| たしかに事故に占める「追突」の割合はかなり多いように思われる |
混雑が多い日本の場合だとブラインドスポットモニターも有用なんじゃないかと思う
さて、米国にて発表された研究によると、先進運転支援システムは、ある種の事故に巻き込まれる可能性を大幅に低減することがわかった、とのこと。
これまでも国内外にて同様の報告がなされており、これ(運転支援デバイスによって事故が減ること)は周知の事実ではあるものの、今回の報告では細かいところにまで踏み込んでいるのが興味深い部分です。
たとえば、前方衝突警告と自動緊急ブレーキを装備した車両の場合、装備していない車両と比較して、追突が49%減少したと報じており、追突による傷害も53%減少している、と述べています。
先進運転支援システムは複数の組み合わせが好ましい
なお、前方衝突警告システム単独では、追突を6%減らし、負傷率を19%減少させただけなので、この数値を見る限りでは、自動緊急ブレーキシステムを組み合わせることで安全性が「大幅に」向上していることがわかりますが、自動緊急ブレーキシステムは、"道路、天候、照明の条件が理想的でない場合でも、あらゆる状況で極めて優れた性能を発揮する "ことが統計からも見えているといい、自動緊急ブレーキシステムは非常に有用ということになりますね。
このほか、車線逸脱警報、車線維持支援、車線中央維持システムの有効性についても調査がなされ、車線逸脱警報とレーンキープアシストの組み合わせは、単独車両の道路逸脱事故を8%減らすのに役立ち、また単独車両の道路逸脱事故の負傷者を7%減らすことができたとされています。
車線中央維持装置を併用した場合は、単独事故が9%減少しただけで負傷者をあまり減らすことができず、「これら(車線中央維持装置、車線逸脱警報とレーンキープアシスト)の機能を組み合わせてた車両の傷害事故や重大事故を分析しても、他の運転支援装置ほど有意義な結果は得られなかった」とされ、「車線を維持する」だけではさほど安全性が変わらない、ということになりそうです(止まることが重要)。
なお、この調査については、警察から報告された衝突データ、関係機関から提出された車両装備のデータ を使用したといい、約6年間に13の州で衝突した2015~2020年モデルの93車種が調査対象になっているとアナウンスされているので、ある程度の信憑性があると考えて良いかと思います。
まだまだ「事故」に対する課題は多い
こういった運転支援デバイス、自動車そのものの安全性向上によって事故の発生件数はもちろん、重大事故、死亡事故が大幅に減っているというのはよく知られる事実ですが、それでも「アクセルとブレーキの踏み間違い」による事故はなかなかゼロにすることができず、これについては今後のひとつの課題なのかも。
そしてこれからはトルクに優れ、急激な加速を見せるEVがどんどん増えてくるものと思われ、そうなると今までのガソリン車とは異なるたぐいの事故が増えてきたりするのかもしれません。
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加えてですが、安全デバイスの発展、そして標準化は非常にありがたく、歓迎すべきだとは考えていて、しかしそれにドライバーが慣れきってしまうと(安全に関する)運転スキルがどんどん低くなってしまう(自分の経験上、クルマに頼ってしまう)ようにも思われ、これもまた別の問題を引き起こす可能性がありそうですね。
ちなみにですが、ぼくがいつも思うのは、車間距離を詰めたり無理な割り込みを行ったりといった「あおり運転」に繋がるような挙動ができないような技術を開発できないかということで、これが実現するとずいぶん安心できる人が増えるのになあ、と考えたりします。
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参照:AutomotiveNews