| アストンマーティンはほかメーカーとは異なる路線でSUVセグメントへと参入してきたようだ |
アストンマーティンがついに「ブランド初のSUV/クロスオーバー」、DBXを発表。
これまでにもスパイフォトそしてティーザー画像や動画が公開されていたので、そのスタイリングについては驚きはないものの、やはり実際に公式画像を見ると「アストンマーティンらしい美しさと気品」にあふれるクルマだという印象。
現在、各社とも新しくSUVを発表したり、「クーペスタイルSUV」の拡充を行っていますが、ポルシェ、メルセデス・ベンツ、BMWが、アウディ、ランボルギーニ含めても、「もっともスポーツカーに近い」ルックスを持っているかもしれません。
DBXはスポーツカーのソウルを持ったSUV
アストンマーティンがDBXの発表にあたって用いた表現は「スポーツカーのソウル(魂)を持ったSUV」。
つまり”SUV”だと言い切ってしまっているのは注目に値するところ(一部メーカーは、SUVという表現を嫌う)。
その特徴としては下記を掲げています。
なお、公式フォト、公式コメントはオンラインにて行われていますが、実車は北京にて(おそらくVIPを集めて)公開されたようですね。
- DBXは、アストンマーティンの「セカンドセンチュリープラン」に従った第四のモデル
- アストンマーティン106年の歴史で初のSUV
- アストンマーティンの歴史を集約したデザイン
- スポーツカーのドライビングダイナミクスをオフロードにも
アストンマーティンによると、DBXの開発スタートは2015年から。
「スポーツカーのパフォーマンス」と「高級」とをキーワードに開発が行われ、DBXはアストンマーティンにとっても新しい時代を切り開くモデルとなっただけではなく、「そのセグメントにとってあたらしい基準となる」という自信を見せています。
アストンマーティンDBXの骨格は「アルミを接着」というほかモデル同様の手法を用いて行われ、そのため重量を2,245キロに収めることができた、とコメント。※ランボルギーニ・ウルスは2,200kg、ポルシェ・カイエン・ターボは2,260kg
エンジンはメルセデスAMGより供給を受けた4リッターV8ツインターボで、出力は550馬力。
出力特性はDBXのために再調整されているといい、0-100km/h加速は4.5秒、最高速度は時速291km/h。
トランスミッションは9速AT、駆動方式にはもちろん4WDを採用しています。
この4WDシステムについて、センターにアクティブデフ、リアには電制デフを備えることで高い走破製を実現したと紹介されており、専用に設計されたステアリングシステムは「いかなる路面においても」正確無比なレスポンスを誇る模様。
足回りには「アダプティブ・トリプル・ボリューム・エアサスペンション」が用いられ、これをコントロールするのは48Vエレクトリック・アンチコントロール・システム(eARC)。
このシステムは45ミリ車高を上げる、逆に50ミリ車高を下げることが可能となり、様々な地形や路面状況に応じて最適な車高を維持することが可能に。
サスペンションのダンピングも「コンフォート」から「ダイナミック」まで変更でき、”アンチロールフォース”は1,400Nmに達するそうですが、これによって「強い横Gがかかるような場合でも」フラットな姿勢を保てるようですね。
エクステリアでも「スポーツカー同様」の手法を採用
エクステリアデザインについては、「DBグリル」採用によって、どこからどう見てもアストンマーティン。
DBXならではのデザインとしては「フロントバンパー左右に設けられたダクト周囲にインテグレートされたデイタイムランニングランプ」。
このダクトはホイールハウス内へとエアを導入し、リフトを防ぐと同時にブレーキのクーリングも行うという役割を持っています。
これにかかわらずDBXではエアロダイナミクスが追求されており、空気抵抗の軽減はもちろん、風切り音を抑えるといった取り組み(エアロアコースティックテクノロジーの導入)もなされているようですね。
リアについては「ヴァンテージがインスピレーション元」だとされ、実際にテールランプや、トランク形状を模したノッチは”ヴァンテージそのもの”。
なお、この「横に長い一本モノ」のテールランプは最近の流行でもありますが、ポルシェ911(992)でもこれを採用していて、ただしポルシェはこのランプを「つなぎ目のない、1.4メートルの一本のパーツとして再現」。
たしかにDBXにある「つなぎ目(切れ目)」を見ると、分断されている状態が(仕方は無いものの)ちょっと気になります。
新型911の外装デザインに関わったポルシェ唯一の日本人デザイナー「テールランプの長さは1.4メートル。私はそれを日本刀と呼んでいる」
アストンマーティンDBX最大の魅力はインテリア
そして何よりDBXの特徴はその「豪華な室内」。
内装は「フルレザー」そして職人によるハンドクラフト。
上述の通り「アルミ接着式」フレームによって広い室内を実現でき、乗員5名に加え、人数分のラゲッジを積載することも可能となっています。
荷室空間は632リッター、シートは40:20:40にて分割可倒することでさらに拡大が可能。
アストンマーティンは、DBXの後席については「フロントと同じだけのスペースを用意した」と述べており、実際にヘッドルームとレッグルームは「クラストップレベル」。
このあたり、オーナーが後部座席に座ることも考慮される「ラゴンダ」ブランドを持つ強みなのかもしれません。
なお、後席にも(フロントと同じ構造を持つ)スポーツシートを採用したといい、これは長距離ドライブ時の疲労を低減するのに役立っている、とのこと。
なお、ルーフにはパノラミックグラスルーフを採用し(エレクトリックサンシェードも内蔵)、ドアは(マセラティ・レヴァンテやランボルギーニ・ウルス同様)サッシュレス。
このサッシュレスというのは印象としてけっこう(スポーツカーっぽさを表現する上で)大きい、とも考えています。
なお、サイドのウインドウについてはピラーを隠し、前席から後席まで「フラッシュサーフェス」を実現してるのも特筆すべき点。
そのほか、室内においてはアームレスト、グローブボックスのデザイン、コントロールシステム、各種スイッチ類の配置など「エルゴノミクス」を考慮した設計を導入。
そしてこれについては「クルマをよく知っている人に意見が偏らないように」女性スタッフの意見も取り入れているようですね(アストンマーティンは、DBXについて、”女性ユーザーを主要顧客層として想定している”と以前に語っている)。
ちなみにサイドシルは「カットアウェイ」構造を持ち、これはサイドシルが「外部に露出せず、ドアの内側にかくれている」というデザイン。
このメリットとしては、「ドアを開けた時、サイドステップが出っ張っていないので乗降しやすい」「サイドシルが汚れているときに、長いスカートを履いて乗降すると、スカートの裾が汚れることを防ぐ」というもの。
アストンマーティンは、「ディナー会場に到着した際、女性の美しいイブニングドレスを台無しにするのを防ぐ」と表現しています(さすが)。
アストンマーティンはDBXの初回生産500台に対し「1913パッケージ」を設定する、とも発表しており、これは専用のバッジやプレート、アストンマーティンCEOであるアンディ・パーマー氏自らが検品したことを示すサインが付与される、とのこと(DB11生産時にもこれが採用されている)。
さらにはウォルドーフ・アストリアにて開催されるパーティーにも招待してもらえるとのことで、これは一生の思い出となるかもしれませんね。
車両本体価格については、北米向けの価格が189,900ドル、イギリスでは158,000ポンド、ドイツでは193,500ユーロ、日本では22,995,000円となることが発表済み。
生産はアストンマーティンの新しいウェールズ工場にて行われ、納車は2020年の第二四半期から。
VIA:Astonmartin