つ現地法人の「トヨタキルロスカ自動車(Toyota Kirloskar Motor Private Ltd.=TKM)」で生産する、というもの。
さらに製造した車両はトヨタ、スズキの両ブランドにて(インド国内で)販売するとしており、加えてアフリカ市場への輸出や、ディーラー網/物流体制の構築についても共同して進めてゆく、と発表しています。
なお、スズキはかなり早い段階からインドへと進出し、現地では大きなシェアを持つ自動車メーカー。
そのためにスズキの販売網を欲しがったフォルクスワーゲンがスズキとの提携を行うなど(現在は解消済み)、インド市場はスズキ抜きでは語れない、と言われるほどの圧倒的優位性を持っています。
今回の前進についてはトヨタ、スズキ両方からコメントが出ており、トヨタのコメントはこちら。
文中にある「やらまいか」はトヨタ、スズキ創業者(ホンダも)出身の地である静岡県西部「遠州」の方言で、「やってやろう」「やってみよう」という意味を持つものだ、とされています。
スズキさんは、誰よりも早くインドに出て、インドの皆様と一緒に、クルマ社会の発展を牽引してこられた存在です。これこそが私がスズキさんとの提携時に申し上げた「やらまいか」(やりましょうよ)の精神であり、私流に申し上げると、「この町いちばん」を実践してこられた会社ということです。
私たちも、スズキさんとともに、インドの一員として、未来のモビリティ社会を、もっと自由で、楽しいものにするために、そして、「Make In India」のクルマが、アフリカをはじめとする世界の多くの国で愛されるために、精一杯、努力してまいります。
私たちトヨタは、「これまでの延長線上にある成り行きの未来」と決別し、「自ら創造する未来」を選択いたしました。そのためには、「やらまいか」の精神こそが必要です。スズキさんとの提携で、この精神を学ばせていただきたいと思っております。
トヨタさんとの提携を発表したときに、「将来技術の開発に懸念を抱えるスズキから求めた提携関係について、豊田章男社長の指導の下、トヨタは熱意をもって協議に応じてくれた。心から感謝したい」と申し上げました。
提携直後より、トヨタさんには密接で親身な協議に応じて頂いています。
この度、スズキにとって死活的に重要な「小型超高効率パワートレイン」の開発について、ご支援頂けることになりました。緊張感を持って全力で取り組んでまいります。
これから、インドのみならずグローバルな市場で両社の更なる成功を目指してまいります。
トヨタからのプレスリリースはこちら
トヨタとスズキ、開発・生産等に関する共同プロジェクトの協議開始に合意
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トヨタとスズキが業務提携へ。
現在はまだ覚書の段階だそうですが、細かい内容は公開されておらず、”「社会課題の解決」および「自動車社会の健全で持続的な発展」”が提携の目的だとされています(つまり提携の範囲は結構広い)。
現在トヨタはスバルと提携関係にあり、ダイハツとは資本関係にあるので、国内の勢力は「トヨタ、ダイハツ、スバル、スズキ」組と「日産」「ホンダ」「マツダ」という4つの派閥に分類されることに(マツダはトヨタ寄り?)。
トランプ大統領就任以来、日本の自動車メーカーはやや苦しい状況になるとも考えられ、国際的競争力を考えるとメーカー間の争いではなく「日本」という大きな単位で将来を考える必要があると考えられ、ぼくとしては「トヨタ組」とホンダが提携を大きな範囲で行い、それぞれの得意分野に集中し、それらを提携を通じ活かすことができるようになればいいのに、とは考えます(それぞれに同じような技術を別に開発し、結果的に片方が敗れ、開発にかけたお金が無駄になるのはもったいない(日産は=ルノーなので日本市場はあまり重視していない)。
ドイツだと「自動車産業発展のために」ライバル同士が手を組むことがありますが、日本は他の業界でも様々な「規格戦争」を行ってきた経緯があり、これは「お国柄」なのかもしれませんね。
なおスズキはGMやVWとの提携など、「得意分野に自信は集中し、その他は他に任せる」傾向があって、欧米型の考え方を持っている、と言えそうです。
以下、プレスリリースの抜粋。
2016年10月12日の「両社の協力関係の構築に向けた検討開始」の発表以降、トヨタとスズキは、互いが抱える課題認識に基づき、両社間で公正かつ自由な競争が行われることを前提として、課題の解決に向けて協業が可能な分野について協議してきた。今回、両社は「環境技術」「安全技術」「情報技術」「商品・ユニット補完」等に関して、協業の実現に向け、検討に入ることを合意した。
両社は早期に業務提携の具体化を図ることに合意している。そのために、両社は直ちに推進体制を立ち上げ、今回合意した内容の具体化を目指していく。