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日産エクストレイルに試乗。輸入車を超えるレベルの充実した装備、走行性能はさすが世界戦略車

2017/06/26

マイナーチェンジを受けた日産エクストレイルに試乗。
試乗したグレードは20Xハイブリッド(4WD)、車両本体価格は3,098,520円となっています。
文字どおりハイブリッドとなりますが、モーターはシングルとなり、少しだけならモーターだけでも走行が可能。

なおエクストレイルは2000年登場となり、現在のモデルで三代目。
その三代目もモデルライフ中央に差し掛かり今回マイナーチェンジを迎えた、ということになりますね。

まずはざっとスペックを見てみましょう。

日産エクストレイル 20Xハイブリッド

全長/全幅/全高:4690/1820/1730
排気量:1997cc
エンジン出力(MR20DD):147PS
モーター出力(RM31):41PS
車体重量:1690kg
燃費:リッターあたり20.0km

4WDシステムは「インテリジェント4×4」で、これはセレクターで2WDと4WDを選択できるほか、「オート」モードに入れるとフロント100〜50、リア50〜0%までトルクを自動配分。
TVコマーシャルを見ても分かる通り走破製はエクストレイルの一つの魅力で、本格的なオフロード走行性能を有する割には価格が安く、アクティブなライフスタイルを持つ人々には大変な人気を誇る車です。
実際のところ購入者の大半が「4WD」を選んでいる(一応FFモデルもある)、とのこと。

現行モデルは従来のオフロード走行性能に加えてさらにオン/オフ走行性能を強化しており、その一つが「インテリジェント・トレースコントロール」。
これはコーナリング時に4輪のブレーキを個別に制御するもので、思い通りのラインつまり「ニュートラルステア」を維持するもの。
二つ目は「インテリジェント・エンジンブレーキ」で、これもコーナリング時、そして減速時にエンジンブレーキを作動させて車体を減速させ、フットブレーキの操作負荷を減少させる機能となります。
「インテリジェント・トレースコントロール」と「インテリジェント・エンジンブレーキ」は、その制御こそ異なるものの、マツダの「Gベクタリング・コントロール」に似た考え方となりますね。
三つ目はインテリジェント・ライドコントロールで、「上下の動きを予測して」エンジンとブレーキを自動で制御し、でこぼこ道での車体振動を制御し乗り心地を向上させる、としています。

一般的な装備はほぼ揃っており、LEDヘッドライト始めエマージェンシーブレーキ、踏み間違い衝突アシストなど安全に関するデバイスも充実。
なお最近日産がアピールしている自動運転システム「プロパイロット」はオプション、カーナビゲーションもオプション扱いとなっており、この辺りは購入時に「追加費用」として考えておく必要があるかもしれません。
カーナビゲーションについては360度アラウンドビューモニター、パークアシスト、インテリジェントルームミラー(液晶ミラー)がセットになったパッケージあり、これを選ぶと結構割安に。

ざっとエクストレイルという車そのものはこんな感じですが、実際に車をチェックしてみましょう。
キープコンセプトだった二代目とは異なり、三代目エクストレイルでは大きくデザインが変わり、エッジの効いた「今風」ルックスに。
そのぶん泥臭さは薄れましたが、都会派SUV、というイメージも受けますね。

ドアを開けて乗り込ん気づくのは「シートポジションは意外と低い」ということ。
平均的な日本人の身長だと全く違和感なくシートに腰を下ろすことが可能。
一部の輸入SUVは欧米人の平均身長を考慮しているためかシートポジションが高めの場合がありますが、さすがこの辺り「日産」と感じる部分です。

内装は(ドアパネルなど)樹脂パーツが目立つものの、エクストレイルの性格を考えると、この方が「らしい」のかもしれません。
それでもダッシュボードにはレザー風の処理とステッチが入るなど高級感についても考えられていることがわかります。

メーターはアナログ式ですが中央には液晶ディスプレイがあり、ここに現在の電気の流れやパワートレーンの作動状況が表示され、視覚的に動作がわかるように。



早速エンジンを始動させてシフトレバーをDレンジに入れ、電気式パーキングブレーキを解除して発進。
エンジンが始動しているときはクリープがあるようですが、エンジンが停止している状態だとクリープはなく、従って発信しようとしたときはアクセルを踏んで駆動力を自分で発生させる必要があります。

出だしはモーターのみで動き出すことができ、その後にエンジンが始動してエンジンによる走行へと移行。
減速時はエンジンが停止して回生による充電を行いますが、エンジンが始動している時間は非常に短く、積極的にモーターを使用するシステムのようです。

試乗中の燃費はリッターあたり14キロで、これはトヨタのハイブリッド車に比べてもかなり優秀な数字でもあり、意外と日産のハイブリッドシステムは実用性が高い(しかもエクストレイルの車両本体価格を鑑みるにコストも安い)と言えそう。
ハイブリッド=トヨタという印象がありましたが、知らぬうちにほかメーカーも随分追い上げているようですね。

なお加速時にはエンジンに加えてモーターがアシストしますが、減速時のエンジン停止、加速時のモーターによるアシストはほぼ感じ取ることができず、ごくごく自然な動作となっています(エンジン始動時のみ若干の振動を感じますが、これもすぐに慣れるレベル)。

ステアリング、ブレーキはごくごく自然で、車高の高い車であることを感じさせないフィーリング。
最小回転半径も5.6メートルと小さく、ステアリングのロック・トゥ・ロックもさほど大きくはなく、「そんなにハンドルをぐるぐる回さなくても」小さなカーブを曲がることが可能。

オフローダー的なルックスとは裏腹に「乗用車的な」乗り味が特徴で、セダンからの乗り換えでもシートポジション共々違和感はなさそうです。

なお、ぼくが感心したのはその「乗り心地の良さ」で、うねるような路面、段差、小さい凸凹が続く道でもサルーンのように快適。
これはおそらく上述の「インテリジェント・ライドコントロール」の働きによるものと思われますが、安定性向上、乗り心地の向上には大きく役立っていそうですね。

ダブルレーンチェンジ、ちょっと強くブレーキを踏み込んだ時の安定性にも優れており、正直なところトヨタ・ハリアーやレクサスNXよりもこれは「上」と感じる部分。

確かに昔から日産は足回りがよくできており、「フラットライド」に関しては国産メーカーの中でもトップレベルだと認識しています。
実際に日産車が走っているのを見ていると、段差を超えてもボディは動かず、しかしタイヤがよく上下している様子を見ることができますね。

特にブレーキのタッチは秀逸であり、効き始めはゆっくりで、強く踏み込むとジワジワ効いてくるタイプ。
ブレーキの踏みしろはかなり深く、これは悪路や低ミュー路での走行を考えたセッティングなのかもしれません。

総合的に見ると思っていたよりもずっと高いレベルの技術が使用されている車であり、それが実際の燃費や乗り心地、操縦安定性に大きく貢献している模様。

ここ数年というかもうちょっと前から日本の自動車メーカーは「グローバル」ということを意識しており、「世界で販売すること」を前提に車を設計しています。
最近の車だとトヨタC-HR、スバル・インプレッサ/XVもそうですが、もちろんこのエクストレイルもそれは同じ。

これがどういったことかというと、「国内専用」もしくは「日本での販売メイン」の車種より多くの台数を販売できることになるわけで、そのぶんコストをその台数で「按分」した場合、割安に価格を設定できる、ということに。
つまり「より低い原価で、より良いものができる」ということにもなりますね。

そしてグローバルモデルということは、「世界中のライバルと戦う必要が」出てきます。
日本だとトヨタ、ホンダ、日産やスバルなど日本勢とアウディ、BMWなど欧州勢は価格的に競合しませんが(輸入車は割高になる)、欧州や米国ではこれらのメーカー同士が「価格的面でも」現地で競合することになる場合があり、つまり日本の自動車メーカーは「欧州自動車メーカーとの競合」という矢面に立たされることになるので、それらに勝る性能や機能を持つ必要があるわけですね。

よって、こういったグローバルモデルは「BMWやアウディに匹敵する(メルセデス・ベンツはちょっと別格だと思う)性能を持っている」場合があり、ぼくが試乗した限りだとスバル・インプレッサ/XV、ホンダ・ヴェゼル、日産エクストレイス、トヨタC-HRは確実に「欧州車と比肩しうる、もしくは勝る」性能を持っている、と考えています。

ホンダ・ヴェゼルを例にとると、あの価格で「電気式パーキングブレーキ」や「デュアルクラッチ」を持っており、これは欧米での競争力を考慮した設定だと言え、日本では「そこまでしなくてもいい」つまり「過剰」とも考えられる部分(手動式パーキングブレーキでもトルコン式ATでも良い)。
ですが世界中で販売を有利にすることを考えて「電気式パーキングブレーキ」や「デュアルクラッチ」が与えられており、日本においてもその恩恵をこうむっている、とも考えられます。
要は日本専用モデルであったらこういった装備は与えられなかったものの、グローバルモデルとしての使命を負っているために上級装備が奢られている、ということになりますね。
※現在、ホンダやマツダ、日産において日本市場はグローバル販売の1/3以下しかない

もちろんエクストレイルもそれは同じで、「欧州だとアウディやBMWと戦えるだけの装備を持ちながらも」日本国内においてはライバルよりもずっと安い価格で売られている、と考えて良さそう。

その点において「日本の自動車メーカーの作るグローバルモデル」は非常にお得だと考えており、最近こういったモデルを試乗するにあたり、「輸入車を日本で購入する意義は最近どんどん薄れているんじゃないか」とも考えたりします(ただしスポーツカーは別)。

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