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テスラが自動運転に「隠しモード(イーロンモード)」を仕込んだことで米規制当局からお叱りを受け「修正しないと200億円相当の罰金を徴収する」と脅される

2023/09/04

テスラ

| 結果的には規制当局の命令に従い、プログラムを修正したものと思われる |

「レベル2なのに(本来握っておく必要がある)ステアリングホイールを握らなくてもいい」という隠しモードが存在したもよう

さて、テスラが米連邦規制当局より、フル・セルフ・ドライビングモードの「隠しプログラム」の危険性を指摘され、それを修正しなければ最大で1億3,156万4,183ドル(現在の為替レートだと200億円近く)の制裁金を科すという通達を受けていたとの報道。

ことの発端は今年6月にハッカーが発見した「イーロン・モード」なる隠しプログラムであり、これを実行すれば「ほとんどステアリングホイールにノータッチで」自動運転プログラムを作動させることができると指摘されています(テスラのFSDはレベル2なので、基本的にドライバーはステアリングホイールに手を載せている必要がある)。

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ハッカーがテスラの自動運転(FSD)プログラムを解析→ゴッドモードを発見。これは「イーロンモード」と社内で呼称され、より高次の自律運転を実現するようだ

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一体イーロン・モードの何が問題だったのか

そしてこのイーロンモードが「隠されたまま」であれば問題はなかったものの、この存在と実行方法が広く知られるようになってしまい、多くのドライバーがこれを実行できるようになってしまったことが米連邦規制当局に問題視されることになったわけですが、その結果、米道路交通安全局は7月26日にテスラに特別命令を出したと報じられています。

この特別命令は、規制当局の最高顧問代理であるジョン・ドナルドソン氏の署名が入ったもので、「NHTSA(米国運輸省道路交通安全局)は、イーロン・モードなる機能が消費者向け車両に組み込まれ、この機能の存在が一般に知られるようになった今、より多くのドライバーがこの機能を作動させようとするかもしれないことを懸念している。その結果、ドライバーが動的な運転タスクに関与し続けることを確実にするために設計された制御が緩和されることで、ドライバーの不注意が大きくなり、ドライバーがオートパイロットを適切に監督できなくなる可能性がある」と記されています。

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なお、この「ドライバーが動的な運転タスクに関与し続けることを確実にするために設計された制御」というのは、”ナグ”と呼ばれる「自律走行中、ステアリングホイールから手を離すと、ステアリングホイールに手を戻すよう注意を促す警告」であり、イーロン・モードではこれがほとんど出なくなってしまうために当局は危険だと判断したわけですね。

実際のところ、このイーロン・モードを発見したハッカーは、ステアリングホイールに一度も触れることなく600マイル(966km)を走ったと主張しており、しかし事故に遭遇しなかったのは単なる僥倖であったのかも。

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たしかに当局の言うことは一理あり、そしてテスラのFSDがレベル2にとどまることを考慮すると「イーロン・モードは違法」ということにもなるかと思われ、なによりも安全を第一に考えるならば当局に従うよりほかはないのかもしれません。

この特別命令の回答期限は8月25日であったといい、報道によればテスラは期限内に回答を行ったとのことですが、この命令に従ったのか拒絶したのかまではわかっておらず、そして今後のNHTSAの対応、テスラの対応も不明です。

ただ、テスラは今後より高いレベルの自動運転の認可を受けることを目指しているはずなので、当局の指示に従わないと認可がおりない可能性が高く、その意味では今回の件についても「規制当局の命令に大人しく従った」のかもしれませんね。

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参照:Bloomberg

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