| 新型車は2022年以降、それ以前に発売されている新車は2024年までに仕様変更にて対応しなくてはならない |
ビッグブラザーが監視する社会はもうすぐそこに
さて、現在はなにかと行き過ぎた管理や規制が多いように思いますが、EUでは2022年以降に発売される新型車にすべて”その道路の制限速度以上で走れないように速度を強制的に抑える”スピードリミッターが装着されることに(それ以前に発売されているクルマを新車販売する場合は2024年までに対応の必要がある)。
この決定自体は2019年になされたもので、今回改めて「来年からこれを実施する」と宣言したことが広く報じられているわけですが、これは「自動車が普及し、最初に人々が行ったことは競争である」という自動車の歴史を否定するような規制であり、相当に乱暴な規制であるとも考えています。※ISA=インテリジェント・スピード・アシストと呼ばれる
これによって交通の流れが阻害される?
なお、速度規制については、おそらく運転免許を持ち、クルマを運転する人であれば、「(程度の差はあっても)破ったことがないひとがいない」レベルの決まりだと考えていますが、その理由の多くは「とくに飛ばそうと思ったわけではなく、交通の流れに乗っていたら自然とスピードが出てた」というものかと思います。
ただ、今後EUではそういったこともなくなり、交通の流れが「制限速度内に」かならず収められるということに。
ちなみにこの規制は「GPSデータと道路標識認識カメラとの組み合わせ」にて現実的な制御を行うことになりますが(トンネルの中が無法地帯になりそうだ)、2022年7月6日以前に販売のためのホモロゲーションを取得している新車は、2024年までにこの技術を採用しなければならないとされ、いずれの新車もカメラを装着して道路標識を認識するシステムを搭載する必要が出てくるわけですね。
正直なところ、これによって交通事情がどうなるのかは予測ができず、考えられるのは「速度が抑えられることで全体の流れが悪くなるだろう」ということ。
本来もっと早く流れるところが「ゆっくり」になり、それによってとんどん流れが詰まって後ろのほうが渋滞するんじゃないかと考えているわけですが、これによってCO2排出量が増えるんじゃないかと思ったり。
そう考えると、この「速度リミッター」はいったい何のために設定するのかよくわからない法規であり、CO2抑制の観点からすると逆効果、しかし交通事故防止の観点であれば有効なのかもしれません。
ただ、路上を走るクルマがすべて自動運転車になればこういった「速度リミッター」は有効だと思われ、というのも「速く走るクルマがなくなるかわりに、必要以上に遅く走るクルマもなくなるから」。
これによってスムーズにクルマが流れるんじゃないかと考えているわけですね。
現在はEUのみにとどまるが
なお、現在この法規が施工されるのはEUのみ。
ただしEUを離脱したといえど、EUの法規をそのまま採用しているところが多い英国も「これに従うんじゃないか」とも言われているようですね。
そして米国は今のところこれを導入する予定はないと言われ(自由を尊重するお国柄なので)、日本だと現段階では有識者による議論が始まったところだとされますが、日本はそもそも速度違反による死亡事例が欧米に比較して極端に少なく、よってこの「スピードリミッター」の導入は「渋滞を招いてCO2排出量を増やすだけ」なのかもしれません。
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