| この状況は2008年のリーマンショックに酷似しており、未払い率が増えれば実際に大規模な経済後退も |
この「未払い」には想定外の要因も絡んでいる
さて、コロナウイルスのパンデミックにはじまりロシアのウクライナ侵攻など、これまでにない激動が続いたこの数年。
そしてそれらに起因する物資の不足、生産現場の逼迫、ひいては価格高騰、抑制策としての金利上昇など、とにかく負のスパイラルに突入しているのが現在の状況だと言っていいかもしれません。
現在の状況は予想外、そしてパーフェクトストームだとも考えられますが、今回は「自動車ローンの返済が滞る例が増えており、これがさらなる景気後退を引き起こすのでは」という報道がなされています。
米国では自動車ローンの未納が増え、差し押さえも急増
今回の報道だと、現在米国では自動車ローンの未納、そしてそれにまつわる差し押さえが急激に増えているといい、これが2008年のサブプライムローンの破綻に起因するリーマンショックの状況に似ていると警鐘を鳴らす経済評論家もいるもよう。
そこでこの流れを整理してみると、まずはコロナウイルスが流行し、これによって工場が閉鎖されたり、サプライヤーからのパーツ供給が滞ったりすることで新車生産が減少してしまいます。
ただ、当時はコロナウイルスの存在そのものが消費意欲を減退させ経済活動を低迷させると考えられていたものの、人々は各種景気刺激策、そして旅行やレジャーに使わなくなった(使えなくなった)余剰資金を保有していたために「高額なプレミアが乗っていても」新車をバンバン購入し、これがさらに新車価格を引き上げることになったわけですね。
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そしてこの様子は”人々は狂ったかのように新車を買い漁り””銀行もどんどんお金を貸していた”とも表現されており、これはまさにリーマンショック直前の状態を連想させます。
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加えて、銀行はコロナウイルスのパンデミック直後には「滞納に対しても寛容」であったといい、しかしその後インフレが加速したり失業率が上昇するにあたって状況が一変してしまい、多くの家庭において生活費の捻出に困った挙げ句、自動車ローンの支払いを遅らせる例が多発するに際し、銀行も「早めに債権を回収しないと」と考えたのか、未払いの回収や車両の差し押さえを早々に行う例が増加している、とも言われます。
さらにインフレによる物価の上昇は電気代や食品など生活必需品への支出を圧迫するだけではなく、自動車関連だとガソリン代、自動車保険料、修理代などすべてが高騰することになり、これはまさに負の連鎖と言った感じですね。
なお、2019年以降では、新車に対する平均的な月々の(ローン)支払額は約26%上昇しており、購入者の6人に1人は車に毎月1,000ドル以上費やしているという報道もあるので、このまま物価が上昇し続ければ、さらに「支払いが滞る」例が増えると考えていいのかもしれません(そして、このインフレは収まりそうにない)。
取り立て会社の仕事も急増
そしていくつかの報道で見られるのが、「債権回収会社の仕事が急増している」という事実。
つまり「取り立て屋」の需要が増えているということになりますが、それだけ「自動車を購入したのにお金を払わない」人が多いということを意味していて、実際に債務不履行が増加していると考えて良さそうです。
ちなみにですが、リーマンショック直後(2009年)の「新車購入車の債務不履行率(30日間遅延)」は4%であり、2019年は2.35%、そして2022年は2.2%だというので、まだそこまで悪くない数字ではなく、しかし今後これがどう動くのかはわからないため、注視を要するところだと思います。
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参照:NBC News