| かつてクラシックカーは「本当に好きな人だけ」の嗜好品であったが、今では興味がない人も購入する投機対象に |
ある意味では腕時計市場と同様の動きを見せている
さて、ここ何年か言われているのが「腕時計、ワイン、美術品」の次の投資対象として「クラシックカー」が有力視されているということ。
つい先日はイタリアのアジムート社がクラシックカーに投資するファンドを立ち上げたと報じられ、このほかの有力投資会社もこのトレンドに乗じていると言われます。
ちなみにこのアジムート社が扱うのは100万ユーロ(現在の為替レートで1億4700万円)以上の価値を持つクルマのみであり、同社のCEOであるジョルジオ・メッダ氏によれば「我々は長い間、市場を監視してきた。過去30年の実績は、クラシックカーが我々の顧客のポートフォリオに加えたい金融資産クラスにまで成長していることを物語っている」。
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クラシックカーへの「個人による投資」が一般化する日が来るのかも
そしてこのアジムート社は、投資対象となるクラシックカーを購入し、それを小口化して投資家からの出資を募ることになりますが、クラシックカーの購入にはフェラーリとマセラティのディーラー、ロッソコルサの代表であるアルベルト・ショーン氏がアドバイスを行うことになるもよう。
なお、こういったクラシックカー「ファンド」は珍しいものではなく、2021年にはスイスに拠点を置くヘティカ・キャピタルが5000万ユーロのクローズド・ファンドを導入しており、これが好調なために30~35台規模までコレクション(投資対象)を拡大する意向を持つとも報じられています。
このヘティカ・キャピタルのファンドは7年後に9~15%のリターンを目指しているといい、しかしこのファンドの最低投資額は125,000ユーロ(約1240万円)だというので、クラシックカーを小口化すると言っても「それなりの額」ということなりますね。※ヘティカ・キャピタルは「小口の出資申込みが殺到しているが、すべてお断りしている」、とコメントを出している
参考までに、ナイト・フランクが発表した2023年富裕層レポートを見てみると、ヴィンテージカー/クラシックカーの価値は過去10年間で185%増加し、美術品やワインといった”伝統的な”投資対象を凌駕するレベル。
これよりも高い価格上昇率を誇ったのは意外にも「ウイスキー」だったそうですが、こういったヴィンテージカー/クラシックカーについても大きな弱点が指摘されています。
その弱点とはズバリ「ランニングコスト」で、腕時計や美術品、ワインとは異なり「保管スペースが大きい」「常にメンテナンスが必要」「売買の際の輸送にコストがかかる」ことが指摘され、こういった費用は年間ポートフォリオ価値の5〜6%を消費してしまうというレポートもあるもよう。※さらに、真贋鑑定を行うと2万ドルくらいの費用がかかるそうだ
ヴィンテージカー/クラシックカーの維持は年々難しくなっている
さらにこういったヴィンテージカー/クラシックカーの維持は年々難しくなっているといい、それは補修用パーツのストックを見つけることが難しくなっているうえ、これらのクルマの修理やメンテナンスを行うことができる整備士も減っているから。
よってヴィンテージカー/クラシックカーの維持費も年々高くなっているそうですが、それでもこういったコストを吸収しても十分にリターンが得られるのが現在のヴィンテージカー/クラシックカーブームでもあるようですね。
こういったクラシックカーブームの背景にあるのはやはり「投資」熱であり、以前は本当に好きな人しかこういったクラシックカーを購入しなかったものの、今では投資ファンド、そして個人であっても「投機目的で」クラシックカーに興味のない法人や個人がクラシックカーを購入しているためだと思われます(このあたりはロレックスはじめとする腕時計でも同じことだと思われる)。
そしてこの傾向はますます強まり、クラシックカーの価値は今後数年でさらに急上昇するという見方もあり、その原因となっているのは電気自動車の普及、そしてガソリン車の新車販売禁止だとされ、これによってクラシックカーの価値はさらに高騰するとも推測されています。
実際のところ、マセラティのクラシックカー部門、マセラティ・クラシケのクリスティアーノ・ボルゾーニ氏は「電気自動車は、クラシックカーに有利に働くでしょうね。時が経てば、クラシックカーはカルト的な存在になるでしょう」とも語っており、クラシックカーに日常的に触れている人がそう言うのであれば、それは「間違いない」のかもしれません。
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参照:Reuters