| 欧州は敵対企業同士でも外敵から身を守るために同盟を組むことがある |
なんかこう、危機が迫ると、いがみ合っている人たちが一致団結することってありますよね。
今回もそういった例ですが、なんとメルセデス・ベンツ、BMW、アウディという「ジャーマンスリー」が自動運転分野にて提携を行う、というニュース。
ちなみに今年はじめにメルセデス・ベンツとBMWとが同分野にて手を組み、今回そこにアウディが加わる、ということになります。
メルセデス・ベンツとBMWはすでに同盟発表済み
まず、メルセデス・ベンツとBMWとの提携ですが、これは「次世代ドライバーアシスタンスの開発」にはじまり、「半自動運転による自動駐車」「高速道路における、レベル3もしくはレベル4の自動運転実現」を研究し、2020年代なかばまでにこれらを実現しよう、というもの。
そしてこの同盟について、両者は「技術開発を加速させ」「開発コストを低減させる」として非常に有用だと述べており、「同盟へのドアはいつでも開けておく」とも。
つまりはさらなる技術開発加速化のため、同様の目的と高い技術を持った自動車メーカー求ムということになりますが、ドイツのメディア、 Wirtschaftswoche によるとここへアウディが参加する、ということですね。
アウディはフォルクスワーゲンに属するメインブランドではあるものの、フォルクスワーゲン自体はすでにフォードと同様の「自動運転開発同盟」を結んでおり、今後はこの同盟がどうなるのかも気になるところ。
なお、ドイツの自動車メーカーは昔から「共通の目的(あるいは敵)のために手を組む」ことがあり、そのためポルシェとメルセデス・ベンツと、ポルシェとBMWとが共同にてクルマを開発したり、ポルシェがBMWのパーツを使用したり、という例も(信じられないが、以前に乗っていた2002年モデルのボクスターSには、BMWの刻印入りパーツがいくつか使用されていた)。
日本ではライバル同士が手を組む例は少ない
反面、日本の自動車メーカーはこういった「同盟」が苦手。
ただし自動車メーカーだけではなく家電メーカー含む他の業種もこれは同じで、狭い日本市場の中で「規格争い」をする例も過去に多数見られます。
有名なのはSONYとパナソニックで、両社は古くから様々な企画で争い、負けたほうが撤退という「無駄」な歴史を持っていますね。
家電について言うと、現在は多くのメーカーがTVや白物家電から撤退していますが、もし家電メーカーが手を組んで共同開発を行い、開発コストを平準化できたならば、もっと違う結果になっただろう、とも考えています。
そしてクルマに話を戻すと、最近のトヨタを見て分かる通り、ちょっとづつ流れが変わってきてはいるものの、ホンダは相変わらず「同盟が苦手」。
よって、水素やエレクトリック、ハイブリッドも独自で開発しており、そのため「コスト高」体質が常態化。
かのロボット「ASIMO」も自社のみで開発したためにコストが高い割に技術レベルが向上せず、結局のところ撤退するはめに。
これがもしボストンダイナミクスと手を組んでいたり、技術をベンチャーに開放して開発への参加を促していたらASIMOは世界を獲れたかもしれない、と思ったりするわけですね。
反面、最近のトヨタはHV関連特許を開放したり、複数自動車メーカーと同盟を結ぶなど「これまでとは異なる」動きを見せていますが、これは世界で活発化する「共同開発」「提携」という動きを背景に、「日本の自動車メーカー同士、手を取り合ってゆかねば未来はない」と考えてのことだと思われます(そういった意味では、ホンダも純血主義を捨ててここへ参加しして欲しい)。