アメリカ市場と日本市場では規模、そして利益構造が異なる
トヨタが北米において、2019年のC-HRを1,505ドル(17万円)値下げ。
ただし単純に値下げを行っただけではなく、装備内容を見直したとしており、グレード構成は「LE」「XLE」「リミテッド」の3つに(アメリカでは「L」や「LX」「リミテッド」といったグレード名が好まれる)。
最も安価なのは20,995ドルの「C-HR LE」となりますが、これは「229万円」からとなる日本の設定とほぼ同じ。
装備内容としてはLEDデイタイムランニングランプ、17インチ「スチール」ホイール、オプションとしてはデュアルゾーン・オートエアコン、パワーウインドウ、4.2インチマルチインフォーメーションディスプレイが挙げられ、これを見ると「相当に装備が簡略化されている」とも言えそうですね(それでもトヨタ・セーフティセンスが省かれていないのはトヨタの良心)。
「値下げ」は米国では一般的
なお、こういった「値下げ」はあまり日本では一般的ではなく、それは「ブランドイメージを損なう」と考えられているため。
よって、ファッションブランドでも「セールを行わない」ブランドも多く、エルメスはその代表格ではあるものの、本国フランスでは定期的にセールを行っていたりして、このあたり「欧米と日本」の値下げに対する差異が感じられるところですね。
一般に米国では「マーケティングの4P」が重視されていて、それは「プロモーション」「プライス」「プレイス」「プロダクト」戦略を指しますが、これから適正でないと製品は売れないとされ、それぞれの要素をかなり重視する傾向も。
そして「プライス」戦略においては積極的な値下げや、「インセンティブ」と呼ばれる奨励金を出してこれを値引きの原資に充てたりという傾向が見られるのも米国市場の特徴で、よって販売が鈍くなると「即座に値下げ」という例も珍しくありません。
たとえばC-HRだと(報道されている範囲で)今回は二回目の値下げとなっていますね。
しかしながら、C-HRが米国市場において販売が伸びない理由のひとつに(米国では)FFしかラインアップされていないということがあるとされ、これは販売現場からたびたび「導入の希望」が声として挙がっているようです。
ただ、2019年モデルのC-HRについて、「値下げ」対応のみで4WDモデルの導入がないのはかなり不思議。
ちなみにプリウスについても、米国には長らく4WDモデルが導入されておらず、先のマイナーチェンジでようやくラインアップに加えられたくらい(”プロダクト”を重視するのであれば、まずは4WDモデルを投入すべきだとも考えられますが、なんらかの障壁があるのかもしれない)。
値下げの有無は日本市場とアメリカ市場との差異?
そのほかトヨタは、プレミアムブランドのレクサスにおいても価格戦略を採用しており(日本だとやはりブランドイメージの関係で値下げはできない)、主力商品のRXを過去に値下げしたことも。
そしてLSについても戦略的な価格設定を行っていて、やはりこれも日本とは異なる部分。
一般的に、日本市場においてはいずれのブランドも「イメージ戦略によって製品単価を向上させ、製品一つ一つの利益をしっかり取る」、アメリカ市場では「値下げをしてでも数を売る」傾向があり、それは市場規模の差(日本は数がさほど出ないので利益を増加させるにはこの戦略しかないが、アメリカでは違う)だと言えそうです。