| ボクはこの不自然な方向性にどうも納得ができない |
どうせならレザーとは全く異なる、新しい価値観を追求すべきだと思う
さて、現在自動車業界では「サステイナブル」を掲げないと社会的に許さない状況であり、その方面は「カーボンニュートラル」「CO2フリーの生産工場」「リサイクル素材の使用」など多岐にわたります。
そして今回(ミニ含む)BMWが公開したのが「ヴィーガンのためのインテリア」の採用で、2023年から一部のモデルやグレードにおいて、レザーの代わりに「代替レザー」などを用いた内装を選択できるようにするといい、今後米国、欧州、中国などの市場で増加すると見られる「レザーフリーのインテリアに対する需要」に対応する意図があるようですね。
なお、ちょっと不思議なのは「レザーはサステイナブルではないから、レザーに似た外観の非レザーを作ってみた」というのはなんとなく本末転倒というか、レザーの呪縛から逃れることができていないように思うのですが、そのあたりヴィーガンの人々がどう思うのかは全く不明。
ちなみにぼくは、「レザーがサステイナブルでないと思うのなら、レザーっぽく見せる合成レザーなんか採用しなければいいのに」と思います。
欧州自動車メーカーはとくに「脱」レザーに熱心だが
こういった脱レザーの動きを見せるのは欧州メーカーが多く(米国の自動車メーカーでは例外的にテスラが非レザー素材を使用)、メルセデス・ベンツはリサイクルに非常に高い関心を示し、エアバッグや「おむつ」に至るまでリサイクルするというコンセプトを掲げているほど。
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今後、ミニとBMWはこう動く
そしてこれからのミニとBMWですが、例えばステアリングホイールにレザー調素材を導入することで、動物由来の原材料を含む部品の割合を1%未満に抑えるといい、かつ、こういったサステイナブルな素材は主にインテリアの保護コーティングや塗料の添加剤など、顧客の目に触れない部分にのみ使用される予定だと述べています。
さらに、この新しいステアリングホイールの表面素材は、レザーと比較して、バリューチェーンに沿ったCO2排出量を約85%削減することができる、とも。
BMWグループのボディとエクステリアトリム、そしてインテリア開発責任者であるウーヴェ・ケーラー氏によれば、「高品質のヴィーガン素材を使用したステアリングホイールにより、外観、感触、機能性の点で一切の妥協を許さない顧客の希望を叶えることができるのです。この革新的な素材は、摩耗、汗、湿気による摩滅に耐え、レザーの望ましい特性をすべて備えています」。
このほか、将来の製品におけるCO2混合量を低減するソリューションとしては、リサイクルが困難な混合物を避ける、いわゆるモノマテリアルから作られたフロアマットがあり、これは複数の素材を使用するとリサイクルが困難になることを考慮した、ということになりそうですね。
BMWグループは、これらの措置を採用した結果、毎年約23,000トンのCO2と、約1,600トンの廃棄物を削減できると推定していますが、興味深いのは、同じBMWグループに属するロールス・ロイスが今回の声明に名を連ねていないこと。
ロールス・ロイスは「顧客の要望に備え」ヴィーガン対応インテリアをいつでも実現できるそうですが、ロールス・ロイスによれば「今までそういった要望を聞いたことはない」といい、つまりすべての顧客がレザー内装を選ぶのだそう。
そういった経緯もあってロールス・ロイスは今回ミニとBMWと歩調を揃えていないのだと思われますが、ここもグループ内で「方針が統一されていない」あやふやな部分を感じずにはいられないところです。
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