| ただしネット販売分は即日完売、あとは店頭で実機を購入できるのみ |
購入するかしないかはともかく、実機を見てみたいところではある
さて、ジラール・ペルゴが1976年の名作「キャスケット」を現代に復刻し820本限定で発売すると発表。
これは「キャスケット2.0」と命名され、見ての通り当時そのままのデジタル式(LED)表示を持ち、しかしケース素材やブレスレットはセラミックへとアップデートされたという腕時計です。
なお、価格は56万1000円と非常に高価ですが、エントリーモデルでも100万円以上というジラール・ペルゴにおいては「まだ安い」部類と言えるかもしれません。
な、限定本数の820本はオンライン分と店頭分とに分けられ、オンライン分は「一瞬で」完売したといい、手に入れることができるのは店頭のみということになりそうです。
ケース形状はキャスケット=帽子
なお、このキャスケットというのは当時の愛好家が命名したものだといい、おそらくはその形状にちなんだものだと思われます(横から見るとハンチング帽の用に見える)。
ちなみにこういった「愛称が後の製品名になる」という例だと「(シチズンの)ツノクロノ」などがありますね。
そして今回のキャスケット2.0はそのデザインを忠実に再現したということになりますが、当時の素材はポリカーボネート製(マクロロン製)だったといい、しかしキャスケット2.0は最新の素材にアップデートされたわけですね。
なお、ケースとブレスレットは、面によって「ポリッシュ」「ヘアライン」仕上げとに分けられていて、見る角度によって異なる表情を生み出すもよう。
そしてブレスレットのコマは「カマボコ型」ではなく、それぞれのコマが連続するかのような形状を持っています(内側にはラバーライニングが施されており、このブレスレットは本体よりも高そうだ)。
なお、ケースバックとバックルにはグレード5のチタンが使用されており、重量はわずか107gに抑えられている、とのこと。
なぜジラール・ペルゴがデジタル式腕時計を?
ジラール・ペルゴというと1791年に設立され、高品質な機械式腕時計を自社で一貫生産するマニファクチュールというイメージがありますが、実はセイコーが「世界初」のクォーツ式腕時計を発表した1969年、ほぼ同時にジラール・ペルゴもクォーツ式腕時計を開発していて、しかしながら「世界初のクォーツ式腕時計の量産」はセイコーに先を越されてしまい、結果的にジラール・ペルゴは「スイス初」のクォーツ式腕時計を量産したメーカーとなっています(翌1970年にはオメガもクォーツ式腕時計を発表している)。※さらに、ジラール・ペルゴは腕時計そのものを歴史上初めて量産したメーカーとしても知られている。自動車ファンにとっては、フェラーリとかつて提携していたことのほうが馴染みがあるかも
こういった経緯もあり、ジラール・ペルゴは「先進性と量産」を追求し、それがデジタル式腕時計の生産と開発に結びついたことは想像に難くなく、今回はついにその名機が蘇ったということになるわけですね。
なお、オリジナルのキャスケットだとLEDの表示は時間、分、秒、曜日、そして日付にとどまっていたものの、キャスケット2.0ではこれらに加えて月、年、セカンドタイムゾーンに加えてラップタイマーまで表示が可能。
これら機能はケースサイドのチタン製のボタンによって呼び出すことができるといい、一日に20回押したと想定すると、電池の寿命は約二年ほどなのだそう(電池寿命を伸ばすために液晶を採用しなかったところは高く評価したい)。
ムーブメントはこの「キャリバーGP3980-1474」、LEDはチューブ式、振動数は32'768 Hz(この周波数はデジタル式腕時計の標準となっているが、これもジラール・ペルゴが定め、後に標準化された規格でもある)、部品点数は50個。
ちなみに外箱はこう。
56万円の腕時計とは思えないほどのシンプルさですが、もちろんこれも意図あってのことだと思われます。
ボクはデジタル式腕時計が大好きだ
ちなみにぼくは機械式腕時計よりもデジタル式腕時計のほうがずっと好きなのですが、その理由は自分でも不明です。
参考までに、ぼくが最も好きな腕時計は「セイコー・エアプロ(初代)」で、ずっと買い集めていたので今では数十本ほどのストックがあり、しかしこれはどんなにちゃんと保存しても加水分解でウレタンパーツがボロボロになっていて「もう使うことができない」のが非常に残念。
随分前に、セイコーが持っていたストックも完全に損壊してしまい、再生産もなされないので(別注で100本作らせてくれと持ちかけたが断られた)もうどうしようもない状態です。
その次に好きなのがカシオ・サイバークロスというこれまた珍品ですが、その価格一万円ちょっとという「オモチャ」のような腕時計です。
そのほかのお気に入りはジウジアーロ・スピードマスター、スント各モデル、ナイキがずっと前に出していた四角いデジタル時計、スウォッチ・タッチ、そしてフューチャーファンクといったところで、反面、カシオ・データバンク、ハミルトン・パルサーにはさほど惹かれず、どこに「惹かれる、惹かれない」境界線があるのかも我ながらちょっと謎。
この「キャスケット2.0」についてはかなり惹かれる部類ではありますが、一度実物を見ることができるのであれば、腕に巻いてみたいと思います。
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