| ある意味では、日本の自動車メーカーはまだここに参入していなかっただけに「傷を受けなくて済んだ」のかも |
それにしても多くのEVメーカーはテスラに翻弄されるばかりのようだ
さて、テスラが世界中にて大幅値下げを行った後に大きく販売が増加し、そこでいくつかのEVメーカーも値下げに踏み切らずを得ない状況となっています。
ちょっと前には中国のシャオペン(Xpeng)が大幅値下げを敢行していますが、今回は米国にてルシード(ルーシッド)が自社のルーシッド・フィナンシャル・サービスを通じて車両をリースする場合のみ、新型Airを7,500ドル割引するというキャンペーンを実施すると発表。
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ルシードは完全に「並みに乗れなかった」新興EVメーカー
なお、このルシードは米国カリフォルニアにて創業されたEVメーカーですが、同じ地で設立されたテスラが「モデルS」をヒットさせた際、テスラの幹部がテスラを辞して創業された新興EVメーカー。
よって「打倒テスラ、打倒モデルS」を標榜しているものの、実際にルシードの市販第一号である「Air(エアー)」が発売された頃にはテスラの主軸がモデルSからモデル3/モデルYへと移っており、しかも同じようにモデルSをターゲットとしたポルシェ・タイカン、メルセデス・ベンツEQS、アウディ E-Tron GTなど多数のモデルが同じセグメントへと投入されているという状況に。
つまり追いかけていたテスラはとうの昔に別のセグメントに移ってしまい、よってルシードは完全に肩透かしを食らってしまったという状況で(しかも厳しい環境に放り込まれている)、ルシードとしては「こんなはずじゃなかった」という感じなのかもしれません。
そして今回はテスラが大きく値下げを行うことになり、それはルシード・エアーが仮想ライバルだと考えていたモデルSとて例外ではなく、よってルシードとしては「追いかけるべき存在がいなくなり、しかも周りにはライバルだらけ、そしかしテスラが値下げを行った以上、自社も値下げを行わねばクルマが売れない」といった状況となってしまったわけですね。
これは「デリバリーをはじめたばかり」で利益を出せていないルシードにはかなりキツい状況だと考えてよく、今回のテスラの値下げは多くの新興EVメーカーを駆逐してしまう可能性もありそうです。
ルシードの対応は右往左往
なお、今回の値下げの前、ルシードは(サプライチェーン問題を理由に)大きく値上げを行っていて、この際には多数のキャンセルが発生したといい、そのキャンセルをつなぎとめるために「顧客に14回電話すること」という通知が出されたことも報じられています。
ちなみに値上げ幅は10,000~15,000ドルだったので、今回の7,500ドルというのはそれを帳消しにするには及ばず、さらには特定の条件をクリアせねばならないという難しさもあり、ここからは「本当は値下げしたくないが、テスラが値下げしたのでやむなく値下げしなければ」といった雰囲気も見え隠れします。
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いずれにしても、ルシードは何から何までテスラに翻弄されてきたという印象があり(しかもテスラはルシードのことなど意に介していない)、なにかビジネスをはじめるのであれば、あまりに状況変化の速度が早い今の世の中において「現在売れているものをターゲットにする」というスタイルがいかに危険であるかもわかりますね。
そして同時に「やはりビジネスを始めるのであれば、いかに困難であっても(テスラのように)先行者利益を得られる新規ジャンルを切り開くべき」ということも強く感じさせられる今日このごろです。
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