「標準の」911GT2RSは3656万円、つまり合計で4882万円
現在、ニュルブルクリンクの「王座」争いはランボルギーニとポルシェによって行われており、まず2017年に、2013年以来王座にあったポルシェ918スパイダーの記録(6:57.00)を、ランボルギーニが「ウラカン・ペルフォルマンテ」で更新(6:52.01)。
するとその直後にポルシェが「911GT2 RS」にてさらにタイムを短縮し(6:47.03)、さらにランボルギーニは6:44.97にてこれを破ることとなっています。
そして問題は「その後」で、ポルシェは自社の傘下にある「マンタイ・レーシング」がチューンした911GT2RSをニュルブルクリンクへと持ち込み、ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJの出したタイムをさらに短縮(6:40.33)。
もはやこれ以上のタイムを出すには「パワー」は無関係な領域に?
つまりポルシェは「改造車を持ち込んででもランボルギーニには負けたくなかった」ということになりますが(現在ランボルギーニとポルシェは同じグループに属していて、ここまで争わなくては、とも思う)、今回その911GT2RS"MR”の詳細が明らかに。
911GT2MRは、「”公道走行可能”なクルマでは最速」ではあるものの、厳密には自動車メーカーからの市販車ではないために「市販車最速」と呼ぶのには抵抗があるのもまた事実。
ただ、そういった批判を躱すためか、今回MRレーシングは「ニュルブルクリンクで記録を出した車両と同じ仕様にできる」MRキットを発表しており、そのベース価格はなんと77,244ユーロ(996万円)。
そしてこれに専用ホイールをプラスすると95,094ユーロ(1226万円)にまで跳ね上がり、「7秒を短縮するのに支払うコストは1226万円」ということになりますね。
今回公表された内容だと、この911GT2RS”MRキット”について、「フロントスプリッター変更」「リアディフューザー変更」「フラップ追加」「リアウイング変更」といったエアロパッケージが外観上の特徴として挙げられていますが、このリアウイングについては、ダウンフォースが強力すぎるため、取り付ける部分を強化している、とのこと。
そして機能面ではレーススペックのサスペンション(ダンパーは伸び側と縮み側の減衰力を個別にコントロールできる)、専用ブレーキパッドとブレーキライン、追加ウォータータンク(用途は不明。インタークーラーやインテークを冷やす機能がもともとあるのかも)、標準よりも更に軽いマグネシウムホイール(プラチナムシルバー、ゴールド、サテンブラック、ブリリアントシルバーを選択でき、エアロカバーも装着される)が装着。
なお、911GT2MRについてエンジンは700馬力と変わらず、ニュルブルクリンクのタイムを追求するとしても、これ以上の馬力は必要ない、ということなのかもしれません(実際にニュルブルクリンクのタイムを大きく短縮したランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテはそのアクティブエアロ=ALAが大きく貢献したと言われる)。
ノーマルの911GT2RSですら、かのワルター・ロール氏をして「人間が扱える限界を超えている」と語っており、公道走行可能な車においてはこのあたりのタイムが(いったんの)限界なのかもしれず、なんらかのブレイクスルーがなければこれ以上のタイム向上は望めないかもしれない、と考えたりします。
マンタレイ・レーシングはこんな会社
マンタイ・レーシング(Manthey-Racing)は1996年に設立されたチームで、ポルシェを使用して様々なレースに出場し、最も成功したポルシェ(を使用する)レーシングチーム、ともいわれます。
2013年にはポルシェが51%の株式を取得して経営権を獲得し、ニュルブルクリンク脇に拠点を構えることからも、ポルシェのテスト拠点としても活用されているのでしょうね。
VIA:Misha Charoudin-Youtube