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V8!V8!「マッドマックス 怒りのデス・ロード」を観てきた。V8!V8!

マッドマックス 怒りのデス・ロードは1979年の「マッドマックス」、その後のマッドマックス2、マッドマックス/サンダードームに続く形となっていますが、リブートとも取れる作品です。

ぼくはマッドマックスシリーズが大好きで、メル・ギブソンの無愛想でありながら正義感の強いキャラ、なによりもニトロでぶっ飛ばすシーンが大好きでした(ギプスをはめたヒーロー、というのも新鮮)。
とくにニトロで加速するシーンは「スター・ウォーズ」のハイパードライブ(星がビヨーンと伸びるやつ)の地上版といえるのではという評価を持っており、とんでもないカスタムが施された車やインターセプター・マークIIとともにぼくの心に残っています(映画史に残る作品であることは間違いない)。

マッドマックスは「北斗の拳」の世界観に大きく影響を与え、ラスベガス近郊で毎年開催される「世界一過酷なフェス」の開催のきっかけとなるなど、ひとつのカテゴリを形成した、とも言えますね。

そして最新作について特筆すべきは、「マッドマックス(1979)と同じ監督が撮っていること」。
監督はジョージ・ミラーで、マッドマックス三部作を撮り、その後は「ベイブ」や「ハッピーフィート」など、ブタやペンギンの映画を撮っていて、「ああ、この人も年を取って丸くなったんだなあ」と考えていたわけです。

ですが70歳になってマッドマックスの最新作をリリースすることになり、ブタとペンギンの世界からどうやってマッドマックスの世界に戻ってくるのか心配だったのですが、これがバイオレンス満載の作品。
よくもまあここまで暴力的な映画を撮れたなあ(シン・シティなみ)と思うのですが、とにかくバイオレンスという一言につきます。

女性だろうが老人だろうが容赦なくヒャッハー!と痛めつける暴力描写テンコ盛りで、映画館内の観客の殆どは若いカップルだったのですが、これは女の子さんには苦痛に違いない、後で彼氏は気まずい思いをするだろう、と感じた次第です。

ストーリーは単純で、あちこちで語られており、要は「マッドマックス2」と一緒なのでここでは触れませんが、とにかく他の映画であればクライマックス級のアクションが最初から最後まで目白押し。
思わず突っ込みたくなるような異常な改造を施された車(車の上に車を載せたりしている)が次々登場し、「V8!V8!V8を讃えよ!ステアリングには魂が宿る!」というパワー至上主義の映画ですね。

残念なのは、前三作では見せ場の一つであった「ニトロ」が用いられず、かわりにキャブレターに直接ガソリンを吹き込むことでパワーアップするという地味な演出になっていたこと。
やはりここはニトロをボタンで噴射し、強烈なGをもって加速して欲しかったところです。

とりあえず本作はグロく暴力的な描写も多いですが、あとを引くような気持ち悪さはほぼ無いと思います(人による)。
「とりあえずストーリーはどうでもよく、最初から最後までエンジン全開(というかレッドゾーンに入りっぱなし)だった」という映画であり、一度見ておいて損はないと思います。
まず他にこういった作品はないですし、「最近オレも丸くなったなあ」と感じている人や刺激が少ないと感じる人には向いているかもしれません。

資金がない無名の時に「マッドマックス」を撮った監督が、その後の活動によって名声と資金を得た後、最後の”サンダードーム”から数えて30年の時を経て制作した”マッドマックス”であり、現在の機材や技術を駆使して撮影したもので、たぶんこれがジョージ・ミラーが本当にやりたかったことなんだろうなあ、と考えるとちょっと見方がかわるかもしれません(ウォシャウスキー兄弟、もとい姉弟が”マトリックス”でお金を得て、その後の映画にとにかくお金と技術をジャブジャブ注ぎ込んだのに似ている)。

なおシリーズ通じて障がい者、病気の人が出演しています。
これについて、ぼくは今まであまり良い気はしなかったのですが、過去に実際に出演した人がインタビューに答えていたことが印象に残っています。
インタビュワーが「自分が(四肢欠損や病気の姿を)晒し者にされているような気はしませんか?」と質問するのですが、障がい者、病気の人は「世間では偽善者たちが、俺達を見せ者にして映画を撮っていると監督を非難する。だが、非難する連中が金をくれるか?監督は俺たちに仕事をくれて、お金をくれる。どっちが善人かはわかるよな」と答えるのですね。
それ以降、ぼくはこういった人たちが出演することに対し、常に好意と善意を持つようにしています(たとえ劇中で悪役扱いであっても。他の人たちが彼らに仕事を与えないのであれば)。

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