
| テスラは一時「廉価版EV」を計画したものの、その計画をキャンセルしたとも伝えられていた |
ついに「手が届くテスラ」が現実味を帯びてきた
テスラが長年「出す」と言いながら、その後イーロン・マスクCEOが「安価なEVはもはや無意味だ」と否定したことで計画が潰えた(通称)「モデル2」。
もともとテスラは「モデルSとモデルXを富裕層に販売し」、そこで得た利益で工場(ギガファクトリー)を世界中に建設し「一般の人にも購入できる価格帯の」モデル3とモデルYを大量に製造・販売したうえ、さらには「世界で最も安価な、新しいEV」を投入することで世界中のガソリン車をEVへと置き換えるという壮大なプランを持っていたわけですね。
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ただ、少し前には事情が変わってしまい、中国製の安価なEVが大量に出回ったことで、イーロン・マスクCEOはこれらとの競争を避けるべく「安価なEV(モデル2と言われていた)」の投入計画をキャンセルし、かわりにテスラが推進する自動運転(FSD=フル・セルフ・ドライビング)」を核としたロボタクシーの販売を優先すると明言したのがつい昨年。※そして、モデルYの装備簡略版を発売することでお茶を濁していた

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テスラは常に「新しい市場」を切り開き、先行者利益を得ることを目指す会社であり、すでにある市場、そして競合がたくさんいる市場への参入を嫌う傾向があって、そのためモデル2の計画破棄も「やむなし」と考えられていたものの、ここへきて「まさかの」その計画の復活が報じられています。
ロイター通信の最新レポートによると、テスラは中国・上海工場を拠点に、現行のモデルYよりも一回り小さく、圧倒的に安い「新型コンパクトSUV」を開発していることが判明し、これは、世界中のユーザーが待ち望んでいた「300万円台から買えるテスラ」の再来となるかもしれません。
この記事の要約(ポイント)
- 「モデル2」の再来?: モデルYより約50cm短い、全長4.28mのコンパクト設計
- 圧倒的な軽量化: 車重をモデルYより約25%軽い1.5トンに抑え、効率を最大化
- 価格破壊の予感: 米国価格で3万7000ドルのモデル3を「大幅に下回る」設定
- 戦略の転換: ロボタクシー重視から、BYDなど中国勢に対抗する「普及型EV」への再ピボット
ベールを脱ぎ始めた「ベビー・モデルY」の正体
関係者からの情報によると、この新型SUVは既存モデルの簡略版ではなく、「完全に新しい設計思想に基づくニューモデル」。
すでにテスラはサプライヤー各社に対し、部品仕様や生産方法についての協議を開始しているとも報じられ、初期生産が中国の上海ギガファクトリーで開始された後、北米や欧州への展開も視野に入っていると報じられています。

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新型コンパクトSUV(仮称:モデル2)の予測スペック
現時点ではこの「廉価版テスラ」についてわかっていることは多くなく、しかし現在ウワサされている情報をまとめると以下の通り。
スペック比較表
| 項目 | 新型コンパクトSUV(予測) | 現行モデルY(参考) |
| 全長 | 約4.28m | 約4.75m |
| 車両重量 | 約1.5トン | 約2.0トン |
| 駆動方式 | シングルモーター(後輪駆動) | シングル / デュアルモーター |
| バッテリー | 小型・軽量パックを採用 | 60kWh〜81kWh |
| 想定価格 | 2万5,000ドル〜3万ドル前後 | 4万4,990ドル〜(米国) |
| 主なライバル | ボルボ EX30、ヒョンデ コナEV | BMW iX3、アウディ Q4 e-tron |
軽量化とコストダウンの鍵
このモデルの最大の特徴は「1.5トン」という驚異的な軽さであり、バッテリーサイズを最適化してモーターを1つに絞ることでモデルYに比較して約500kgの軽量化を目指しているとされ、航続距離こそはモデルYに譲るものの、街乗り中心のユーザーにとっては十分な性能と、それ以上の「所有しやすさ」を提供する狙いがあるものと見られます。
なお、この「軽量化」については、モデルYへ導入し業界へと革命を起こした「ギガプレス」をさらに推し進めた技術が用いられるとも見られており、単に「部品を省いただけではない」、車体構造根本からの大幅な軽量化を期待できるのかもしれません。

マスク氏の「変節」と中国勢への焦り
イーロン・マスク氏はかつて、「2万5000ドルの手動運転EVを作るのは無意味だ」と述べ、完全自動運転(FSD)を活用したロボタクシーこそが唯一の未来だと強調していたわけですが、ここで気になるのが「なぜ急に方針を変えたのか」。
その理由はいくつかあり、まずは思うようにロボタクシーやテスラボット(オプティマス)の開発が進まず、これらについても他社に追いつかれる可能性があること。
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テスラはレッドオーシャン化したEV市場に見切りをつけ、「AI、自動運転、ロボット」へとビジネスを転換しようとしたものの、これらがうまく行かない可能性が考えられ、そこで「やはり本業のEVをなんとかしないと」という考えに至った可能性も。
そしてもうひとつ、こちらが「本命」の理由だと考えているのですが、「EVを販売しないと、(話題となった)150兆円を超える巨額報酬パッケージを得られない」という事実。
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イーロン・マスク氏はこの報酬の獲得に強くこだわっているものの、報酬を得るには以下の条件を達成する必要があり・・・。
- 企業価値を現在の約6倍の8兆5000億ドルに引き上げる
- 10年間で2,000万台のEVを販売(創業以来の累計を倍増、1,200万台の追加)
- 人型ロボット100万台の実用化・展開(いわゆる「Tesla Bot軍」)
- 1,000万件の自動運転サブスクリプション獲得
つまりEVを売らねばこの報酬を得ることはできず、よってこれを達成するためにイーロン・マスクCEOは方針を変更したのではと考えているわけですね(モデル2計画をいったん廃棄した時点では、この報酬パッケージは承認されていなかった)。
こういった事情があってイーロン・マスクCEOは「EVに力を入れる」「EVを売るには低価格モデルしかない」という結論を出したのだとも考えられますが、「本気」を出した同氏ほど恐ろしいものはなく、よってこの「モデル2」は非常に高い競争力を持つEVになるであろう、とも推測しています。

結論:テスラが再び「EVの民主化」を加速させる
この新型コンパクトSUVが登場すれば、これまで価格がネックでEVを諦めていた層を一気に取り込むことができ、「全長4.28m」というサイズは欧州や日本の狭い道路事情や駐車場にも完璧にマッチすることは間違いなく、もし300万円台後半から400万円台前半でこの「ベビー・テスラ」が欧州そして日本へと上陸を果たせば、それら地域のEV市場を一気に塗り替る可能性を秘めています。
そして今回のニュースで興味深いのは、テスラが「自動運転専用車」ではなく、あえて「人間が運転する小型車」の開発に戻ってきた可能性が高い点。
これは、完全自動運転の普及にはまだ時間がかかるとの判断が根底にあるのだと考えられますが、「自動運転を(ある程度)排除することで価格を大きく引き下げる」という意図も見え隠れするようにも感じます。
いずれにせよ、ここから見られるイーロン・マスクCEO、そしてテスラの本気を楽しみにしたいというのが偽らざる心境ではありますが、参考までに、なんだかんだ言われながらも直近でテスラはBYDのBEV販売台数を「抜き替えして」いることも明らかになっており、そのブランド価値はまだまだ強いのだと認識してよく、反撃に出るなら「今」なのかもしれませんね。
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参照:Reuters











