>ジャガー

伝説のデザイナーが伝説のスーパーカーを蘇らせる。元ジャガーのデザイン責任者が「新型ジャガー XJ220」コンセプトを突如発表「期待して待ってて」

イアン・カラムの考えた「ジャガーXJ220」のデザイン

Image:callum_designs

| イアン・カラム氏が放つ「新型ジャガー XJ220」コンセプトに世界が熱狂 |

やはりジャガーはこうでないと

1990年代初頭、マクラーレンF1が登場するまでのわずかな期間、世界最速の市販車(公称最高速度343km/h)として世界の頂点に君臨した英国の至宝「ジャガー XJ220」。

その伝説的なハイパーカーが、現代の息をのむような美しいスタイリングをまとってデジタル上にて復活を遂げたというのが今回のニュースです。

この衝撃的なプロジェクトを発表したのは、かつてジャガーの黄金期をデザインで支え、現在は自身の独立デザインスタジオを率いる自動車界のレジェンド、イアン・カラム(Ian Callum)氏であり、今回の発表はまさに寝耳に水。

つい先日行われた独占インタビューの場でも、カラム氏はアストンマーティンや現代ジャガーの課題については熱弁したものの、このプロジェクトの存在についてはひとことも漏らしておらず、つまり極秘中の極秘であった可能性が高く、ここでは新しく公開された「XJ220コンセプト」のディテール、そしてその背景にある壮大な美学について考えてみましょう。

ジャガーがクルマというよりも「アート」「建築物」的なコンセプトカー、”タイプ00”を発表。この定規で引いたようなデザイン、鮮やかな色使いは市販モデルにも反映されるようだ
【巨匠が苦言】ジャガーのEVコンセプト「Type 00」に足りない致命的な要素とは?前デザイン責任者イアン・カラム氏が語る“美しさの哲学”と高級EVの冷酷な現実

Image:Jaguar | ジャガーの「命がけのギャンブル」の行方には期待がかかる | 現時点だと「負ける」と見る向きが大半ではあるが、勝負はやってみないとわからない 100年以上の歴史を持つ英国の ...

続きを見る

この記事の要点

  • 伝説のデザイナーによるサプライズ: 1999年から20年間ジャガーのデザインを牽引した巨匠イアン・カラム氏が、自身のデザイン会社「Callum Designs」の公式Instagram上にて、かつての最高速スーパーカー「XJ220」の現代解釈版コンセプトを突如公開
  • 伝統のDNAと現代の美学の融合: わずか数枚のティザー画像ながら、オリジナルモデルの代名詞である流麗なシルエット、スパ・シルバーのボディカラー、特徴的なディスク風ホイール、リアベントなどの意匠を完璧にリマスター
  • 現行ジャガーの「脱・美学」へのアンチテーゼか: 物議を醸している新生ジャガーの直線的・スクエアなEVコンセプト「Type 00」とは対照的に、カラム氏の哲学である「圧倒的な流麗美(Beauty)」を体現した造形にファンが絶賛
  • 市販化への期待に含み: 現時点ではデザインスタディ(研究発表)の段階であるものの、同社は「このプロジェクトの続報を見逃さないでほしい。近日公開(Coming Soon)」とコメントしており、限定生産などの可能性に大きな期待がかかる

オリジナルへのリスペクトに満ちた、美しき「正統後継車」の造形

今回、Callum Designsの公式SNSを通じて公開されたのは”わずか数枚”のレンダリング画像。

しかしその洗練された流れるようなラインは単なる過去のレトロオマージュ(懐古主義)ではなく、本物の「正統な後継者」としての風格を十分に漂わせています。

オリジナルのXJ220は、当時としては驚異的な全長(約4.93メートル)とワイドなプロポーションを持っていましたが、カラム氏の手による現代版では、その特徴的なシルエットやキャビン(グリーンハウス)の形状、リアフェンダーに刻まれた伝統のベント(通気口)のデザインを巧みに踏襲。

さらに、XJ220のアイコンでもあった往年の「ディスクスタイル・アルミホイール」が、極めてモダンかつエッジの効いた現代的な大径ホイールへとリマスターされることに。

加えてボディを包むカラーリングについても、オリジナルモデルのイメージカラーであった「スパ・シルバー(Spa Silver)」を彷彿とさせる繊細な色調に仕上げられていて、往年のファンを歓喜させるポイントが随所に散りばめられているのがこの作品というわけですね。

車種概要、性能・デザインの特徴と、市場におけるポジショニング

現時点で判明している仕様や、カラム・デザインの過去の実績から予測されるポジショニングは以下の通り。

■ 新型XJ220デザインスタディ 概要・特徴

項目詳細・予想される仕様
デザイン・プロデュースイアン・カラム(Callum Designs)
ベース・インスピレーション1992年発売のジャガー XJ220
デザインの特徴・流麗なシルエットとキャビン形状の継承
・現代的な解釈を加えた220専用ディスク風ホイール
・象徴的なスパ・シルバーのオマージュカラー
・特徴的なリアおよびボンネットベントの配置
パワートレイン(予想)純ガソリン大排気量、またはハイパフォーマンス・ハイブリッド
現在の開発ステータスデザインスタディ(デザイン研究・提案段階)

ウルトラ・ラグジュアリー市場における位置付け

カラム・デザインはこれまでにもアストンマーティン・ヴァンキッシュを現代仕様に超高級 restomod(レストモッド)した「Callum Vanquish 25」や、映画007に登場した幻のハイパーカー「ジャガー C-X75」の公道仕様化、さらには独自の電動オフローダー「Skye(スカイ)」など、富裕層向けに極めて希少価値の高いビスポーク・カーを形にしてきた実績も。

【唯一無二】イアン・カラムが手掛けるV12シューティングブレーク「ヴァンキッシュ 25」が受注開始、同氏のデザイン経験の集大成
【唯一無二】「ヴァンキッシュ 25 シューティングブレーク」が受注開始、当時のアストンマーティンのデザイナーが自身の作品を「リメイク」

| 元ジャガー / アストンマーティンのデザイナー、イアン・カラムが手掛ける新たな挑戦 | シューティングブレーク――その流麗で実用的なボディスタイルは、自動車好きにとって最も魅力的な存在のひとつです ...

続きを見る

よって今回のXJ220プロジェクトも、単なるお絵描き(CG)で終わる可能性は非常に低く、世界中の超大富豪コレクターからの要望があれば、アストンマーティンやシンガー(Singer)のように、数台規模、あるいは数十台の限定シリーズとして超高額で実車化(コーチビルド)されるポテンシャルを十分に秘めているものと考えられます。

2010年にジャガーによって描かれ”実現しなかった”夢、悲運のC-X75が公道走行な仕様をもってリメイクされ販売される。これを成し遂げたのは当時のジャガーのデザイナー
2010年にジャガーによって描かれ”実現しなかった”夢、悲運のC-X75が公道走行な仕様をもってリメイクされ販売される。これを成し遂げたのは当時のジャガーのデザイナー

Image:callumdesigns | ジャガーC-X75はボクにとっても「心に残るコンセプトカー」のひとつである | 現在の自動車市場においては「少量生産車」「ワンオフ」がかつて無いほどの盛り上 ...

続きを見る

Jaguar-C-X75 (2)

Image:callum_designs

巨匠カラム氏が今、XJ220を取り上げた「本当の理由」

このタイミングでイアン・カラム氏が「美しいXJ220」を提示したことには現在の自動車業界のトレンド、そして古巣ジャガーに対する彼なりの強烈なメッセージが隠されているものと考えられ・・・

1. 現行ジャガーの「カクカクEV戦略」への静かなるカウンター

周知の通り、現在のジャガー(JLR)は100%電気自動車(BEV)ブランドへの超高級化シフトを急いでおり、そのシンボルとしてスクエアでブルータリズム(野性的・骨太)あふれる「Type 00」コンセプトを発表しています。

これに対し、イアン・カラム氏はつい最近、カーメディアによるインタビューで「(新型EVは)大胆で勇敢だが、美しくない。ジャガーは美しくあるべきだ」と苦言を呈していて、その直後に発表されたこの流麗なXJ220コンセプトは「ジャガー本来の美学とはこういうことだ」と世界に示す、巨匠なりの無言のアンチテーゼ(対抗策)とも捉えることが可能です。

実際のところ、デジタル的な箱型デザインが溢れる現代において、この官能的な曲線美は多くのクルマ好きに深い共感と感動を与えているという状況で、「人々が求めていたジャガー」はType00あるいはType01ではなく、同氏が提案するような美しく優雅なクルマであったということが立証されているわけですね。

ジャガーとランドローバーのEV戦略に暗雲、主力EVの発売が2026年以降に延期へ
Jaguar

2. 「EV疲れ」を起こした富裕層コレクターへの究極の処方箋

現在、数千万円から数億円クラスのハイエンドカー市場では、実用性重視のピュアEV(BEV)に対して「エモーションや官能性が足りない」という富裕層の冷ややかな反応(EV冬の時代)が起きています。

コレクターたちが求めているのは、ガレージにあるだけで絵になり、エンジンに火を入れた瞬間に五感を刺激するような「アートとしてのクルマ」であるとも考えられ、オリジナル版のXJ220は当初予定されていたV12からV6ツインターボへと変更された歴史的経緯(これによる物議)がありましたが、もしカラム氏の手によって「本来あるべきだった超高性能マルチシリンダー(V12など)」や魅力的なパワートレインを積んだレストモッドとして現代に蘇るならば、これ以上ない究極のエキゾチックカーとして市場から大熱狂で迎えられることは間違いないものと考えられます。

結論

カラム・デザインが突如ドロップした「新型ジャガー XJ220」のモダンコンセプトは「自動車デザインが持つ普遍的な美しさ」の力を改めて私たちに思い出させてくれるもの。

現時点ではまだ市販化が確定したわけではありませんが、公式アカウントが残した「Keep an eye out for more... Coming Soon(今後の続報を見逃さないで…近日公開)」という言葉は、このプロジェクトが1枚のスケッチでは終わらない、より具体的なロードマップ(実車の発表、あるいは限定生産のアナウンスなど)を含んでいることを強く予感させます。

かつて1990年代初頭のスーパーカーブームを牽引し、その美しさと圧倒的な速さで世界を震撼させたXJ220。巨匠イアン・カラムの手によって、再びロードカーの頂点として現代の公道に解き放たれる日が来るのかどうか、今後のカラムデザインからの公式発表に期待したいと思います。

合わせて読みたい、イアン・カラム関連投稿

ジャガーのデザイナーが手掛けるクラシックミニの最新レストモッド「ウッド&ピケット・ミニ」が登場。往年の名車に現代的パワーとラグジュアリーを融合
ジャガーのデザイナーが手掛けるクラシックミニの最新レストモッド「ウッド&ピケット・ミニ」が登場。往年の名車に現代的パワーとラグジュアリーを融合

Image:Callum Design 不朽の名作ミニを現代に蘇らせた「ウッドアンドピケット ミニ バイ カラム」 ジャガー、アストンマーティンにて活躍した名デザイナーが「新作」を発表 クラシックミニ ...

続きを見る

アストンマーティン ヴァンキッシュのドアシルプレート
誕生25周年のアストンマーティン「ヴァンキッシュ」が今なお最高峰のGTカーと称される理由。伝説のデザイナーが語る“黄金のライン”の秘密とは

Life in the FAST LANE. | 25年経っても色褪せないアストンマーティンの魂、その深層に迫る | イアン・カラムは現代アストンマーティンのデザイン的礎を作った人物である 信じられな ...

続きを見る

元ジャガーのデザイナーが興した「カラム・デザイン」より新型EVが登場間近。内外装にはミニマリストデザインを採用し価格は約1500万円から
元ジャガーのデザイナーが興した「カラム・デザイン」より新型EVが登場間近。内外装にはミニマリストデザインを採用し価格は約1500万円から

| いかに有名であってもクルマの販売は「初」、どこまで認知度を高められるかが鍵となるであろう | スタートアップにしては「思い切った」値付けで登場することに さて、ジャガーなど様々なプレミアムカーブラ ...

続きを見る

フェラーリF355「究極の」レストモッド登場。F355の持つアナログ体験を強化すべく現代の素材・技術を盛り込み、内外装デザインはあのイアン・カラムが担当
フェラーリF355「究極の」レストモッド登場。F355の持つアナログ体験を強化すべく現代の素材・技術を盛り込み、内外装デザインはあのイアン・カラムが担当

Image:Evoluto Automobili | このフェラーリF355レストモッド「355 バイ エボルート」はデザイン、機能、パフォーマンスなど全てにおいてオリジナルのF355を尊重している  ...

続きを見る

参照:callum_designs

->ジャガー
-, , , ,