| 現在のテスラの自動運転レベル(2〜3)を考慮すると、完全自動運転(レベル4〜5)を短期間で達成できるとは考えにくい |
それでもこういった発言をするからには何らかの「根拠」があるものと考えられる
さて、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が「今年後半に完全自動運転がテスラ車に搭載されるだろう」とコメントして話題に。
ただし同様のコメントを発するのは過去に数えきれないほどあり、そしてイーロン・マスクCEO自身も「ええと・・・私は期限を守ることについては問題があるかもしれません」と過去にコメントしており、よって今回の発言も話半分もしくはそれ以下だと捉えておく必要がありそうです。
到底現在のレベルから数ヶ月で完全自動運転が実現するとは思えないが
なお、現在のFSD(フル・セルフ・ドライビング)のレベルからたった数ヶ月で完全自動運転のレベルにまで到達するとは思えないというのが偽らざる心境ですが(もし可能になれば世界が震撼する)、今回のコメントは上海で開催された世界人工知能会議で発せられたもので、イーロン・マスクCEOはビデオリンクを通じて出席し、テスラがどのようにAIにアプローチしているか、また自律走行技術に関してどのような進歩を遂げているかについての言及を行っています。
そしてイーロン・マスクCEOによれば「現段階でのテスラの位置づけとしては、人間の監視なしの完全な自動運転の実現に非常に近づいていると思う。これは推測に過ぎないが、完全な自動運転、おそらく4、5と呼ばれるような自動運転は、今年の後半には実現すると考えている」。
ここでは「推測に過ぎないが」というクッションを置いていることに注目する必要があり、過去に同様のコメントを発した際にも「実現しなかったからといって株主の方々に責められても困りますが」という前置きを行っているので、やはり今回の自動運転に関する発言についても「希望的観測」にとどまると考えていいのかも。
現在はレベル3が「やっと」
なお、現在市販車が装備する自動運転レベルでもっとも高度なものは「3」。
北米だとメルセデス・ベンツEQS、Sクラスの2台が2024年モデルにレベル3を”はじめて”搭載するとして話題になりましたが、ここから一気に完全自動運転である「レベル5」へと飛躍するのはかなり困難。
ただしイーロン・マスクCEOは「現在、これまでのどの時点よりも完全自動運転に近づいている」とコメントしており、なんらかのブレイクスルーがもたらされた可能性も否定できませんが、これを搭載するには様々な関係省庁の認可が必要であり、NHTSAがFSDとその事故に関する調査を再度行うと発表した今のタイミングだと、いかにテスラが優れた技術を開発したとしても、これが認可される可能性は高くないのかもしれません。※ただ、テスラは25,000ドル以下の安価なEVを発売する際、完全自動運転を目玉にすると宣言しているので、どこかで乗り越える必要がある壁ではある
参考までに、現在一般的とされる自動運転のレベル定義は以下のとおりです。
自動運転のレベル定義
- レベル0
ドライバーが運転に関する全ての操作を行う。 - レベル1
加速・操舵・制動のいずれかを車両側が行う(自動ブレーキ含む)。 - レベル2
加速・操舵・制動のうち、複数を車両が行う。
アダプティブ・クルーズコントロールもこれに該当。 - レベル3
加速・操舵・制動を全て車両が行うが、緊急時や自動運転システムの限界時にはドライバーが操作を行う。
事故時の責任はドライバー。 - レベル4
完全自動運転を車両が行い、ドライバーは運転に関与しない、または存在しない。 - レベル5
レベル4に加え、走行に関して限定条件がない「完全自動運転」。
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参照:ChannelNewsAsia