| 2022年は自動車業界にとってタフな1年だったが、2023年はさらに厳しい年になるだろう |
物資不足、インフレに加えて大幅な経済減速が懸念される
さて、2021年の米国自動車市場においてはトヨタがGMの販売台数を抜いてトップに躍り出ることになり、その際に豊田章男社長がちょっとしたダンスを踊ったのは記憶にあたらしいところ(ただし、それももう一年前の話である)。
ちなみにですが、GMが米国市場での販売トップを維持できなかったのは(2021年が)1931年以来はじめてだったといい、しかし2022年においては(2021年に首位を奪った)トヨタから首位を奪還してトップに返り咲くことが明らかになっています。
2022年は波乱の年だった
なお、2022年はそれまで続いていたマイクロチップ不足やパーツ不足に加え、地政学的なリスクが発生し、さらにはインフレなどが重なったパーフェクトストーム状態であったわけですが、この1年、おそらくGMは「なんとしてもトヨタを超える」ために努力してきたのだと考えられ、公式発表では「販売台数が2.2%増加した」。
一方のトヨタは「9.6%減少した」と発表しているので、台数的にはGMが2,274,088台、トヨタが2,108,458台となって逆転することになります。
まだまだ他の自動車メーカーからの発表はないものの、アナリストによると2022年の自動車市場は2021年比でマイナス8%、そして2016年に比べると-20%になるという予測もあるので、この中で販売台数を増加させたGMは相当に「頑張った」と言ってよく、米国市場における販売台数ナンバーワンのほか、「ピックアップトラックの販売もナンバーワン(9年連続)」「フルサイズピックアップの販売もナンバーワン(3年連続)」「フルサイズSUVの販売もナンバーワン(48年連続)」「ラージ・ラグジュアリーSUVの販売もナンバーワン(9年連続)」「ラグジュアリースポーツカーの販売もナンバーワン」「顧客忠誠度(他のブランドへと顧客が流出しない)もナンバーワン」「初期品質調査の結果もナンバーワン」「顧客満足度もナンバーワン」「メインストリーム(ラグジュアリーではない)EVの販売もナンバーワン」。
参考までに、GMにはビュイック、シボレー、GMC、キャデラックといったブランドが内包されますが、コルベット、ハマーEV、エスカレード、ボルトといった人気モデルがあり、それぞれのセグメントにおいて強みを発揮していることが今回の成果につながったのだと思われます。
2022年の販売台数減少の理由は「在庫不足」
なお、2022年の自動車販売の減少の理由としてはチップ不足と材料費の高騰によって販売する車両が不足したことが主な要因として挙げられており、特に米国では国がたくさんのお金をばらまいたこともあって「高額であっても新車を購入する」人々が続出し、つまりは在庫を奪い合った状況が生じたのも特筆すべき点。
ただし2022年後半はそういった「限りある商品を奪い合う」ことからインフレが加速し、さらには生活必需品まで値上がりしてしまったために自動車のローンを払えなくなる人が続出するなど需要減退の傾向も見られており、2022年とは異なって「自動車を売るのに苦労する」年になるかもしれません。
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もちろん原材料の高等、パーツ不足はまだまだ続くことになり、そしてこれまでの統計ではトヨタはじめスバルなど主にアジアのブランドがその影響を受けているとも報じられ、欧米ブランドに比較して大きく落ち込んでいると報じられています。
これはおそらくパーツ供給網を中国に頼りすぎたことがひとつの原因だと考えてよく、そのためホンダはじめ各ブランドは「脱中国」などサプライチェーンを見直す動きが生じており、こういった混乱はまだまだ数年といった単位で尾を引くことになりそうですね。
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参照:Reuters