
Image:Lamborghini
| SNSでは「賛否両論」あるようだが |
ただしランボルギーニをクルマというより「芸術作品」だと理解すればこれも「アリ」である
さて、ランボルギーニは比較的早い段階で「鍛造カーボンファイバー」を取り入れた自動車メーカーですが、この鍛造カーボンファイバーは「量産が容易」「コストが安い」という触れ込みにて登場しています。
通常の「織り柄が見える」カーボンファイバーとの最大の相違は「製法」にあり、織り柄が見えるカーボンファイバーの場合、一般的には「型」の上にカーボンファイバーにて織ったシートを被せ(巻いて)、その上から樹脂を塗って固めるという製法を採用するのですが、そのため製造に手間がかかり、使用するカーボンシート、樹脂ともに(端の方など)無駄が生じるわけですね。
鍛造カーボンファイバーは「こう」違う
一方、鍛造カーボンファイバーだと、通常のプラスチック製パーツと同じように、「型」の中に樹脂を流し込むことで一発で成形でき、そのため安定した品質にて、かつ大量生産が可能となります(正確には、型の中に樹脂と一緒に裁断されたカーボン製チップを混入させる)。
そしてこの鍛造カーボンファイバーは現在では広く自動車業界にて採用されており、ランボルギーニだけではなくマクラーレンやレクサスにも用いることでも知られます(画像はレクサスRCのトランクフード内側。ドア内側も同様である)。
ただ、この鍛造カーボンファイバーは見た目が(従来の)カーボンっぽくないということであまりクルマ好きからは人気が出ず、さらにはクルマに興味がない人とにとっては「単に汚れているようにしか見えない」という問題があり、さらにいうなれば「自動車メーカーが予期したほどコストが下がっていない」。
参考までに、ランボルギーニ・ウラカンのエンジンベイにはこういった鍛造カーボンファイバー製パネルが装着されていたのですが・・・。
ほとんどの人からは「汚れてるよ」という反応しかなかったのも事実です。
そんなこんなで、「鳴り物入りでデビューしたものの」実際にはあまり普及していないというのがこの鍛造カーボンファイバーでもあるわけですね。※ただしマンソリーはこの鍛造カーボンの使用を他社との大きな差別化として活用している
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ただしランボルギーニは「鍛造カーボン」を諦めていない
そして今回ランボルギーニがアナウンスしたのが「自社のパーソナリゼーションプログラム、アドペルソナムを通じて鍛造カーボンファイバー風ペイントを提供する」。
業界に先駆けて鍛造カーボンファイバーを導入したランボルギーニの矜持の現れであるとも受け取ることができるのですが、ここで重要なのは「鍛造カーボンファイバー」ではなく「鍛造カーボンファイバー”風”」ということで、つまり「通常のボディパネルの上に鍛造カーボンファイバー風のペイントを行っている」のがこのオプション。
Image:Lamborghini
ランボルギーニによれば、この塗装は「クラフトマンシップとスタイルを融合させたもので、複雑な多層塗装技術を用い、レヴエルトのモノコック構造が持つ深みと質感を再現している」とのこと。
確かに、この仕上げには高度な技術と専門的なスキルが必要とされる、手間のかかる工程だと思われますが、しかしSNSでは意見が分かれているようで、「かっこいい!」と絶賛する人もいれば、「洗車が必要なクルマに見える」といった否定的な声も見受けられるようですね。
ぼくとしては、ダリが「銅像を白く塗って石膏製のように見せた」という逆説的な表現手法を用いたのと同様、「ランボルギーニの主張」を垣間見ることができるように感じており、ある種の「最高の贅沢」なんじゃないかとも考えています。
Image:Lamborghini
ちなみにインテリアに仕様されるのは「通常の」織り柄が見えるカーボンファイバーで、これもまた”面白い”ところかもしれません。
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参照:Lamborghini(Instagram)